デジタル・リボルト~ディストピアからへの英雄譚~

あかつきp dash

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◎二年目、八月の章

■頼果の抱える困った事情

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 頼果たちはのびてしまった秋影を炎天下の中放置するわけにもいかず、保健室のベッドに寝かしていた。

 とりあえず晴と伊織に見張りを頼んである。目が覚めれば呼んでもらう手はずだ。

 一方、里奈と久遠は頼果から聞き取りを行っていた。

 頼果が白状した話の内容はこうだ。

 頼果は有貴士団ゆうきしだんというクランに所属していた。これも大手のクランである。

 彼女も久遠たちと同じく東京へ来たときに継承装備を無理矢理押しつけられたそうだ。

 途方に暮れていたときに有貴士団のリーダーにスカウトされたという経緯があった。

 問題は入ったあとだった。レベリングに有用なスキルなのだが、総合的にダメージ数値が求められるようなクラン戦においては何かと不利になる。

 そのため彼女の存在はレベリング以外では使い出がなかった。

 度の厚いメガネをかけた可愛くもない背高の少女はクラン内で特に友人もなく、孤独になっていった。

 頼果はそんな自身の扱いに嫌気が差していたときに秋影克馬あきかげかつまと出会ったそうだ。

 彼はあかつきだんというクランをクランを率いるリーダーだった。

 何より規模で言えば有貴士団と拮抗する規模の大手クランであった。

 それ自体は本当に偶然で、頼果はその時メガネを外していたらしい。

 頼果の素顔を見た克馬は親身になって話を聞いてくれたそうだ。

 それから克馬は幾人かのメンバーを連れて有貴士団の拠点に乗りこむ。その混乱をついて頼果は拠点から抜け出して、ついでにクランを抜けた。

「要するに現在、頼果を巡ってクラン同士で抗争をやっている最中なのか」

「ホント、私って罪な女よね」

 久遠が要約すると頼果はうんうんと頷いている。

「……本当に蔵脇を東方旅団へ入れるつもり?」

「それは頼果次第でいいよ。ただ僕たちは協力すべきだよ。東京迷宮とうきょうめいきうの仕様を考えてもね」

「そうだとしても私は気に入らないけど」

 頼果の翠烏の話も聞いたし、スキルのことも聞いた。それても納得して飲みこめるというものでもない。

「こっちも首を突っこんでほしいなんて頼んでないわ」

 頼果の言葉に里奈は露骨に顔を引きつらせる。

「お互い、その辺にしておこうよ」

 久遠が仲裁に入ってくる。

「それで頼果自身はどうするつもりなんだい?」

 そう聞かれると頼果は答えに詰まる。正直、手詰まりだった。それこそ東京から逃げたしたいと思うほどには。

「解決策なんてあるの?」

 思わず聞いてしまった。いや、頼ってしまった。

「まず確認だけど、君は東京ここにいたいってことでいいかい?」

 頼果は無言で頷く。特に明確な動機を持っているわけでもないが、いまのところ離れる気はない。

「だそうだよ」

 久遠は里奈に目線を合わせる。それでようやく頼果は納得する。彼は外堀を埋めていっているのだと。

 すると里奈は大きくため息をつく。

「……わかったわよ。どっちも大手のクランよ。私たちで何とかできるとも思えないけど」

 とりあえず里奈は他のメンバーを集めると言いだして、この場を離れる。

 残された久遠と頼果だったが、久遠もおもむろに立ちあがる。

「とりあえず昼食に行かないかい?」

 そういえばお腹が空いていることをいまさら思い出した里奈であった。

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