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王国崩壊編
139:久しぶり!
しおりを挟むエリーアス様の防御魔法で、私たちには怪我はなかった。だが衝撃はを受けた近隣の屋敷の一部に被害がでてしまい、王都は一気に緊急厳戒態勢へと変わった。
何しろ我が国で1、2を争う群青騎士団の寮が破壊されたのだ。城門はほとんどが閉められ、平民街と貴族街の交通も厳しく制限された。
その間私たちはというと、群青騎士団本部の会議室の一室を宿泊用に改造され、そこで待機を命ぜられていた。場所がないにしても私はともかく他の騎士は貴族だというのに、まるで閉じ込めるかのような処遇に抗議もしたが、本部の態度は変わらなかった。
奴隷たちは奴隷たちで別の部屋にまとめられているらしく、日に2度会って身体を重ねることしかできない。最低限の維持のみの精液が与えられるような状態だった。
私といえば先輩方と同じ部屋での生活に、何となく実家の大部屋が思い出されて少し気分が高揚したのだが、如何せん皆の反応は違っていた。
皆、プライベートルームがないことにストレスを感じているようだし、アンドレ先輩はバルタザールと難しい表情で会話している。
そしてエリーアス様は、事情聴取の名目で連れ出されてから一度も姿を現さなかった。
「まるでエリーアスが、国家転覆を企んだとでも言いたげだよな」
本部に閉じ込められるようになって3日後、窓際にあった椅子に座って外を眺めていたライマー先輩が不貞腐れたように呟いた。途端に皆の空気が張り詰める。
「ライマー、そんなこと嘘でも言うんじゃない」
「だってそうだろうが!一輪隊全員が監禁だなんて、こんな仕打ち納得できるか!」
アンドレ先輩の諫める言葉に、苛立ったようにライマー先輩が立ち上がって声を荒げる。それはどこか皆思っていたことなのだろう、その剣幕に言葉がない。
「ジルケだって、俺の奴隷だって取り上げられて!こんなの生命線握られたも同然だろうが!」
どちらかというとライマー先輩が言いたいのは、そちらの方のような気がした。私とてずっとユストゥスと寝起きを共にしていたので、急にそばにいなくなると落ち着かない。
「ちゃんと配給……もとい、性行為の時間は用意されてくれてるし、そこまで悪い扱いしようとしてるわけじゃないと思うよ~」
ジギー先輩が爪の手入れをしながらのんびりとした声をかける。内心はどうであれその仕草は優雅だった。
「けどあいつら、ヤッてる最中もめちゃくちゃ見張ってくるじゃねえか!気が散るんだよ!」
「だがライマー先輩は、見られるのも好きではないか」
「正直、興奮するけど!それはそれ!これはこれ!」
ぐっと拳を握って力説するライマー先輩に、何人かが苦笑を浮かべた。実際、衆人環視や複数プレイが苦手なクリス先輩やディー先輩は、とても複雑そうである。
「ライマーの言い分はわかるが……」
アンドレ先輩はこめかみを軽く揉んでから指を動かした。
<おそらくこの部屋の会話は聞かれている。だからエリーアスの不利になるようなことは言わないでくれ>
「な……んむ」
驚いた私が声を出そうとしたところで、右隣に座っていたクリス先輩が私の口を手で塞いだ。左隣に座っているディー先輩にも、指を自らの唇に押し当てて『静かに』という身振りをされる。この分だとこの部屋の音を拾われているのは皆知っていたようだ。
じとりと背中に嫌な汗がにじんだ。
「……どうしようディー先輩、クリス先輩。私は今朝の朝食に出たビスケットが、、まずいなどと口にしてしまった……美味しいバルタザールのカップケーキや、おじさまのくれる菓子に身体が慣らされてっ」
「……それは、聞かれても大丈夫だから」
「ふふふ。クンツくんはそのままでいてくださいね」
こそこそとお二人に相談すれば優しい眼差しを向けられ、よしよしと頭を撫でられる。それとは別にライマー先輩とアンドレ先輩の間で嫌な緊張感が続いていた。
「はっ、聞かせてやってんだよ。みんなでエリーアスを腫れものを扱いすぎじゃねぇのか」
「ライマー。君の気持ちもわかるが、今ここで苛立っても仕方ないだろう」
肩を竦めながら鼻で笑ったライマー先輩に対し、真向かいに立ったアンドレ先輩が眉間に皺を寄せる。
「……っは!水差しの水もまずいと言ってしまったのだが、それも聞かれてはないだろうか?問題になりはしないか?でも本当に、まずい水なのだが……でもエリーアス様のお立場になにか影響があっては「おいこら子熊!こっちは真面目な話してんだよ混じってくんな!」」
