ハルカカナタ

立花 律

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帰り道

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「つーかーれーたー」


佐山春希は叫ぶ。


「春希大丈夫?帰りにコンビニ寄ろうか?」


篠原彼方はにっこりと爽やかな笑みを浮かべる。



そして、俺は。




「なっんで!俺が!

お前らの荷物を持たなきゃならない?!」


自分のスクールバックにプラスして、2人の荷物を抱えている。


「いや、当たり前だから。
このかわいそうな足が見えないわけ?」



それは、3時間ほど遡る。



ーーーーーー

ーーー



昼食後の体育。
腹が満たされた満腹感と、午後の陽気にあてられて眠気が強い。

体育館の隅で、バスケの交代を待つ生徒の中。壁にもたれウトウトしていると。


「寝てんの?
授業始まったばっかだけど正気?」


右の肩を小突きながら横に座る佐山。
長めの前髪は赤色のヘアピン留められている。


「なにその髪。女子かよ」


「うっさい」


もう一発パンチが入る。
地味に痛い。


目の前ではバスケットボールのミニゲーム中。
男子がやるバスケを、女子どもは黄色い歓声をあげながら応援という名の邪魔をしている。


「あーうるさい。耳に響くんだよね」


にこにこ笑いながら横の悪魔が毒を吐く。
こいつ普段あれだけキャーキャー言われてるが、中身は完全に悪魔だ。

女子ども、騙されるな。




「このうるさい中、彼方もよく頑張るよ」


バスケットのミニゲームをやる男子生徒の中。一際目立つ高身長の篠原。
手足が長くリーチがある上に、運動もそこそこできるから女子は黙っていない。

シュートを放つたび、黄色い歓声があがる。


「あいつはお前みたいな歪んだ性格じゃないからな。あの爽やかさが嘘じゃないから余計にモテるんだろ」


現に篠原は入学後散々騒がれ、しばらくは告白ラッシュだった。

イケメンが困り顔で断る姿を何度見たことか。



「僕もモテるんですけど??」


「佐山の場合、女子が騙されてるだけ。
本性が分かれば絶対モテない」


「ぶっ飛ばすよ」


ほらみろ、この暴言。
可愛らしいのは顔だけだ。



ミニゲーム終了のホイッスル。
篠原がこちらに小走りで向かってくる。




途中足元のタオルを踏みつけ、すっ転びながら。


篠原は左足を豪快に捻り、すぐに保健室へ。
終始困り顔で笑う篠原を、鬼の形相で叱りつける佐山。


そうして冒頭に戻る。




ーーーーー

ーーー



「かわいそうな足は篠原だろ。お前じゃないだろうが」


「うるさいな。僕は彼方が無理しないように見張ってんの」


「ごめんな2人とも。鈴木も荷物持ってくれて助かった」


「お前はいいだって。気にしなくて。そっちのチビは別だけどな」


「メガネ、荷物持つくらいでうるさいよ。僕は彼方に肩貸してるからさ。僕の荷物も持ってくれていいじゃん?」



「馬鹿言え!手ぶらで篠原の手掴んでるだけだろうが。余計歩きにくいわ!」


「あはは、鈴木本当にありがとう。
春希だめだよ、自分の荷物くらい持とう?俺も少し痛いだけだから荷物持てるよ?」



困り顔で笑う篠原。
よたよたと歩く足取りはゆっくりだ。




「お前は気にしなくていいんだよ」



「彼方はそのままゆっくり歩けばいいの」



ピシャリと2人分の声が響く。

とりあえず佐山に自分のリュックを持たせるため、がしりと腕を掴む。
いい加減持てやコラ。


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