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最終章 終わりの刻
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「書記長閣下、ここは火の海になりますわよ」
11月10日。
前線でドイツ軍を監視していた部隊からの報告を耳にしたカミラ王女はスターリンの元へと訪れていた。
「ふん。ここが堕ちれば我が祖国は終わりだよ。私が死のうと関係ない」
スターリンは毅然と答えた。
「貴国の軍人はナポレオンの時は見事に反撃して見せましたわ」
「今の我々にはそんな力はもうない」
スターリンは憔悴しきっていた。
ジューコフの死。
彼が育て上げた孤児たちの死。
そして、共産党内で蔓延する厭戦気運。
「予備部隊の編制はわたくしにお任せください」
王女はそう言って目を金色に輝かせた。
「わたくしには神のご加護がありますわ」
その言葉を聞いたスターリンは小さく祈りを捧げると彼女に向かって手のひらを合わせた。
「王女殿下に、神のご加護があらんことを」
彼の目には過去の偉人のことなど入っていなかった。
「あ、王女殿下」
スターリンの元を訪れた後、王女はエレーナの寝室に向かっていた。
彼女は今、部下たちと共にモスクワの一角にあるホテルで寝泊まりをしている。
「進捗は如何でして?」
王女はそう言ってエレーナの向かう机の上を覗いた。
「思いつきませんよ……やっぱり私にはトゥハの代わりなんて」
エレーナはそう言って弱音を吐く。
彼女に課せられた任務。
それは──。
「ドイツ軍を圧倒する戦術なんてどうやればいいんですか」
エレーナはそう言って嘆いた。
「貴方なら、できますわ」
王女はそう言ってエレーナを励ます。
彼女の手元には、トゥハチェンスキの残した日記がある。
王女はそれを手に取ると、パラパラと開いた。
「縦深攻撃理論。これがなんなのか、貴女ならわかるはずですわ」
そこには、トゥハチェンスキが残した記憶のすべてがあった。
ソ連軍による大反攻作戦バグラチオン作戦での経験と、そこで用いられた縦深攻撃理論の一部。
もうひとつ、トゥハチェンスキが必死になってそろえていた高出力無線機。
「あ、そうか。ドイツの電撃戦を真似すればいいんだ」
エレーナはふと呟いた。
「どういうことかしら?」
その言葉に興味深そうな顔を浮かべる王女。
彼女の言葉を聞いてエレーナはメモを取り出すと、ドイツ軍が取る電撃戦を図解した。
「ドイツは基本的に、陸空の連携で戦線に穴をあけます」
リマイナは紅い線を引くとそこに小さくバツ印を描いた。
「その幅は大きくて100メートルほど。その小さな穴に『野良犬』などの精鋭戦車部隊を突入させ、楔を打ち込みます」
バツ印の上に矢印を描くリマイナ。
おそらくこれが敵の戦車部隊ということなのだろう。
「さらに後方から後続の部隊が後方に浸透し、司令部若しくは前線の包囲を狙います」
「合理的、ですわね」
カミラ王女はそう言って感心した。
戦力の集中と敵中枢の破壊。
そして敵野戦軍の破壊。
すべてを可能にしてしまうのが電撃戦であった。
崩壊した戦線を立て直すために各所から戦力を抽出しようとすると、今度はその薄くなった部分に穴を作られる。
「それを真似すればいいんです」
「でも、わたくしたちにはドイツ軍ほどの戦車も、飛行機もありませんわ」
王女はそう言って唇を尖らせる。
それを聞いてエレーナはこう答えた。
「別のもので代用するんです」
彼女の言葉を聞いて王女はハッとした。
「砲兵、ですわね」
王女の言葉に「そうです」とエレーナはうなずく。
そして今度は3本の線を描く。
「ドイツ軍は基本的に3重程度の防衛線を維持したまま前進します。敵と接敵すればそのまま防衛線を引くか、1本に統合して相手を押すか。その2択です」
「モスクワで、敵はどうするんですの?」
王女の問いにエレーナは「おそらく、反撃を想定して3本の防衛線を維持したまま、包囲するでしょう」と答えた。
「最前線の防衛線に精鋭歩兵部隊若しくは自動車歩兵部隊を配置して、中間防衛線に戦車と歩兵部隊を置いて火力支援させるはずです」
彼女はそう言って最後の防衛線を丸で囲った。
「目標は、この最終防衛線。敵の司令部や輜重隊がいます。ここを叩けば戦闘継続能力を失います」
エレーナの言葉に王女は頷く。
理にかなっている。
