銀の細君は漆黒の夫に寵愛される

理音

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帝国・教国編

巡衛騎士の話(エイムズ視点)

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巡衛騎士のエイムズ・リューベン視点

ーーーーーーーーーー

俺が巡衛騎士として王都の門を守るようになって、初めての冬を迎えようとしている。それに気づかせてくれたのは、徐々に早まる日暮れの時刻とふとした時に感じる指先の冷たさだった。
俺は、エイムズ・リューベン。偉大なるフェニックスを始祖とする緋鳥族の末裔である。とは言え不死の身体などは絶えて久しく、他の種族と交わり数も減らした現在は緋色の羽根や髪などの身体的特徴と火魔法、そして先祖への尊敬と誇りが引き継がれるのみとなっている。
審査待ちの列が途切れた瞬間を見計らって、そっと指をこすり合わせた。視線を感じて、呟きを返す。

「そろそろ、手袋の季節かもな」
「いいよなーエイムは。いつでも魔法であっためられるじゃないか」
「いや、職務中に無用な魔力消費は避けるべきだ」
「・・・相変わらず、真面目だな」

そんな会話を風魔法持ちの同僚としつつ、時刻は夕暮れ。民は家路を急ぎ、冒険者たちは戦果をネタに飲み屋へと消えていく。
あと少しで、交代の時間を迎えようとしていた。


△▼△


今でこそ、隣に立つ彼とも軽口を叩き合う仲だが。全てが順風満帆だったわけではない。
今年の春、配置換えがあってすぐの頃。巡衛騎士団・・・王都の治安維持に努める同僚たちは、俺をどこか遠巻きに観察していた。
食堂でも、訓練場でも挨拶をすれば返事はある。だが、異動して1カ月の間、話しかけられる内容は事務連絡のみ。無視はされないものの、積極的には絡みに来ないような・・・いわゆる、腫れ物扱いだった。
それもそのはず、俺が異動したタイミングは新入団員を迎える時期とはズレていたし、近衛からの異動は実質的な左遷。実際、何をやらかしたのかと異動理由を訝しむ視線がたびたび背中に刺さった。
・・・親父肌で面倒見がよく、団員の手綱を握るのが上手い団長のおかげか、直接聞いてくる者はいなかったが。

だが、そんなよそよそしい空気は長く続かなかった。
別に、特別なことは何もしていない。俺は騎士であることに誇りを持っている。だから、異動したての新人騎士として当然のこと・・・可能な限り早く訓練場に行き、毎日の鍛錬を欠かさず、操る炎魔法の練度を上げ、規律を守る・・・を続けた。雨の日も晴れの日も、ただひたすらに。
そうすれば、おのずと信頼を勝ち得るものだと知っていたから。

――何よりも、王都を守りたい。
それが、騎士になったときに誓った、嘘偽りのない本心だった。

徐々に打ち解けていく同僚たちと交流を深める中で、1人の女性騎士―ユーリアとは特に馬があった。自分で言うのも何だが、向かうところ敵なしとはこういうことを言うのだろうと思った。
彼女は水魔法に長け、正確無比な氷槍と柔軟な判断力の持ち主である。俺と彼女の魔法は、訓練でも実戦でも打ち合うたびに整っていき、斬撃の間に生まれる蜃気楼は見学者希望の列ができるほどだった。

「炎冷の門番の二つ名、聞いたか?」
「ああ、霧蛾の一斉討伐に続いて、また北門で魔猪の群れを止めたらしい。エイムズが炎の壁で怯ませ押し返して、ユーリアが氷鎖で縛り上げたって」

そんな話が吟遊詩人の耳に入り、王都で若干の賑わいを見せたのは2人で正門に立つようになって3ヶ月後のことだ。
その日、森から溢れたらしい魔獣が群れをなして押し寄せ、王都の門へと突進してきた。当番だった俺たちは、炎と氷の魔法を交錯させながらその場に居合わせた新人団員たちを指揮し、城壁にも、入門審査待ちで並んでいた民にも一切の被害を出さずに終結させたのだ。
ひりついた現場だったが、終わった後の達成感は今まで味わったことのないもので・・・奢られて、久しぶりに飲んだ酒も旨かった。

「水は炎に有利なのに、なんで『冷炎』じゃないのか納得いかないけど・・・私たち、相性はいいかもね」

兜を脱ぎ、乱れた水色の髪を整えながら頬を膨らませたユーリアに脇を小突かれた時、俺は久しぶりに素直に笑えた気がした。
・・・ちなみに、冷炎れいえんは発語がちょっとな、と内心でずっと思っているが絶対に他言しないと決めている。エルフである彼女は、根に持つ記憶力がいいのが分かりきっているのだから。


