デジタル・リボルト~ディストピアからへの英雄譚~

あかつきp dash

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◎二年目、一〇月の章

■怨霊、襲来

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 画面に映ったのはどこかの廃墟である。薄汚れた白い壁に扉が一つ――ゆっくりと手前に開いていく。

 そこで里奈は自分がいまログインしていることに気がつく。

 ――強制ログインゾーン?

すると扉から白い装束を身につけた髪の長い女が現れる。

 それが一歩ずつおぼつかない足取りで裸足のままこちらへやってくる。

 そしてディスプレイに顔が大画面で映るようになるとゆっくりと顔をあげる。

 長く垂れ下がった前髪のせいで顔つきはわからない。代わりに鋭い眼光だけが見える。

「死の宣告」

 女は疲れたような声。それと同時に里奈はステータスに数字がカウントされることに気がつく。

 死の宣告。バッドステータス。受けた者は二四時間以内に死ぬ。解呪するには死の宣告をかけた者を倒さなければならない。

 端的な説明はこれでいいのだろう。

「日中なのに強制ログインゾーンが発生してるみたいだね」

 由芽がログアウトを試みるが駄目だったことを告げる。

「興味深い現象だね。君たちすら経験していないことが起こるなんて」

 どこか博文は楽しそうだ。

「全然嬉しくないわ」

 里奈は顔を引きつらせている。

 そうしている間にディスプレイから、本当の言葉通りに這いでてこようとしていた。

 その光景に衆議院本会議場内は阿鼻叫喚の様相を呈している。

 一斉に多くの人が扉へ詰め寄るも、扉は締めきられているせいで外に出ることもできない。

「アイツは魔物なのかい?」

 明里がこちらにやってきて状況の確認をしてくる。

「ま、本物の幽霊のようにもあるけど、魔物の類なんだろうね」

 博文はついでに自分たちのパラメーターが減退していることも確認をする。

 それとともにディスプレイから這いでてくる女のステータスも確認する。

「名前は怨霊というみたいだね。ということは、あれが行商人の言っていた魔物か」

 博文は行商人とのやりとりについてかいつまんで話した。

「けっ。要するに魔物なら倒せるってことだろう?」

 闘志をたぎらせた克馬が一歩前に出る。

「何か嫌な感じがするんだけど……」

 里奈はうまく説明できなかった。

 ディスプレイからとうとう出てきた怨霊はひたひたとした足取りで逃げまどう群衆の方へ向かう。

 その間にちらりと一瞬だけ里奈の方を見るも何事もなかったかのように再び歩きだす。

 ――ヘイト集中が効かない?

 里奈にふと、この考えが頭をよぎった。

「魔物が湧かないのは何故だろうか?」

 水呉があたりを見渡している。確かにいまのところポップしているのはあの怨霊一体だけだ。

 誰かが迫ってくる怨霊に攻撃を仕掛けるもダメージを受けた様子がまるで見受けられない。攻撃が通り抜けているような印象である。

 そして次の瞬間に皆の動きが一斉に止まる。

 そう。まるで金縛りに遭ったかのように。

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