だが問題は最終防衛線にどうやってたどり着くかであった。
「旧式の砲兵をすべて動員して、戦線の一部をこうやって……」
エレーナは防衛線の右端を丸く囲うと大きなバツ印を付けた。
「広大な範囲で『消失』させます」
それを聞いて笑みを浮かべる王女。
「そこに、圧倒的数量を誇る歩兵を戦車部隊に支援させつつ投入。そのまま後方になだれ込みます。それと同時に後方の無線を高出力無線機で妨害します」
机上の空論と断じるには早計であろう。
できるかできないか言えば、『できる』。
だが、それが失敗すれば──。
「どうせ、このままでは負けてしまうのです。博打を打つ価値はあるかと」
エレーナの言葉を聞いた王女は「わかりましたわ」と答えると、メモをひょいと取り上げた。
「すぐに計画を立案しなさい。砲兵はあるだけかき集めますわ」
王女はそう宣言するとそそくさとその場を去っていった。
残されたエレーナは天井を見上げると小さく呟いた。
「トゥハ……これで、あってる?」
「我々の砲兵を後方に送れとはどういうことだ!」
モスクワの一角に展開した師団長は荒れていた。
「書記長のご命令です」
思わず振り上げた拳を何とか収める。
目の前にいるのは共産党の政治委員だ。
彼に逆らうのは書記長のに逆らうのと同意義になる。
「……わかりました」
師団長は静かに答えるとうなだれた。
市街地戦で砲兵の活躍はないかと思われるかもしれないがそれは間違いだ。
特に長い通りなどでは砲兵を配置し周囲を機銃で支援すれば偉大な効力を発揮する。
「貴官らの働きを期待する」
政治委員はそう答えると静かにその場を去っていった。
去り際。
彼は一言言い残していった。
「神のご加護が、あらんことを」
師団長はそれに疑問符を浮かべながら「ご加護があらんことを」と答えた。
「完璧ですわ!!」
モスクワの中心から南に40キロ。
三重にモスクワを囲う環状線のうち、中間の路線沿いにある中規模都市クリモフスクにカミラ王女は配下の部隊を配置していた。
「こんなところでいいんですかい?」
不安そうな表情を浮かべるて尋ねたのはジャスパーであった。
確かにこの街には線路が届いておりモスクワに予備部隊を投入するのは容易だろう。
「もっと、北にいたほうが……」
ジャスパーの言葉を聞いて王女は「北にいて、何ができるんですの?」と嘲笑った。
「モスクワを護るだけではダメですわ。敵をはじき返して初めて私たちの勝利となるのですわ」
王女の言葉を聞いてジャスパーは納得した。
それでも、彼は納得しきれないものもあった。
「1000門もの砲を何に使うんですか」
その砲は雑多で、弾薬を規定数そろえるだけでも苦労した。
モスクワ市街地に展開する20個師団から転属させなんとか1000門そろえた。
これのほかにも各地から急ぎかき集めた旧式砲が500門
これだけあれば1kmの戦線に対して1mごとに砲を1つ割り振ってあまりある。
「この砲兵を1000メートルの戦域に集中砲撃させますわ」
王女は不敵な笑みを浮かべた。
彼女はまさしく戦域を消失させる腹積もりであった。
「さぁ、野良犬。かかってきなさい」
王女は不敵に笑った。
11月10日。
前線でドイツ軍を監視していた部隊からの報告を耳にしたカミラ王女はスターリンの元へと訪れていた。
「ふん。ここが堕ちれば我が祖国は終わりだよ。私が死のうと関係ない」
スターリンは毅然と答えた。
「貴国の軍人はナポレオンの時は見事に反撃して見せましたわ」
「今の我々にはそんな力はもうない」
スターリンは憔悴しきっていた。
ジューコフの死。
彼が育て上げた孤児たちの死。
そして、共産党内で蔓延する厭戦気運。
「予備部隊の編制はわたくしにお任せください」
王女はそう言って目を金色に輝かせた。
「わたくしには神のご加護がありますわ」
その言葉を聞いたスターリンは小さく祈りを捧げると彼女に向かって手のひらを合わせた。
「王女殿下に、神のご加護があらんことを」
彼の目には過去の偉人のことなど入っていなかった。
「あ、王女殿下」
スターリンの元を訪れた後、王女はエレーナの寝室に向かっていた。
彼女は今、部下たちと共にモスクワの一角にあるホテルで寝泊まりをしている。
「進捗は如何でして?」
王女はそう言ってエレーナの向かう机の上を覗いた。
「思いつきませんよ……やっぱり私にはトゥハの代わりなんて」
エレーナはそう言って弱音を吐く。
