デジタル・リボルト~ディストピアからへの英雄譚~

あかつきp dash

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◎二年目、七月の章

■攻略パーティーはもう一つ

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「ちょっと待ちたまえよ」

 由芽たちは見知らぬ五人に声をかけれる。今日はよく話しかけられる日だと単純にそう思ってしまう。

 あからさまに嫌みそうな男だ。由芽たちよりは上の期生であることが伺える。

「何か用かい?」

 男に対してずいっと前に出てくれたのは浩和だった。

 あきらかに上期生である浩和には男は少し及び腰だった。ちなみにここで久遠が出ていくと舐められるところからはじまるので、結果としてケンカになる。なので、これが正解であった。

「ビッグサイトのボスは倒すと次のポップは一時間後なのは知っているんだろうね?」

 そうなんだと由芽ははじめて知る。で、だからなんだと。本題はそこでないだろう。

「知っていたとして、それが何か?」

「だからさぁ~。わかんないかなぁ」

 優先権を主張したいということだろう。もってまわったくどい言い方だ。彼への好感度は先ほどから下がりっぱなしである。

「俺たちの目的はレベル上げだ。中には新人もいる。ボスの姿を見て挑めそうならくらいのノリだよ」

 無茶をするつもりはないと浩和は訴える。ここで話がこじれるといろいろとややこしくなる。穏便にいきたいところだった。

「じゃあ、優先権は僕らにってことで。物分かりがいいのは嫌いじゃないよ」

 あなたみたいな嫌みなヤツは大嫌いだけどと由芽は思う。

「何か文句でも?」

 その表情が気づかれたのか男は由芽を睨みつけてくる。

 なるほど。こちらに対しては下手になど出る必要はないということか。

「いえ。特には……」

 納得はいかないが力量差は歴然たるものだ。

「そうかい。じゃあ遠くからボスを眺める権利くらいならあげるよ。せいぜい頑張りたまえよ、野良パの諸君」

 あっはっはと高笑いしながら、男は自分のパーティー引き連れて施設内へ向かっていく。

「どうしたの、久遠くん?」

 先ほどから久遠は一言も喋らずに男が率いているパーティーを見ている。

「さっきからあの女の子のこと見てたね」

「ふ~ん」

 由芽は圭都ともに久遠に対して、この「女好き」と視線で責めたてる。

「あっちも僕のことを見てたんだよ」

 久遠の口調は言い訳がましい。

「知り合い?」と圭都に訊ねられる。

「いや、知らないひとだよ」

 そう言いながらも久遠の目はあのパーティーを追いかけていた。
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