デジタル・リボルト~ディストピアからへの英雄譚~

あかつきp dash

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◎二年目、七月の章

■乃々子からの嘆願

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 男たちが泣きながら去って行く様を見送ってから晴は久遠に話しかける。

「お前、すげえな」

 絶対、敵にはまわしたくないと思ってしまう。

「交渉しているときは相手より高台から、ってやつだよ」

 なるほど。意味がわからないと晴は首を傾げる。

「あいつらどうなるんだ?」

「レベルキープすると無一文になるから、普通ならレベルダウンして復活かな。もしくは……」

 もう一つの案を久遠は口にしそうになるが、ハッとした表情になって口をつぐむ。

「まあ、実行しないことを祈るよ」

 レベルキープする分のお金が不足した状態で死んでしまったときのことを考えれば容易な事だ。

 案外と熟練者でも陥りやすいレベルとお金のどちらを優先させるかという問題である。

「ありがとう久遠くん」

 乃々子がやってきて久遠くんに頭を下げる。ついてきた女の子も同じく頭を下げている。

「今日はホントに助かったわ。それで重ねてお願いしたいことがあるんだけど……」

 久遠には月に何回かクイーン・ナイツの護衛として通ってもらえないかということだった。

 クランメンバーは女の子なのとレベルもあげていないため、今日のような事態には立場が弱くなりがちであった。

「そのあたりはうちのリーダーと話してもらうほうがいいかもしれませんね」

 久遠がこの場で決めずに里奈と相談したいと言ったことに晴は地味に感心する。

「それもそうね。そうと決まればすぐに行きましょう」

 これには久遠も困ったようで、すぐに里奈へ連絡をとって確認をしていた。

「いまから来てくれるなら問題ないということです」

「じゃあ行きましょうか」

「その格好で、ですか?」

 乃々子はハッとなって自分の格好を見返す。寮まで行くのには少し刺激が強いかもしれない。

「ちょっと待ってもらっていいかしら」

 乃々子はおほほと笑いながら急いでホテルの中へ戻っていく。

「晴はどうするの?」

 僕は乃々子さんを寮まで連れて行くけど、ということである。

「俺は臨時収入もあったし遊んで帰るぜ」

 晴の頭を占有していたのは、実のところこれであった。

 もちろん緊張もあったが、それ以上にウキウキしている。

 こればっかりは譲れないのであった。



 
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