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救命
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宇宙空間では星は瞬かない…
捉えたビーコンに向かいバーニヤを吹かす。
星々が動き出す。
救命艇が視界に入ってくる。
窓の灯りが瞬いている。
古典的なモールス信号だ。
サポートAIが翻訳してゆく…
残存酸素量等の情報が届いてくる。
減速を開始…相対速度ゼロ…
キャノピーを開き、ハーネスを外した。
軽く跳躍し救命艇に取り付いた。
コネクターに信号ケーブルを繋ぐと艇内との会話が可能となる。
が、誰も応答する者がいない。
何が起きている?と窓から中を覗いた。
…
少女が独り片隅で蹲っている。
多分、通話装置への応答方法も解らないのだろう。
このまま根気よく通話の応答方法を教えても救命服を正しく装着させるには、残された時間はあまりにも少なかった。
俺は緊急事態だと自らに言い聞かせ、非常手段に出る事にした。
ヘルメットの内側に密かに仕込んでいたタブレットを放出しそれを咥え…飲み込んだ。
暫くして効果が現れる。
俺はスーっと肉体から脱け出した。
所謂、憑依薬である。
幽体離脱して艇内の少女に憑依するのだ♪
救命艇の外殻も難なく透過する。
一旦、少女の前に立つ。
「失礼するよ♪」
言っても彼女には聞こえない。
そのまま彼女の肉体に重なるようにして憑依した。
(誰?)
と彼女の意識が俺に向く。
説明している時間はない。
強制的に彼女の運動機能を奪い取った。
俺は彼女の目で艇内を確認した。
他に要救助者はいない。
次に救命服の位置を確認し、彼女の手足を使って移動する。
扉を開け救命服を引き出す。
その中に小さな肉体を収め、ヘルメットを装着する。
気密状態を確認し、次にコンソールに向かった。
緊急時のロック解放を指示する。
艇内の空気が一気に抜けてゆく。
気圧の変化に一瞬目眩がしたが、頭を振って気を引き締める。
天井に開いた脱出口をすり抜けて、外殻に取り付いた「俺」の肉体に向かった。
フックで二人の肉体を固定する。
憑依薬の効果は一定時間継続する。
つまり、薬の効果が切れるまで、俺は元の肉体には戻れないのだ。
ブカブカの手袋に難儀しながら「俺」の手を救命艇の外殻から引き離す。
「俺」の手首の操作盤からロープの巻き取りを指示する。
やがて二人の肉体がコックピットに収まる。
キャノピーを閉じ、コックピット内の与圧が戻ると救命服を脱ぎ去った。
救命服の服越しでは正確な操作が困難な為だ。
只でさえ、本来の肉体よりも小さな少女となっているのだ。シートに座ったままではフットペダルにも届かない…
俺は「自分」の膝の上に座り、コンソールを操作した。
サポートAIが俺を俺として認識しないので全てを俺独りで対応する必要があった。
(憑依薬は最終手段だったからな)
と自身の判断を再確認するも、それで何が変わる訳でもない。
オートパイロットの設定まで済ます事ができた。
起動には「俺」の承認がいる。
俺は手袋を外すと、「俺」の掌を認証板に乗せた…
俺はそこまでで力尽きていた。
システムが起動を開始する音を聞きながら、俺は眠りに就く。
何故かいつもより安らかな感じがした。
そこは「俺」の腕の中であった…
捉えたビーコンに向かいバーニヤを吹かす。
星々が動き出す。
救命艇が視界に入ってくる。
窓の灯りが瞬いている。
古典的なモールス信号だ。
サポートAIが翻訳してゆく…
残存酸素量等の情報が届いてくる。
減速を開始…相対速度ゼロ…
キャノピーを開き、ハーネスを外した。
軽く跳躍し救命艇に取り付いた。
コネクターに信号ケーブルを繋ぐと艇内との会話が可能となる。
が、誰も応答する者がいない。
何が起きている?と窓から中を覗いた。
…
少女が独り片隅で蹲っている。
多分、通話装置への応答方法も解らないのだろう。
このまま根気よく通話の応答方法を教えても救命服を正しく装着させるには、残された時間はあまりにも少なかった。
俺は緊急事態だと自らに言い聞かせ、非常手段に出る事にした。
ヘルメットの内側に密かに仕込んでいたタブレットを放出しそれを咥え…飲み込んだ。
暫くして効果が現れる。
俺はスーっと肉体から脱け出した。
所謂、憑依薬である。
幽体離脱して艇内の少女に憑依するのだ♪
救命艇の外殻も難なく透過する。
一旦、少女の前に立つ。
「失礼するよ♪」
言っても彼女には聞こえない。
そのまま彼女の肉体に重なるようにして憑依した。
(誰?)
と彼女の意識が俺に向く。
説明している時間はない。
強制的に彼女の運動機能を奪い取った。
俺は彼女の目で艇内を確認した。
他に要救助者はいない。
次に救命服の位置を確認し、彼女の手足を使って移動する。
扉を開け救命服を引き出す。
その中に小さな肉体を収め、ヘルメットを装着する。
気密状態を確認し、次にコンソールに向かった。
緊急時のロック解放を指示する。
艇内の空気が一気に抜けてゆく。
気圧の変化に一瞬目眩がしたが、頭を振って気を引き締める。
天井に開いた脱出口をすり抜けて、外殻に取り付いた「俺」の肉体に向かった。
フックで二人の肉体を固定する。
憑依薬の効果は一定時間継続する。
つまり、薬の効果が切れるまで、俺は元の肉体には戻れないのだ。
ブカブカの手袋に難儀しながら「俺」の手を救命艇の外殻から引き離す。
「俺」の手首の操作盤からロープの巻き取りを指示する。
やがて二人の肉体がコックピットに収まる。
キャノピーを閉じ、コックピット内の与圧が戻ると救命服を脱ぎ去った。
救命服の服越しでは正確な操作が困難な為だ。
只でさえ、本来の肉体よりも小さな少女となっているのだ。シートに座ったままではフットペダルにも届かない…
俺は「自分」の膝の上に座り、コンソールを操作した。
サポートAIが俺を俺として認識しないので全てを俺独りで対応する必要があった。
(憑依薬は最終手段だったからな)
と自身の判断を再確認するも、それで何が変わる訳でもない。
オートパイロットの設定まで済ます事ができた。
起動には「俺」の承認がいる。
俺は手袋を外すと、「俺」の掌を認証板に乗せた…
俺はそこまでで力尽きていた。
システムが起動を開始する音を聞きながら、俺は眠りに就く。
何故かいつもより安らかな感じがした。
そこは「俺」の腕の中であった…
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