世界の深淵を0歳までの退化デバフをかけられた俺が覗くとき

卵くん

文字の大きさ
29 / 70
アルゴーの集落編 〜クーリエ 30歳?〜

X-29話 深刻な事態の張本人

しおりを挟む
「そこにいるのは気づいてたよ。でも、こっちに来るんじゃない。これは、僕たちの、強いてはこの集落の問題。君のような部外者が首を突っ込んで良いような状況じゃないんだ、僕の話理解してくれるよね?」

 バレている。その事実が俺の心を大きく揺るがせた。存在を知られていなければ、奇襲といった形で命を追い詰められている博士と呼ばれる人物を助けることはできるだろう。だが、その策が通じない以上他に打てる手は一つしかない。そう、正面きっての強行突破。

「今回はちゃんと発動してくれよな~、俺の天恵! 放て!!」

 拳を振り下ろす直前に右手に祈りを込めるように見つめる。女王アリとの交戦中では発動しなかったというところまでは記憶しているが、その先は怪物の攻撃によって意識を飛ばされてしまい、残念なことに覚えていない。

だが、後になってコルルから聞いた話だが、俺を助けた時に怪物の姿はどこにもいなかった。その代わり、怪物の頭だけが洞窟内に侵入した水流に流されていたのを目撃したと。あの場に他に誰かいたのかな、と尋ねる俺だったが、彼女はそんな人は見ていないと答えた。

 つまり、あの怪物は俺の攻撃、天恵から生み出される強大な力を纏った拳の一撃で死に追いやったのだ。どのようにして天恵をコントロールしたのかは覚えていないが、あの場に限ってはそれが再びできた。それが、今回はできないなんてこと起きるはずがない。

「ウォォォ!!!」

 右腕に溜めた力を一気に解放する。風を切る速度で正面に突きつけられた力拳は、宙に滞在しながらも、前方方向に巨大な音と共に、強大な衝撃波を辺り一面に撒き散らす。目の前にある炎の壁を消すという目的で放たられたそれだが、そんな繊細な力の加減が可能な訳がなく、障壁を突き抜け、その後ろまで衝撃波を飛ばす。木々がそれに揺らされ大きく靡く。

手前の木々はその突如として生まれ、襲いかかった力の風流に耐えることができず、押し倒されまさにドミノ倒しのように手前は力に押されて倒壊し、奥の方は力の影響をあまり受けなかったことで木の幹を力に従ってそり返る。

当然そのような強大な力の波を目の前で受けた、二人の人間は交渉の余地もなくあえなくして衝撃に耐えれず吹き飛ばされ、後方に伸びる木に後頭部を強く打ちつけ、そのまま動かなくなった。

「さぁ! かかってこい!! ってあれ? 二人とも??」

 事態の深刻さに一番最後に気づいたのは俺だった。戦闘態勢に入るもうんともすんとも言わず、静寂だけが返ってくるこの状況に当りを見渡すと、先ほどまでここにいたであろう人物が両者ともピクリとも動かないのだ。俺は次第にゆっくりと状況を飲み込んでいく。と、同時に背中に冷や汗が大量に溢れ出る。

「あ・・れ・・? もしかして、これってやばい??」

 数秒後、俺は吠えるようにして旅のパートナーである彼女の名前を大きく叫ぶのであった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

一国一城の主を目指す!〜渇望の日々を超えて。

リョウ
ファンタジー
 何者かになりたかった。  だが現世でその願いは叶わず、男は敗北感と悲嘆を胸に沈んでいた。  そんな彼の前に現れたのは、一柱の女神。  導かれるまま異世界へ転移した男は、新たにレイと名乗り、剣も魔法も身分もない底辺から成り上がることを決意する。  冒険者として生きる術を学び、魔法を覚え、剣を磨き、人と裏社会を見極めながら、レイは少しずつ力を蓄えていく。  目指すのは、ただ生き延びることではない。  一国一城の主となり、この世界で“何者か”になること。  渇望を燃料に、知恵と執念で上へ上へと這い上がる、ファンタジー成り上がり譚。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる

ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。 レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。 これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

処理中です...