ライマー先輩に怒られてしまった。
ぱんっと手が打ち鳴らされ、視線が皆ジギー先輩の元に向かう。
ジギー先輩は先ほどディー先輩がしたように自分の唇に人差し指を押し当ててから、固有スキルである魔法で作った桃色の糸をそろりと水差しに伸ばして糸先を付ける。そして引き抜くと、糸の色が変質していた。
<ぜんっぜん俺は味なんて気にしてなかったんだけどさー、この分見るに水にもなんか混じってる。魔法の類じゃない。何かの薬草の類だ>
するとクリス先輩が立ち上がって水差しをとり、ぽたぽたと数滴大理石のテーブルに垂らした。指先に魔力を篭らせ、その水に触れる。それからゆっくりと頷いた。
<魔力を感じなかったので、迂闊でした。微量ですが、確かに精神に作用する成分が含まれてますね。口を滑らせやすくしたり、神経に障る感覚があるのはこれのせいでしょう。……水は毎回僕が浄化します。身体に大きな害があるわけではないでしょうが、気分のいいものではありませんからね>
「ということは、ライマー先輩のかんしゃんぐ」
ライマー先輩の癇癪はその水の所為なのかと言おうとしたところで、今度はディー先輩に手で口を塞がれた。
<クンツも手話、できるでしょ?>
ゆっくりとだが私に言い聞かせるかのように手を動かされ、私は両手を無駄にわきわきと動かした。
確かに勉強もしたし手話を読み取れることは出来るようになったが、自分で手を動かすことはまた別だ。四聖寮の兄弟も、きちんと覚えているか危ういと思うのだが……。
私が眉尻を下げると、またお二人に微笑まれる。ライマー先輩はちっと舌打ちをした。それからばつが悪そうな顔でアンドレ先輩に頭を下げる。
「……悪かったよアンドレ。確かにお前に当たってもしょうがねえよな」
「いや、わかってくれればそれでいい。……しかしクンツの舌はすごいな」
<良く気づいた>と手話でアンドレ先輩に褒められて気分が上昇する。立ち上がってのしのし歩いて近づくとアンドレ先輩にも頭を撫でてもらった。
「お前、ほんとその図体で愛され系だよな……」
「ライマー先輩も私を見習うといいぞ」
「誰が見習うかよ!」
えへんと私が胸を張ったところで、部屋のドアがノックされた。
「食事の時間だ」
そう外から声を掛けられ、私たちは全員で顔を見合わせた。
食事は配慮なのかなんなのか、よくわからないが他の個室に一人一人連れ出されて奴隷と引き合わされて行われた。そしてその行為中に、一人監視役が付く。群青色の服を着ているが騎士服ではないし、身のこなしからしても下働きの文官だろう。
魔力を感じないので平民に違いないが、大抵無機質な目で行為を眺められるので、ライマー先輩が言う通り落ち着かないのは確かだった。
今日の私の順番は一番最後だった。
日に二回と定められているが、それは朝晩に分かれているというだけで、その時間に奴隷が達せれば十分に魔力を生成できる。……が、一度終えると監視役に引き抜くよう声を掛けられるので、おそらく私たちの戦力低下も目論まれているようだった。朝晩2回だけでは、十分とは言えないからな。
もっとも私の奴隷のユストゥスのように、素知らぬ顔でびゅーびゅー精液をおまんこに注ぎながら、さもまだ達してませんという顔で腰を振ることが出来る奴隷がいれば容易い。
クリス先輩の奴隷のエイデンはそれが下手なようで、前に一度ユストゥスと交換されてきていた。実際どうしても達した瞬間に腰の動きやら、息遣いやらに快感が出てしまうのは見ていてわかる。エイデンにしてみれば自分の力量不足で、クリス先輩の身体をユストゥスに任せることになるのが悔しいらしい。
おかげでがつがつと突き上げられて、私はなかなかに気持ちよかった。
満ちた表情の先輩方をしり目に、ぐうぐう腹を空かせた私は下腹を撫でながら部屋を出た。今日の監視役もまた魔力を感じないので平民のようだった。
都度監視役は変わる。性行為を見せられたところで嬉しくもないだろう。もしかしたら記憶を消されているのかもしれない。アンドレ先輩が言うには副団長であるマルツィオ様の魔力を感じるというので、あのお方が操っている可能性があるということだった。
案内された小部屋に入るとすでに部屋の中にはユストゥスがいて、監視役の男が部屋に入り鍵をかける。
部屋にはベッドと監視役が腰掛けられる椅子しかない。いつもならすぐに抱き寄せてくるユストゥスの動きが鈍いことに若干の違和感を感じつつ服に手をかけたところで、監視役の男が部屋の隅に魔具を置き始めたのを見てぎょっとした。
「なんっ」