△▼△


「・・・! やめっ・・・」

だが、その日の夜。
俺は夢で、また“銀”を見て飛び起きていた。

・・・すべてはもう、過ぎ去って終わったはずなのに。
ベッドの上で、浅く息をつく。サイドテーブルに置いている家族の写真は、寝る時に倒すのが習慣になっていた。せめて、もう話すことの出来ない家族とも夢で会えるようにと願いを込めて。
それを一度撫でてから、ベッドの上であぐらをいて目を閉じた。

・・・信じてもらえなくて当然だが。俺に妃陛下への恨みは、断じてない。
それでも、隠れ住んでいた村が聖騎士の粛清に遭い、祖母と妹が喪われた過去の記憶が・・・聖魔法を操る、銀髪への恐怖がどうしても拭えなかった。

そして、新年会の日のことを思い出す。
念願だった近衛騎士となり、初めて両陛下の導線上の警備を任された。俺は高揚する気持ちを抑えて、冷静にいようと深呼吸を繰り返していた。
ーお2人の姿を拝謁できる誉れを胸に、今後もより一層の鍛錬に励もうと。
廊下に立つ俺の前を、陛下と妃が進んでいく。柔らかな声が近づいてくるタイミングで、敬礼をして顔をあげた。
ちょうど目の前、その肩に流れるおぐしが目に入った瞬間。

息の仕方を忘れた。

両陛下が、共に通り過ぎられた後も胃の奥が反転し、手が震えて視界が揺れる。それでも意地で、震える足を叱咤して職務に忠実であり続けた。
ここで折れたら、騎士になるためにしてきたこと全てが無駄になる。自分の全てを、自分で否定することになる恐怖に襲われながら。

・・・そして、持ち場を離れる許可が出て。足早に駆け込んだトイレで俺は嘔吐してしまった。
胃の中が空っぽになって、ようやく頭を上げる。鏡越しに、こちらを睨んでくる自分の顔が脳裏によぎるたびに、今でも顔を覆いたくなる。

――騎士として、終わった。

足元から、全てが崩壊していくような感覚に襲われた。口を拭いながら、今後のことがぐるぐると脳裏に渦巻く。
・・・城内で働く者たちの中で、陛下の寵愛は有名だ。そんな妃に敬意を向けられない騎士を、団長が、何より陛下が放置しておくはずがない。
自分は近衛の恥で、粛清対象。そう確信し、絶望に眼の前が真っ暗になった。
それこそ、軍規で自死が禁止されていなければ、その場で首を掻き切っていたかもしれなかった。

しかし・・・4日後に呼び出された先で俺を待っていたのは、懲罰でも叱責でもなく、静かに座る騎士団長との面談だった。

「・・・事情は把握している。この面談は陛下の指示だ。希望があるなら言え」

書記官を隣に、青い瞳でこちらをまっすぐに見据える団長はそれだけを告げた。
その言葉に視界が開け・・・初めて気がついた。
この面談が行われるまでに、一兵卒ごときにどれほど配慮されていたか。憧れの、目標としていた彼から言われた言葉が、どれほど救いだったか。
だから、顔を上げて迷わず答えていた。

「自分は・・・まだ騎士でいたい。王都の警備にあたる巡衛騎士団への異動を、希望します」


△▼△


それからの月日は、ただひたすらに鍛錬と心の整理をつけるための時間を過ごした。門番として、季節の移ろいとともに街に入ってくる民、旅人、商人たちの笑顔と出会う。そのたびに、胸の奥が穏やかになっていくのを自覚した。
俺はまた、やり直せている。全てに絶望して短慮にならずに済んで、本当に良かった。その機会を与えてくださった全てに、感謝を捧げる毎日だった。

そんなある日のことだ。
夕刻、門番の昼番任務を終えた俺は、兜を外して軽く肩を回す。
正面からは、これから任務に入る新人が『お疲れさまです』と元気よく敬礼してきて、軽く頷いて返した。後ろには彼と夜番に入るユーリアもいる。
簡単に申し送りをしながら、ふと昼間の出来事が脳裏によぎった。

**

審査待ちをする列の後方、街道そばの茂みからこちらを覗いていた男。ローブはほつれて汚れていて、遠目でもわかるほどに顔色が悪く、唇が震えているように見えた。痩せこけた頬に汗が滲み、何かを必死に堪えているようだった。
午前の閉門が迫っていたし、列に耐えられるか尋ねようとしたものの、男は歩み寄る俺を見た途端に逃げるように街道の方へ消えてしまった。
ただの浮浪者か、魔物か賊に襲われて逃げてきたのか。ただ、鳶色の瞳に浮かんでいた怯え方は尋常じゃなかった。
一人残された俺の胸の奥に、言葉にしがたい嫌な感触が残った。

