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王国の聖女編
あとがき
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本作をお読みいただき、ありがとうございました。また、あとがきにも興味を持っていただきありがとうございます。実は、近況ボードの制限文字数(1000字)を大幅にオーバーしてしまい、分割するのはナンセンスと感じたのでこちらをお借りいたしたく存じます。もし、投稿ルールに抵触していたら取り下げますのでご指摘いただければ幸いです。
まずは、この場をお借りしてお気に入り、ハート、メガホン、しおりなどさまざまな形で反応をくださってありがとうございます。特に、メガホンについてよくわかっていなかったのですが、力強い応援機能だったのですね。お一方なのか、話ごとなのかわかりませんが、複数いただきまして感謝申し上げます。
また、久しぶりに文章を書いたのですが、修正と思いつき、そしてまた直して書き加えと行ったり来たりを繰り返しておりました。稚作ながらお楽しみいただけたのなら、幸いです。
さて、本編『不遇の令嬢~』当初からの設定としてあったのは
・各国ごとに聖女は最大1人。いない場合もある
・王太子レオフリートは幼少期から聖女に対して憧れを抱き、執着をしていた。また、風の魔法を使いこなす王国では稀有な存在
・偽聖女マリアンヌはロザリオの要石としてミュリエルの母の形見を使っている
・王太子と偽聖女たちで元辺境伯領のダンジョンを初踏破する
・王太子はミュリエルの名前を呼ぶことができず、彼女に拒まれる or アルディオスに排除される
の5点でした。全部を過不足なく入れ込むことができたので、個人的には大変満足しております。
今作【王国の聖女編】としてはマリアンヌ、レオフリートが新たな主要人物になります。もちろん裏テーマがあります。
1人目、マリアンヌの裏テーマは『有意識と無意識の悪意』『一方で良き行いが国が変われば悪になる』です。
彼女が、本物の聖女を手中に収めんとして呪ったのは有意識、その相手がミュリエルだったのは無意識。
彼女が、呪いの核としてアメジストのブローチを下賜したのは有意識、それがミュリエルにとって形見であることは無意識。
彼女が、扇子を贈り物として準備したのは有意識、それがミュリエルのトラウマだったことは無意識。
ある意味、間の悪さがすごいですね。ミュリエルにとってマリアンヌは、正体が定かでない、見えない相手という意味でも義妹以上に恐怖の存在です。
ちなみに、作中でミュリエルに向けられた3本の扇子・・・義妹の暴力、悪夢、献上品には、全て色味が赤系という共通点があります。そもそも、悪夢はミュリエルの深層心理から導き出されたもののため、義妹の被害に遭っていたときと同じデザインでした。また、血の色にも近いそれらは彼女にとって苦痛、理不尽、自らの無力さの象徴です。
また、本編で映像越しに義妹の暴虐を目にしていたアルディオスが、報告書にあったデザイン画や差し出された品を見てどう感じ、何を思ったか。きっと『親友との乾杯』がなければ、本当に直接手を下していたかもしれません。
また、王国では正義とされる魔物、魔族討伐が魔の国では悪になる。正確には、魔の国で庇護しているのは魔族のみで魔物は範疇外ですが、聖女の名の下に、自らの欲を優先して魔族を数多く手にかけたマリアンヌに冷酷な処罰を下すのは、ミュリエルの夫としてだけでなく魔王としての立場もあるアルディオスにとって当然のことです。
2人目、レオフリートの裏テーマは『あと一歩の男』『王子様らしい王子様』です。
もし、彼の婚約者探しの態を取り、その年に成人する全ての貴族令嬢を集めるパーティを王都で開いていたら。
もし、王国の貴族名鑑に複数年載っていただろう、ミュリエルの名前に目を留めていたら。
あるいは、自分が廃したボルマン男爵家の嫡女について、もう少し調べていたら。
そもそも、10年前ほどに実施した銀髪の少女の捜索を、教会主体ではなく王家主体で貴族の子女だけでも徹底的に行っていれば。
ミュリエルはアルディオスに出会う前に、レオフリートに出会っていたはずです。そして、自らの意思で彼の隣を選んでいた可能性すらあります。
レオフリートの設定年齢的に(10年前は12歳)、彼に全ての責任があるわけではありません。王国と教会の隙や油断をアルディオスの執着愛が穿った結果が本編であり、今作の基盤となっています。
また、彼はよくある当て馬ではなく、ただ1人の王位継承者として研鑽を弛まず行い、スマートに甘言もかわせて、周囲への気遣いも忘れない王子です。それでも、アルディオスとの圧倒的な実力差や2人の愛の前に夢敗れる男性であることを心がけました。読者の皆様にもそう読みとって頂けていれば、私の企みは成功です。
