デジタル・リボルト~ディストピアからへの英雄譚~

あかつきp dash

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◎二年目、六月の章

■真鈴から圭都宛のビデオメッセージ

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 久遠が風呂に入るのを見送ると圭都は久遠から送られてきたビデオメッセージを開く。

 真鈴のメッセージ内容は要約すると、圭都に断りもなくクランを出て行ったことに対する謝罪。

 あとはこれまでの圭都との思い出話。真鈴が自身のことがわからなくなっていたことを語っていた。

 久遠が手を差し伸べて助けてくれたこと。そして最後に圭都へのお願いである。

 ビデオメッセージが終わると圭都はため息をつく。

「姉貴分からのお願い、か」

 なかなか断りづらい話である。それと真鈴の話で気になることもあった。

 久遠はどんな気分で風呂に入っていることだろうか。

 面倒だと無視しても構わない。真鈴の話はこういうニュアンスも含んでいた。

 一方で久遠に泊まっていけばと勧めた自分がいる。おそらく、あそこで引き止めていなければ二度と交わることのない関係だったのではないか。

 これは真鈴の意思が働いたのか。それとも自分の意思なのか。

 ――気になる。私はこのままクイーン・ナイツで一八歳になるまで過ごす気でいたのではないのか。

 いま、何かが変わろうとしていた。

 ハアとつく吐息が熱い。

「いつもやってる事じゃないか」

 なのに今日は熱に浮かされたようだ。今さらながら乃々子に先を越されたのもしゃくだった。

 不思議な少年だった。何故か惹かれる。

 この感情を真鈴は確かめようとして久遠に関わっていったのではないだろうか。

 そして自分もその一人になろうとしている。

 圭都は皿をシンクに置くと、足が自然と風呂場へ向く。

 自分がこれから何をしようとしているのかは容易に想像がつく。

「勝手にいなくなっておいて、彼を助けてほしいなんてどの口が言うんだか」

 そういえばああいうひとだったかもしれない。

 お姉さんのような人。

 憧れていた人。

 そこにはもういない人。

 これからは自分で決めないといけない。

 だけど、いまのところ不安はなかった。

 不思議と道筋だけは開けたような、そんな気がしたからだ。


 
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