**

それ以来、男が再び現れることはなかったが、共有しておくべきだな。
甲着用のため高い位置に髪を束ね終えたユーリアに、口を開いた。

「ユーリア、共有事項だ。今日の正午ごろに妙な男を見かけた。顔色が悪くて、何かから逃げてるように見えた」
「ふぅん。旅人?」
「いや・・・たぶん、この街の者だ。装備がバック1つだったし武装も軽微で・・・とにかく、怯えていたな。俺の気のせいかもしれんが」

男の身体的特徴をメモして渡せば、彼女は少し眉をひそめた。冒険者として身を立てたこともあるユーリアは、そういうのには俺よりも慣れているのだろう。

「わかった、一応気に留めておく。団長は王城での会議が長引いてるらしいから、戻ってきたら私から報告するわね」
「ああ、頼んだ。じゃあ、夜番頑張って」

そう言って任務を引き継ぎ別れると、俺はいつもの家路についた。


△▼△


「お仕事、お疲れさん。今日は魚がいい出来だよ」
「じゃあそれで。いつものスープもお願いします」
「あいよ」

食堂に入って席に着くと、すぐさま皿が届けられる。焼き魚の香りが鼻腔をくすぐるが、俺は女将に断って指先で軽く火を灯した。
そのままでも十分うまいのだが、皮目を少し焦げるくらいにカリカリにするのが最近の好みだ。これを教えてくれたのも、今の同僚たちだった。
任務中は別として、こうして自分の魔法を“生きるため”に使えるのは、悪くないと思えるようになってきた。
近衛の時は敵の滅殺のため、とにかく威力を極めていた。しかし、王都の治安維持を司る巡衛騎士に必要とされる魔法は違った。
俺の属性である火は制御を誤ると、民を苦しめてしまう。その分この火加減炙りは、威力の訓練の一環としても有用だったのだ。
口に運べば香ばしい匂いと、少しきつめの塩気が舌に広がる。パリパリと音を立てて骨まで味わっていると、女将が話しかけてくる。

「順調かい? 最近よく笑うじゃないか」
「ええ。前も誇らしかったけど、今は特に同僚に恵まれてます」

そう言うと女将は笑って俺の肩を景気よく叩き、鍋に戻っていく。上に下宿している俺のことを知っているから、深くは詮索しないもののいつも気にかけてくれている、優しい人だ。
・・・あいつも優しい人に会って、無事に保護されていればいいが。
昼間の男の事を思いつつ、ふと窓の外を眺めた。
穏やかだった。外は時折賑やかになるものの静けさも同居し、食堂は賑わっていて、店の灯りがどこかほっとする暖かかさで。
――平和ってのは、案外こんな瞬間のことを言うのかもしれない。
スープを飲み干し、温まった身体のまま眠れるように勘定を払おうとしたその時だった。

耳が、キーンとする。一瞬疲労のせいかと思ったが、店の中の客も何人かが耳を押さえている。
続いてぞわりと嫌な感触が背筋を撫で、俺は咄嗟に剣を手に外へ出た。

初めに感じたのは、異様なまぶしさだ。
店の外が、妙に明るい。最初は誰かが魔法灯を爆発させたのかと思った。
でも、空を見た瞬間、胃の奥が冷たくなった。

ー光の線が、空を走っている。
流星ではない。それよりも強烈で、無慈悲な光。
紅く輝く球が、白光を尾に夜空を裂いていく。それが王都に張られた魔法障壁にぶつかり、バリンと何層か割れる音がした。
が、紅い球がこちらへ降ってくるスピードはゆっくりになり、光が弱まったように見えた。どうやら地表には落ちることなく、防がれたらしい。

「なんだ、魔法か?」
「魔物が落とした石か・・・?」
「まあ、障壁で大丈夫だろう」

そんな会話が辺りからパラパラと聞こえる。だが、俺は自分の耳をもう一度押さえた。
耳鳴りはまだ、続いていたから。
目を凝らす。シュウシュウと音を立てながら、闇夜に溶けそうなほど黒ずんだ球にヒビが入っていく。その色は


