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春
勉強
しおりを挟む「で、このざま?本当にお馬鹿だね」
佐山の声が聞こえて、脳で理解することをやめた。
目の前には、52点と書かれた国語の答案用紙と課題のプリントたんまりと。
「お馬鹿なメガネくん。僕が助けてあげようか?」
「もちろん、有料でさ」
女子の皆さん。
お前らが天使だと宣うこいつは、間違いなく悪魔だ。
ミルクティー色の癖っ毛がチャームポイントらしいが、いつかその髪グッシャグシャにしてやりたい。
ぎろりと睨みつけても、けたけた嗤うこいつには効果がない。
目つき悪いはずなのに、おかしい。
「古典難しいし、赤点って訳じゃないしさ。春希は色々言い過ぎ」
「だって、あーんなに言ったのに。結局ここでも読む順番間違えてるしさ。レ点、忘れたの?」
「いや、忘れてない。覚えてはいるけど…」
「応用は、別だよな」
篠原の前には、化学の答案用紙。
点数部分は端から折られて伏せている。見えない。俺はこんなに堂々としてるのに。
だが失点部分は多そうだ。
こいつも、仲間だな。
「2人とも、ぐだぐだ言わずさっさとプリントやりなよ。僕帰るからさ」
にんまり笑顔。
佐山の片手にはコーヒーの缶。
ぐびりと飲む姿は、いまだに慣れない。
「春希、それ俺のおごりだったよね」
ぽつりと、篠原が。
佐山の顔が、ぴしりと固まった。
ちなみにそれ、俺も出資してるからな。
ーーーーー
ーー
「あり得ない!あり得ないでしょ!お前ら60円ずつで僕の家庭教師代?ふざけんなよ。足りないって!」
女子ではない、少しトーンの高い声。
教室に響く響く。
癖っ毛が逆立っているようにも見える。
猫か、お前は。
「よかったね鈴木。ちょうど教えてくれる人がいて」
「お、おう。助かるわ」
「彼方!ふざけんな!メガネも、なーに教えてもらう気満々なのさ」
「ありがとね、春希」
「ありがとな、佐山」
ふわりと笑う、篠原はつよい。
これはもう、右に倣えでいいか。
「お前ら2人とも、覚悟してなよ」
なんだかんだで、こいつ。
俺のこと見捨てないんだな。
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