学園に男子学生は僕一人!? コミュ障の僕には、そこは天国ではなく、地獄です

卵くん

文字の大きさ
33 / 42

33日目 本当の痛み

しおりを挟む
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 廊下側に目立つように掲げられる、3-D組の小さな看板。たった、01教室で、窓側に静かに座る女子生徒は、目線を外にやり、静かに髪を靡かせる。先生の言葉は耳に届いてはいるが、頭には残らない。ただ、流れていくのみだ。

「これから、私あの子と上手くやっていけるのかしら」

 はぁ。私の寝癖が悪いことは、重々周知しているつもりだった。気がつけば、寝ている間に、移動しちゃうことがあることも。でも、流石に部屋に来ないでって言った手前で、私から先に入るなんて、どうかしているとしか言えない。その上、手もあげちゃうし。

「痛かったかな・・・?寝ていたから、気づかなかったのかしら」

「何ボソボソ話しているのよ。気持ち悪い」

 女子生徒は、外を向いていた視線を教室の中に戻した。3年生にもなると、ホームルームの時間は、慣れからかより短いものとなったようだ。既に、担任の先生の姿はなく、教室内は賑わいを見せていた。そして、目の前に立つ女子生徒は、明るい髪色をしながらも、対照的に、冷たい視線を彼女に向けてきている。賑わいとは、無縁の存在であるかのように。

「また妄想にうつつを抜かしていたのかしら~!? はははは!!! ほんと、夢見る少女の生徒会長様だこと。今一度、現実に戻って来れるように、またあの痛さを思い出させてあげようか~!!!」

 冷たい一線を向けてくる彼女の隣に、急に現れる大柄な女子生徒。制服のサイズが規定外らしく、一年時から体格にあっていない制服を無理矢理伸ばして着用している。

「ばか!! こんなところで大声で言ってどうすんのよ! 先生に聞かれたら、私たちこそ一巻の終わりよ。あんただって、もう時期があるんでしょう? ミスミス棒に振る気!?」

「ご、ごめん・・・。つい」

 腰に手を当てながら咎めると、大きく見えた体格は見る見るうちに小さく萎んでいくように見える。その姿は、滑稽のように映るが、誰も彼女たちの行動を非難する人はいない。

「戯言なら、私のいないところでやってくれますでしょうか。欠伸が出る程度の漫才でも見させられている気分になりましたわ。それに、あの程度のことで痛みだとお思いになっていらっしゃるのなら、余りにも滑稽ですわね。あぁ、お金持ちのお嬢様で、常に胡座をかいているお二人には分からないのでしょうね」

 ため息をつきながら、座っていた椅子を押し引き立ち上がる。そして、先程の彼女よりも冷たい視線を二人に向ける。あまりのそれに、二人は思わず身震いをしてしまうほどだ。だが、彼女は続く言葉を止めることはない。

「本当の痛みが——どんなものなのか」

 怪物と対峙しているかのような、緊張感。それを、感じたのは言葉を向けられた二人だけであろう。だが、その言葉の冷酷さは聞こえずとも、静かに教室内に響き渡り、皆の肩を少し震わせるのであった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

洗脳機械で理想のヒロインを作ったら、俺の人生が変わりすぎた

里奈使徒
キャラ文芸
 白石翔太は、いじめから逃れるため禁断の選択をした。  財閥令嬢に自作小説のヒロインの記憶を移植し、自分への愛情を植え付けたのだ。  計画は完璧に成功し、絶世の美女は彼を慕うようになる。  しかし、彼女の愛情が深くなるほど、翔太の罪悪感も膨らんでいく。  これは愛なのか、それとも支配なのか?  偽りの記憶から生まれた感情に真実はあるのか?  マッチポンプ(自作自演)の愛に苦悩する少年の、複雑な心理を描く現代ファンタジー。 「愛されたい」という願いが引き起こした、予想外の結末とは——

訳あって学年の三大美少女達とメイドカフェで働くことになったら懐かれたようです。クラスメイトに言えない「秘密」も知ってしまいました。

亜瑠真白
青春
「このことは2人だけの秘密だよ?」彼女達は俺にそう言った――― 高校2年の鳥屋野亮太は従姉に「とあるバイト」を持ちかけられた。 従姉はメイドカフェを開店することになったらしい。 彼女は言った。 「亮太には美少女をスカウトしてきてほしいんだ。一人につき一万でどうだ?」 亮太は学年の三大美少女の一人である「一ノ瀬深恋」に思い切って声をかけた。2人で話している最中、明るくて社交的でクラスの人気者の彼女は、あることをきっかけに様子を変える。 赤くなった顔。ハの字になった眉。そして上目遣いで見上げる潤んだ瞳。 「ほ、本当の私を、か、かかか、可愛いって……!?」 彼女をスカウトしたことをきっかけに、なぜか「あざと系美少女」や「正体不明のクール系美少女」もメイドカフェで働くことに。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...