・・・銀だ


その瞬間、俺の身体は勝手に震えた。首を絞められたように喉に閉塞感を感じる。胸が焼けるように痛い。
それでも、声は出た。

「伏せろっ!!」

言った次の瞬間、耳をつんざく轟音。
空気が圧縮され、その衝撃に膝をつく。地面が揺れ、遠くで建物の窓が割れた。
そこかしこで、誰かが叫ぶ声がする。

しかし、それも耳に入らないほどの音と共に、空から銀白の閃光が降り注いでいた。
直視は免れたものの、眩しすぎて目が開けられない。
けれど、俺は知ってる。
聖魔法の光――あの日の、再現だ。

「きゃあああ!!」
「まぶしい!」
「嘘だろ、結界が」

びしり、びしりと不穏な音を立てて、王都を覆う防壁の魔力が次々と剥がれていく感覚がする。
俺は咄嗟に手を伸ばして、目の前の子どもを抱き寄せて背に庇った。
振動が王都全体を駆け巡る。空気の圧が肌を刺す。銀の光が迫ってくるように感じられて、恐怖が遅れてやってきて―――























・・・だが、いつまで経っても。悍ましい、皮膚を焼くあの感覚はこない。
それどころか聖魔法は地表に届くことはなく、光が徐々に弱まり・・・やがて夜の帷が戻ってきた。

俺は、恐る恐る視線を上げる。そして見た。

天上に広がる、淡く輝くベールを。

魔法が仕込まれていたらしい球はついぞ形をなくして、紅く溶け落ちた金属のようなものがベールの上を流れ落ちていく。
王都に常に展開されているはずの、多重結界。そのうち、かろうじて残ったその結界が・・・をしていたことを。

俺はそれを見つめて、深く息をついていた。
・・・それは、どこまでも静かで、どこまでも優しく、どこまでも美しい光景だった。

「火事よ!」
「誰か、助けてくれ! 妻が本棚の下敷きに!」
「まずは、鎮火だな・・・!」

あちこちで上がる悲鳴に聴力が戻ってくる。腕の中にいた泣きじゃくる子供をすぐさま親に引き渡し、俺はひとっ飛びで屋根に登ると火の手の方向へ急いだ。
声を張り上げ、市民を誘導する。今にも燃え落ちそうな屋根の下から、伸ばされた手を引っ張る。
先ほどの衝撃で照明がつかないところには、魔力で灯した蒼火を置いて誘導炉とする。
俺の魔法は、ただ敵を焼くためだけに存在するわけではない。民を守るための火だ。

「ユーリア! 応答しろ!」

非番の者に持たされる通信石に叫んでも、ノイズしか返らない。やはり強烈な魔力の影響は否めず、通信は混み合っているようだ。
焦げた匂いが肺に染みる。それでも俺は助けて、鎮火を続けた。誰かの泣き声が聞こえるたびに、その方向へ走った。


△▼△


どれくらい経ったのか、呼ばれる声に駆けつけて、いつしか騎士団に合流して救護活動を繰り返す。そのうちに、空は白み始めていた。
あれだけの攻撃を受けたのにも関わらず、王都は落ち着きを取り戻してすらいた。もちろん、まだあちらこちらから白い煙が立ち上り、怪我人は多数いる。しかし、王城からのポーション配布や治癒魔法師が常駐する避難所が速やかに設置され、救護にあたり続けている。
そして、さっき会ったユーリアは無事だった。念の為警備にあたっていたものの、森で魔物が暴れるなどの異常はなかったらしい。
俺は全身煤まみれだったのに、会った瞬間に抱きつかれて泣かれた。同僚の視線が別の意味で痛いのと、容赦ない抱擁に危うく絞め落とされるところだったが。
今は、泣き疲れて眠ってしまった彼女を隣に、門の上から王都を眺めていた。王都をぐるりと取り囲む城壁の支柱のうち、要石と呼ばれる魔石がいくつかあるらしい。そこから魔力が供給されたのだろうか、銀のベールはキラキラと輝いていた。

「・・・きれい、だ」

そう呟いた瞬間、俺はゆっくりと項垂れた。顔を上げて直視したいのに、それに相応しくないとも感じていた。
―この国において、聖魔法を操ることができる人を俺は1人しか知らない。かのお方が、王都を覆い尽くすほどの魔力を注ぎ、精緻な結界を施して・・・魔族である俺たちを守ったのだ。
それだけで、胸の奥が熱くなった。

「すみません・・・」

あの時、疑心暗鬼に陥りそうになった。恐怖を感じてしまった。妃陛下は、その身を挺して、王を、民を、守ったのに。
まだ若干の煙が昇る朝靄の下で、俺は呟いていた。
決して、届くことのない謝罪を。
涙が一滴、頬を伝う。

銀の光なんて、もう二度と見たくなかったのに。
その銀に守られて、生きている。


――王都は、生きている。
それで十分だ。

俺はまだ、剣を握れる。


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