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34日目 クラスの中心!五人の女子生徒!!

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 時刻は12時40分を指している。教室は昼の暖かな陽気が差し込み、それに照らされながら昼休みの賑わいを見せている。特に、一際大きな笑い声が生まれているのは、彼女の集団だろう。中心にいて、周りの女子学生に埋もれているにも関わらず、存在感を放つ赤い髪の女子。僕は知らなかったが、聞けば彼女はとてもお金持ちの家の娘らしいじゃないか。

「はぁ。それに比べて僕は・・・」

 教室のど真ん中という最高の席のポジションを与えられているはずが、その周りを囲む学生の姿はどこにも見当たらない。それどころか、今教室にいる生徒で、お弁当を一人で広げているのは僕しかいない。女子はグループ意識が強く、周りに置いて行かれることを嫌うと、どこかの本で読んだことがある。

それが、今まさに起きているとしか言えない。誰も、僕に話しかけてくることはない。それこそ、朝のショートホームルームで話した後から、誰とも話していない自信がある。

「寂しいけど・・・。自分から声をかけにいくなんて。そんな高度なコミュニケーションは取れない!!!」

 心の中の悲痛の叫びは誰の耳にも届かない。僕一人の中で完結している。ちなみに、ここに至るまで僕らは四つの授業を受けてきた。その中で分かったことを軽く説明したい。この教室にいて、特に目立っている女子学生についてだ。

 目立っている学生は、僕を除いて19名いる学生。その中で主に5人の生徒が挙げられる。

 一人目が、飛び抜けて存在感を放っている赤い髪をトレードマークにする女子。吉良一美。持ち前の明るさと、コミュニケーション能力を生かして、すでにこの教室の中で最大派閥の集団を作り上げている。その数は、彼女を含めて6人いる。今後、色々な場面で彼女の意見がクラスの意見となる日が訪れることは想像に難くない。

 二人目は、明るい茶色いに染めた髪の毛を垂らし、その割には膝下が露わになるほどの短いスカートを履いている女子学生。名前は、確か自己紹介の授業では、後藤みやびって名乗ってたっけ。太々しそうな顔を浮かべながら。しかし、やんちゃな格好を装っている一方で、その容姿はとても端正であることは疑いようがない。どこかのアイドルでも通用するのではないか、という可愛らしい美貌をしている。彼女の周りには、彼女に似た服装をしている学生が2名、金魚のふんのように周りを固めているのも、特徴的だろう。

 三人目は、このクラスの女子学級代表に名前を連ねた生徒。名前を、高野尚子たかのひさこ。僕は、彼女のことをひさちゃん、と呼ばなくてはいけなくなっている。まぁ、女子代表ってわざわざ言い表しているのだから、気づいているかもしれない。もちろん、男子代表が僕だからだ。彼女は、一言で表すと優等生と言えるだろう。三つ編みを丁寧に巻いた光沢溢れる長髪の黒髪。そして、大きな瞳を隠すように、度のきつい眼鏡を目にかけている。だが、その下に隠された長いまつ毛や、少し茶色を帯びた眼は、見るものを吸い込むようなブラックホールを彷彿とさせた。

 四人目は、誰とも与することのない一匹狼を貫いている女子生徒。名前は、佐々木愛菜ささきまな一人でいる時、彼女が何をしているのか。それは、たった一つので、常に勉強をしている。神秘的に思えるほどの、幼女を連想させる体つきをしているが、彼女の頭に詰まっている知識には舌を巻くほどであった。彼女は、午前中の授業で、先生から指された問題に関しては全て解答してみせた上に、先生を圧倒するほどの余分知識も十二分に授業内で発揮して見せた。僕の読みではあるが、静かに水面下で彼女のファンクラブができつつある風潮を感じ取っていた。伊達に、コミュ障と教室の真ん中に席をおいていない。

 そして、最後。映えある五人目は、この前述した四人よりも遥かに大きなインパクトを残してみせた人物。それも、授業が始まってすぐにだ。そう、彼女の名前は・・・宮本芳佳みやもとよしか。僕らの担任の先生である、宮本先生の一人娘だ。

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