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◎二年目、一〇月の章
■久遠たちも異変に気がつく
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頼果たちは控え室の扉がノック一つなく開かれたことに気がつくと同時、強制ログインしたことに気がつく。
「いま日中よね?」
「まだ日は高いね。これから強制ログインゾーンは夜だけの現象というわけでもないと思う方がいいようだ」
久遠は起こったことについて素直に受け取ったようだ。たしかにそうしないと判断が遅れるなと頼果は久遠の思考に関心する。
「どうするの?」
「状況の把握ができていないからなぁ」
久遠は首を捻りつつ思い当たることがあるようでソファーから立ちあがる。
「中央塔へ行こう。原因があるとしたらそこだと思う」
久遠をリーダーに三人はパーティーを組む。
「その口ぶりだと久遠くんは何か知ってるのよね?」
「君たちより少しくらいかな」
もったいぶった言い方だと頼果は思ってしまう。
――そういうところだぞ、久遠。
「この前、ここで行商人に出会ってね。その時に聞いたのが国会議事堂に封印されている怨霊の話さ」
「……名前からして物騒ね」
頼果はふと圭都を見る。表情から怖がっているのかどうかは判別不能だった。
「どうかした?」
圭都は首をかしげる。
「何でもないわ」
強制ログインゾーン内だというのにやけに静かだと感じた。おそらく魔物がいないせいだろう。
久遠の言う目的地へも何の抵抗もなくすんなりと行けた。
螺旋階段をのぼった先には男女が気絶した状態で倒れていた。
それから頼果たちの目の前に大きなお社。その周辺にはガラス細工のようなものが飛び散ったあとがあった。
「封印石が壊れてる」
久遠は破片を拾いあげて、まじまじと観察をはじめる。
「この封印石を置いたらどうなるのかな」
久遠はストレージから封印石を取りだして、お社へ奉ろうとした矢先――。
雄たけびが聞こえて、その方向へ振り向くと白装束を着た髪の長い女が現れる。
「何なの?」
頼果はゴクリと喉を鳴らす。
「おそらく奴が怨霊なんだろうね」
久遠は刀を抜き、それに合わせて二人も臨戦態勢をとる。
「物理攻撃は通さないって話だったけど」
久遠は怨霊へ斬りかかる。すると蒼烏の刃の煌めきに発狂するように怨霊は声を荒げて奇声を発する。
久遠が蒼烏の一振りを繰りだすも、そこに怨霊のするもそこには既に怨霊の姿はなく、久遠は顔を左右に振り姿を探す。
「金縛り」
乾いた女の声。久遠は一瞬だけ体の動きを止めたもののすぐに頼果たちのいるところまで後退する。
「体の動きを一瞬止められなかった?」
頼果は久遠に聞いてみた。
「うん。でも、効かなかったみたいだ」
久遠と頼果の視線が圭都へ向かう。
「私も二人と一緒。大丈夫だったよ」
効かなかったのはおそらく瘴気浄化のスキルと関係しているのではないかと推測ができるが、それはいま検証すべきことではないだろう。
「どうも怨霊は瞬間移動するみたいだね」
そしてお社の前を陣取り譲ろうとしない。久遠の持つ封印石を置かれたくないという固い意思を感じた。
攻略ははじまったばかりだ。
「いま日中よね?」
「まだ日は高いね。これから強制ログインゾーンは夜だけの現象というわけでもないと思う方がいいようだ」
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「どうかした?」
圭都は首をかしげる。
「何でもないわ」
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それから頼果たちの目の前に大きなお社。その周辺にはガラス細工のようなものが飛び散ったあとがあった。
「封印石が壊れてる」
久遠は破片を拾いあげて、まじまじと観察をはじめる。
「この封印石を置いたらどうなるのかな」
久遠はストレージから封印石を取りだして、お社へ奉ろうとした矢先――。
雄たけびが聞こえて、その方向へ振り向くと白装束を着た髪の長い女が現れる。
「何なの?」
頼果はゴクリと喉を鳴らす。
「おそらく奴が怨霊なんだろうね」
久遠は刀を抜き、それに合わせて二人も臨戦態勢をとる。
「物理攻撃は通さないって話だったけど」
久遠は怨霊へ斬りかかる。すると蒼烏の刃の煌めきに発狂するように怨霊は声を荒げて奇声を発する。
久遠が蒼烏の一振りを繰りだすも、そこに怨霊のするもそこには既に怨霊の姿はなく、久遠は顔を左右に振り姿を探す。
「金縛り」
乾いた女の声。久遠は一瞬だけ体の動きを止めたもののすぐに頼果たちのいるところまで後退する。
「体の動きを一瞬止められなかった?」
頼果は久遠に聞いてみた。
「うん。でも、効かなかったみたいだ」
久遠と頼果の視線が圭都へ向かう。
「私も二人と一緒。大丈夫だったよ」
効かなかったのはおそらく瘴気浄化のスキルと関係しているのではないかと推測ができるが、それはいま検証すべきことではないだろう。
「どうも怨霊は瞬間移動するみたいだね」
そしてお社の前を陣取り譲ろうとしない。久遠の持つ封印石を置かれたくないという固い意思を感じた。
攻略ははじまったばかりだ。
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