デジタル・リボルト~ディストピアからへの英雄譚~

あかつきp dash

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◎二年目、九月の章

■行商人父はやってくる

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 久遠や里奈が鎧蛇を引きつけている間に鎧蛇の尻尾を見つけだして、継石を破壊する。

 言葉にするのは簡単だが、問題は尻尾がどこにあるかである。

 あと頼果の瘴気浄化のおかげでステータスダウンはないが、それでも鎧蛇以外の魔物も夜と瘴気のおかげで強化されている。

 当然ながら晴たちにとっては強敵である。

「尻尾ってどこにあると思う?」

 由芽は果たして誰に聞いたつもりなのか。

「体のサイズから推理するしかないんでしょうけど、勘頼りで当てずっぽうやるわけにもね……」

 それでは体力がいくつあっても足りない。何よりぐずぐずしていては強化された魔物たちに押し切られる危険もある。

 どうしたものか。一同が首を捻っているととことことやってくる人影があった。

「おおきに」

 頭巾をかぶり口ひげを蓄えた中年太りの男であった。とりあえず風貌からして今まで出会った行商人の父親ではないだろうか。というわけで、呼称を行商人父とする。

「行商人だよ」

 由芽はみんなに言った。

「この建物から邪気を感じましてな。入ってみたら蛇の巣窟ですわ。いやー困った困った」

 本当にNPCなのだろうかとその細やかな動作を見て疑いたくなる。

「建物には本来、邪気を祓うお社があるはずなんですわ。ひょっとしたらそこにお祀りしてるはずの要石かなめいしに何かあったのかもしれません」

 行商人父は懐から取り出した頼果がちょうど握れるくらいの大きさを石をおもむろに渡す。

「何これ?」

 頼果の問いに行商人父は答えてくれる。

「これが要石ですわ。悪いんですが、これをお社にお祀りしてきてもらえへんやろうか」

 全員は顔を見合わせる。これはいわゆるクエストの一環なのだろうか。

「もちろん、お礼はさせていただきます。どうやろうか?」

 この場合、受けるべきかないかで言えば受ける一択だ。

 頼果たちがクエストの受諾をすると行商人父は話をはじめる。

「優先順位についてはそちらにお任せするところです。大蛇を倒してからでもよし。先に要石を置きに行くもよしですわ」

「肝心のお社はどこなのよ」

 沸き立ちかけたところで頼果が冷や水を浴びせにくる。だが、言われてみればそうだ。

「そういえば屋上の扉が開いてましたなぁ」

 行商人父がふとつぶやく。だからなんだと言いたくなったが、ひょっとしたらヒントなのかもしれない。

「どう思う?」

 頼果は由芽に訊ねた。

「んーと、ログイン中は現実のオブジェに手を出せないわけで。それにも関わらず扉が開いてるってメッセージなんだよね」

 とりあえず屋上を目指すべきか。しかし、それが解として正しいのだろうか。一行は悩んでいた。

「謎解きもいいけどよ。とりあえず優先順位を決めようぜ」

 晴はそう言った。選択肢はあってもとれるのはおそらく一択。決めてしまえば後戻りはできない。

「どうすべきかな?」

 由芽の問いにふと圭都が口を開く。

「要石ってどんなの効果があるんだろ?」

 たしかに検証する必要はあるなと誰もが考えた。そんな折に行商人父が被っていた帽子をとる。

「それではまた後ほど。皆さんの無事を祈っておりますからな」

 とりあえず攻略の助けになるかもしれない。一行は鎧蛇の尻尾探しではなく、お社の探索をはじめる。

 これが吉と出るかはまだわからなかった。

 
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