世界の深淵を0歳までの退化デバフをかけられた俺が覗くとき

卵くん

文字の大きさ
67 / 70
アルゴーの集落編 〜クーリエ 30歳?〜

X-67話 心の叫び!!

しおりを挟む
「子供扱いされるのは好きじゃないんだよ、トモキのおばさん。それは、おばさんもご存知の通りね。だから、もうこれ以上はやめてくれないかな。ただでさえ、僕は怒られて、少し気が立っているんだ」

 睨みを飛ばすユウシ。だが、そんなことは気にも留めず、トモキの母親は会話を続ける。

「あなたはとても優しい子だったから。で、早くにご両親を亡くされてはしまったけど、誰もこの集落の人が放っては置かなかったわ。それどころか、本当の自分の子供のように可愛がる夫婦もあったわね」

「え・・? ユウシ、あなた親を亡くしているの?」

 思わぬカミングアウトに呆気に取られるコルル。その質問に対して、ユウシは無反応という返事を返してみせた。

「そうよ、コルルちゃん。彼のご両親は、どちらもとても優れたお医者様でね。彼らが発明した医薬品で多くの人が救われている事実を讃えられ、一度王都までご招待されたほどなの。その血を、彼も引いているの」

「おばさん・・・! あまり、勝手なことを言わないでもらえるかな? これ以上、僕のことを関係のないこの二人に話すな・・・!!」

「口が悪いぞ、ユウシ。 少しは大人の言うことをまともに聞かんかね」

 怒りを露わにして威嚇するユウシを、この野営地で医療に当たってくれていた医者が牽制する。それを聞き、ユウシは今にも噛みつきそうな牙を引っ込めた。

「だからかしら。彼もまた、同世代いえ博識のお医者様にまで圧倒するほどの、医療知識を幼い頃に全て習得してみせたの。これは、天恵とは異なる一種の才能。神が与えた天賦の頭脳。だからこそ、気づいたのよね?」

「気づいたって何に?」
 
 尋ねるコルルに、おばさんは優しい笑みを浮かべ、それでいて悲しい雰囲気を漂わせる。

「ご両親の事故がもしかしたら、誰かの悪意によって仕組まれたものなんじゃないかって。彼はそう思ったのよ」

「ユウシ・・・。お前、だからあんな怪しいカーブスの元にも近づいたのか・・?」

 ずっと黙っていたが、俺からもついに言葉が漏れてしまう。その問いに対して。ユウシは黙って下を向くばかりだ。だが、何か言いたそうに唇を強く噛み締めている。

「ユウシ。お前さんには伝えてなかったがな・・・」

 話し出す白衣を着た男性。

「この集落にいた者。少なくとも、この野営地にいる子供を除いた全員は、今回の一部始終を知っておる。詳細までは知らん。ただ、お前さんがその事実を探るべく、危険と命を顧みず、危ないことに首を突っ込んだことはな。もちろん、この火災が誰の手によって引き起こされたのかも・・」

「知っていたのかい?」

 ようやく口を開いたユウシ。面を上げ、その声はどこか侘しさを感じさせる。それを強調するように、頬を溢れる一線の雫。ユウシの心の中に封じ込めていた叫びが、今形となって外に現れたような、そんな気がした。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

一国一城の主を目指す!〜渇望の日々を超えて。

リョウ
ファンタジー
 何者かになりたかった。  だが現世でその願いは叶わず、男は敗北感と悲嘆を胸に沈んでいた。  そんな彼の前に現れたのは、一柱の女神。  導かれるまま異世界へ転移した男は、新たにレイと名乗り、剣も魔法も身分もない底辺から成り上がることを決意する。  冒険者として生きる術を学び、魔法を覚え、剣を磨き、人と裏社会を見極めながら、レイは少しずつ力を蓄えていく。  目指すのは、ただ生き延びることではない。  一国一城の主となり、この世界で“何者か”になること。  渇望を燃料に、知恵と執念で上へ上へと這い上がる、ファンタジー成り上がり譚。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる

ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。 レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。 これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

処理中です...