アルディオスも語っていますが、若輩なだけで魅了も自らの魔力で防ぎきり、挫折も味わい、人物的には問題がないので今後の彼の成長に期待したいところです。
また、今作ではミュリエル、アルディオスの精神的成長を描くことも大きな目標の1つでした。
特に、『備える2人』では思考内に登場人物名を多く入れることでミュリエルの世界の広がり、アルディオス以外との関係性も深まっていることを表現しました。『2人との邂逅』でミュリエル自らが、王太子に対峙しようと思える下地を作りたかったのです。
また、アルディオス自身も彼女の成長をちょっと、いえかなり気に掛けつつも(抱き締めた背後から無言で、じっと睨みを効かせながら)嬉しく、見守る姿勢を取れるようになったところが精神的に安定したかなと思います。
彼も、香袋のやり取りを通じて想いが一方通行ではなく、全幅の信頼で返されていることを深く実感しました。特に、ミュリエルの自由意志から返される愛に、今まで感じたことのない、満ちるような喜びを味わったはずです。
その結果、『2人との邂逅』でバラの香りを纏ったミュリエルが自分に抱きついてくるのを驚きながらも受け止めて、彼女の身を隠しつつもそのまま王太子と対峙する判断をしました。
アルディオスにとって、彼女の心身を守ることが最優先事項ですが、魔王という立場で遭遇してしまった以上、制圧済みとは言え自分の方が先に王太子の前を立ち去るような行動もしたくなかったのが本音です。
このように、2人の成長と安定が最終話の告白大会(後援:花の蜜)に昇華されます。ちなみにアルディオスのカップの中身は、彼の希望で最初から冷たいままでした。
彼女に本心を明かしてもらいから、自分も同じ分だけ、しかも先に飲む。それが彼の流儀です。
次作についてですが、少々お時間をいただきつつ、彼らの物語について短編、整えば長編を執筆できればと考えています。正直に言ってちょっと書きたい欲が出てきています。
・・・なにせ、思い立ってしまったので。聖女を容認する教会の総本山、すなわち教国について。
最後に、ご意見やご感想をいただけましたら本当に嬉しいです。一言でも、二言でも色々な視点からのご意見が、私にとって何よりの参考にも、励みにもなります。もし、公開を希望されない場合は一言いただければいたしません。
結びとなりますが、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。またお会いできる日まで。
まずは、この場をお借りしてお気に入り、ハート、メガホン、しおりなどさまざまな形で反応をくださってありがとうございます。特に、メガホンについてよくわかっていなかったのですが、力強い応援機能だったのですね。お一方なのか、話ごとなのかわかりませんが、複数いただきまして感謝申し上げます。
また、久しぶりに文章を書いたのですが、修正と思いつき、そしてまた直して書き加えと行ったり来たりを繰り返しておりました。稚作ながらお楽しみいただけたのなら、幸いです。
さて、本編『不遇の令嬢~』当初からの設定としてあったのは
・各国ごとに聖女は最大1人。いない場合もある
・王太子レオフリートは幼少期から聖女に対して憧れを抱き、執着をしていた。また、風の魔法を使いこなす王国では稀有な存在
・偽聖女マリアンヌはロザリオの要石としてミュリエルの母の形見を使っている
・王太子と偽聖女たちで元辺境伯領のダンジョンを初踏破する
・王太子はミュリエルの名前を呼ぶことができず、彼女に拒まれる or アルディオスに排除される
の5点でした。全部を過不足なく入れ込むことができたので、個人的には大変満足しております。
今作【王国の聖女編】としてはマリアンヌ、レオフリートが新たな主要人物になります。もちろん裏テーマがあります。
1人目、マリアンヌの裏テーマは『有意識と無意識の悪意』『一方で良き行いが国が変われば悪になる』です。
彼女が、本物の聖女を手中に収めんとして呪ったのは有意識、その相手がミュリエルだったのは無意識。
彼女が、呪いの核としてアメジストのブローチを下賜したのは有意識、それがミュリエルにとって形見であることは無意識。
彼女が、扇子を贈り物として準備したのは有意識、それがミュリエルのトラウマだったことは無意識。
ある意味、間の悪さがすごいですね。ミュリエルにとってマリアンヌは、正体が定かでない、見えない相手という意味でも義妹以上に恐怖の存在です。