ユストゥスが私の身体を抱き締めながら、監視役の男と距離を置くように後ずさる。軽く鼻をスンと鳴らしたユストゥスは小さく舌打ちしつつ私の口を手で塞いだ。
こう何度もいろんな人にされれば私も学習する。喋るなということだろう。言いたいことはあったがひとまずは黙って様子を伺う。にしてもあの魔具、どこかで見たような……。魔具が鈍く輝き、稼働を始めた。
「も喋ってもいいぜ」
先ほどまで無表情だった男がにやりと頬を歪ませて笑った。不遜な態度でベッドに足を組みながら腰掛ける。
ユストゥスは眉間に皺を寄せたまま私を放した。私はすぐさま振り返ってユストゥスを睨みつける。
「おいユストゥス。私とて言われればちゃんと黙る。手軽に口を塞ぐという手を使うな」
<……悪かった>
少し驚いたユストゥスが手話で謝罪するのを見て、私はふす、と鼻息を漏らす。それから監視役の平民に振り返った。
「それとお前、私たちはこれからおまんこするのだからそこに座るな。あっちに座れ」
「いやぁなんなら、俺も参加しよっかなぁって思って」
部屋の端にある椅子を指差すと男がおかしそうに笑う。馴れ馴れしいが平民に知り合いなどいたか?平民の兵士たちとは戦場で交流があるが、顔や体つきを見ても心当たりがない。へらへらと品のない笑い方をし、どこか軽薄そうな印象を与える表情の男だ。
私が訝しげに見ていると、にやにや笑っていた男の表情が凍り付き始めた。
「えーっと……ま、マジでわかんねえ?あれだけセックスしたのにぃ?」
「知らん!お前のような男とはしていない!」
「あー……これならどうだぁっ!」
頭を掻いた男の身体をみるみるうちに魔力が包んでいく。ぞわりと身体が震えた。この魔力、確かに感じたことはある。が……誰だ?貴族でほとんど知り合いはいないし、魔力があるのにない振りをする相手など記憶がない。
じっと見つめていると、なぜだか期待をした眼差しを向けてくる。うーん?
この溢れる小物感……軽薄な口調……うっ、確かに既視感はある。が、思い出せそうな気がしない。ちらりと背後を見やると、ユストゥスは口元に手をやり、壁に寄り掛かりながら何か考えているようだった。
「ユストゥス、お前こいつを知っているな?誰だ」
警戒が全くない様子に問いかけると、ユストゥスは私と男を見比べた。それから苦笑しつつ手を動かす。
<消音魔法、消せずに外して後で戻せるか聞いてくれ>
「うん?おいお前。消音魔法、一度外して戻せるか?」
手話を訳して男に聞けば、ユストゥスはれっと舌を差し出して消音魔法を見せた。舌に刻まれた魔法印に男は眉間に皺を寄せる。
「あ、なんだ。喋れねえの魔法のせいだったのかよぉ。さっさと言えよぉ。なに消すんじゃなくて、外すだけでいいのか?」
「いいのか、って出来るのか?すごくすごく、難しいのだぞ?」
「こんぐらい簡単っつか、ほんと人間は単純な魔法印ばっか使ってやがんなぁ」
ぶつぶつと呟くと、ぺりりっとユストゥスの舌から魔法印が剥がれた。ご主人様がしていたのも見たが、魔法印を崩さずに剥がすのは、本当は高等術式なのだがな……。
「んっ?」
ご主人様の、ヒュギル様のことを思い出して、誰かが脳裏をよぎった。いたいけな幼女だった私に散々無体なことをして、それなりのおちんぽを持っていた軽薄な男がいたはず……。
途端に、私の優秀な頭が最適解を導きだした。
「あっ!お前肉棒か?!」
正直頭がぐわんぐわんしていた頃に会っているので、顔はほとんど覚えていない。連邦から離れるときにもわあわあ騒いでたことは覚えているが、気付けばいなくなっていた。どこで退場したかすらも定かではない。
しかし!私のことだ、おちんぽを見れば思い出すはずだ。
私は肉棒のベルトを素早く外し、ファスナーを引き下ろすと一気に下着ごと引き下ろした。
「ぎゃっ?!」
「ああ確かに、こんな肉棒だったな」
隠そうとする手を押しのけ、まだ萎えたままのペニスを手の平に乗せて持ち上げる。多少は赤黒く淫水焼けしているが、刺激を与えると簡単に精液をびゅっびゅしてくれる弱ちんだ。
「なんと懐かしい……よしよし、元気だったか?」
軽く先端を撫でて、ふっと息を吹きかけるとぴくんと反応を示した。途端に腰が引かれ、手で覆われて肉棒が遠ざけられる。
「てめっ相っ変わらず、俺の股間しか見てないのやめろっつーの!俺の名前はフィルジだって、何度も言ってんだろうがぁっ!」
私におちんぽを撫でられた程度で、肉棒は、ヒュギル様の配下のフィルジは、情けない悲鳴を上げた。
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