ちなみに、作中でミュリエルに向けられた3本の扇子・・・義妹の暴力、悪夢、献上品には、全て色味が赤系という共通点があります。そもそも、悪夢はミュリエルの深層心理から導き出されたもののため、義妹の被害に遭っていたときと同じデザインでした。また、血の色にも近いそれらは彼女にとって苦痛、理不尽、自らの無力さの象徴です。
また、本編で映像越しに義妹の暴虐を目にしていたアルディオスが、報告書にあったデザイン画や差し出された品を見てどう感じ、何を思ったか。きっと『親友との乾杯』がなければ、本当に直接手を下していたかもしれません。
また、王国では正義とされる魔物、魔族討伐が魔の国では悪になる。正確には、魔の国で庇護しているのは魔族のみで魔物は範疇外ですが、聖女の名の下に、自らの欲を優先して魔族を数多く手にかけたマリアンヌに冷酷な処罰を下すのは、ミュリエルの夫としてだけでなく魔王としての立場もあるアルディオスにとって当然のことです。
2人目、レオフリートの裏テーマは『あと一歩の男』『王子様らしい王子様』です。
もし、彼の婚約者探しの態を取り、その年に成人する全ての貴族令嬢を集めるパーティを王都で開いていたら。
もし、王国の貴族名鑑に複数年載っていただろう、ミュリエルの名前に目を留めていたら。
あるいは、自分が廃したボルマン男爵家の嫡女について、もう少し調べていたら。
そもそも、10年前ほどに実施した銀髪の少女の捜索を、教会主体ではなく王家主体で貴族の子女だけでも徹底的に行っていれば。
ミュリエルはアルディオスに出会う前に、レオフリートに出会っていたはずです。そして、自らの意思で彼の隣を選んでいた可能性すらあります。
レオフリートの設定年齢的に(10年前は12歳)、彼に全ての責任があるわけではありません。王国と教会の隙や油断をアルディオスの執着愛が穿った結果が本編であり、今作の基盤となっています。
また、彼はよくある当て馬ではなく、ただ1人の王位継承者として研鑽を弛まず行い、スマートに甘言もかわせて、周囲への気遣いも忘れない王子です。それでも、アルディオスとの圧倒的な実力差や2人の愛の前に夢敗れる男性であることを心がけました。読者の皆様にもそう読みとって頂けていれば、私の企みは成功です。
アルディオスも語っていますが、若輩なだけで魅了も自らの魔力で防ぎきり、挫折も味わい、人物的には問題がないので今後の彼の成長に期待したいところです。
また、今作ではミュリエル、アルディオスの精神的成長を描くことも大きな目標の1つでした。
特に、『備える2人』では思考内に登場人物名を多く入れることでミュリエルの世界の広がり、アルディオス以外との関係性も深まっていることを表現しました。『2人との邂逅』でミュリエル自らが、王太子に対峙しようと思える下地を作りたかったのです。
また、アルディオス自身も彼女の成長をちょっと、いえかなり気に掛けつつも(抱き締めた背後から無言で、じっと睨みを効かせながら)嬉しく、見守る姿勢を取れるようになったところが精神的に安定したかなと思います。
彼も、香袋のやり取りを通じて想いが一方通行ではなく、全幅の信頼で返されていることを深く実感しました。特に、ミュリエルの自由意志から返される愛に、今まで感じたことのない、満ちるような喜びを味わったはずです。
その結果、『2人との邂逅』でバラの香りを纏ったミュリエルが自分に抱きついてくるのを驚きながらも受け止めて、彼女の身を隠しつつもそのまま王太子と対峙する判断をしました。
アルディオスにとって、彼女の心身を守ることが最優先事項ですが、魔王という立場で遭遇してしまった以上、制圧済みとは言え自分の方が先に王太子の前を立ち去るような行動もしたくなかったのが本音です。
このように、2人の成長と安定が最終話の告白大会(後援:花の蜜)に昇華されます。ちなみにアルディオスのカップの中身は、彼の希望で最初から冷たいままでした。
彼女に本心を明かしてもらいから、自分も同じ分だけ、しかも先に飲む。それが彼の流儀です。
次作についてですが、少々お時間をいただきつつ、彼らの物語について短編、整えば長編を執筆できればと考えています。正直に言ってちょっと書きたい欲が出てきています。
・・・なにせ、思い立ってしまったので。聖女を容認する教会の総本山、すなわち教国について。
最後に、ご意見やご感想をいただけましたら本当に嬉しいです。一言でも、二言でも色々な視点からのご意見が、私にとって何よりの参考にも、励みにもなります。もし、公開を希望されない場合は一言いただければいたしません。
結びとなりますが、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。またお会いできる日まで。
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