彼女に課せられた任務。
それは──。
「ドイツ軍を圧倒する戦術なんてどうやればいいんですか」
エレーナはそう言って嘆いた。
「貴方なら、できますわ」
王女はそう言ってエレーナを励ます。
彼女の手元には、トゥハチェンスキの残した日記がある。
王女はそれを手に取ると、パラパラと開いた。
「縦深攻撃理論。これがなんなのか、貴女ならわかるはずですわ」
そこには、トゥハチェンスキが残した記憶のすべてがあった。
ソ連軍による大反攻作戦バグラチオン作戦での経験と、そこで用いられた縦深攻撃理論の一部。
もうひとつ、トゥハチェンスキが必死になってそろえていた高出力無線機。
「あ、そうか。ドイツの電撃戦を真似すればいいんだ」
エレーナはふと呟いた。
「どういうことかしら?」
その言葉に興味深そうな顔を浮かべる王女。
彼女の言葉を聞いてエレーナはメモを取り出すと、ドイツ軍が取る電撃戦を図解した。
「ドイツは基本的に、陸空の連携で戦線に穴をあけます」
リマイナは紅い線を引くとそこに小さくバツ印を描いた。
「その幅は大きくて100メートルほど。その小さな穴に『野良犬』などの精鋭戦車部隊を突入させ、楔を打ち込みます」
バツ印の上に矢印を描くリマイナ。
おそらくこれが敵の戦車部隊ということなのだろう。
「さらに後方から後続の部隊が後方に浸透し、司令部若しくは前線の包囲を狙います」
「合理的、ですわね」
カミラ王女はそう言って感心した。
戦力の集中と敵中枢の破壊。
そして敵野戦軍の破壊。
すべてを可能にしてしまうのが電撃戦であった。
崩壊した戦線を立て直すために各所から戦力を抽出しようとすると、今度はその薄くなった部分に穴を作られる。
「それを真似すればいいんです」
「でも、わたくしたちにはドイツ軍ほどの戦車も、飛行機もありませんわ」
王女はそう言って唇を尖らせる。
それを聞いてエレーナはこう答えた。
「別のもので代用するんです」
彼女の言葉を聞いて王女はハッとした。
「砲兵、ですわね」
王女の言葉に「そうです」とエレーナはうなずく。
そして今度は3本の線を描く。
「ドイツ軍は基本的に3重程度の防衛線を維持したまま前進します。敵と接敵すればそのまま防衛線を引くか、1本に統合して相手を押すか。その2択です」
「モスクワで、敵はどうするんですの?」
王女の問いにエレーナは「おそらく、反撃を想定して3本の防衛線を維持したまま、包囲するでしょう」と答えた。
「最前線の防衛線に精鋭歩兵部隊若しくは自動車歩兵部隊を配置して、中間防衛線に戦車と歩兵部隊を置いて火力支援させるはずです」
彼女はそう言って最後の防衛線を丸で囲った。
「目標は、この最終防衛線。敵の司令部や輜重隊がいます。ここを叩けば戦闘継続能力を失います」
エレーナの言葉に王女は頷く。
理にかなっている。
だが問題は最終防衛線にどうやってたどり着くかであった。
「旧式の砲兵をすべて動員して、戦線の一部をこうやって……」
エレーナは防衛線の右端を丸く囲うと大きなバツ印を付けた。
「広大な範囲で『消失』させます」
それを聞いて笑みを浮かべる王女。
「そこに、圧倒的数量を誇る歩兵を戦車部隊に支援させつつ投入。そのまま後方になだれ込みます。それと同時に後方の無線を高出力無線機で妨害します」
机上の空論と断じるには早計であろう。
できるかできないか言えば、『できる』。
だが、それが失敗すれば──。
「どうせ、このままでは負けてしまうのです。博打を打つ価値はあるかと」
エレーナの言葉を聞いた王女は「わかりましたわ」と答えると、メモをひょいと取り上げた。
「すぐに計画を立案しなさい。砲兵はあるだけかき集めますわ」
王女はそう宣言するとそそくさとその場を去っていった。
残されたエレーナは天井を見上げると小さく呟いた。
「トゥハ……これで、あってる?」
「我々の砲兵を後方に送れとはどういうことだ!」
モスクワの一角に展開した師団長は荒れていた。
「書記長のご命令です」
思わず振り上げた拳を何とか収める。
目の前にいるのは共産党の政治委員だ。
彼に逆らうのは書記長のに逆らうのと同意義になる。
「……わかりました」
師団長は静かに答えるとうなだれた。
市街地戦で砲兵の活躍はないかと思われるかもしれないがそれは間違いだ。
特に長い通りなどでは砲兵を配置し周囲を機銃で支援すれば偉大な効力を発揮する。
「貴官らの働きを期待する」
政治委員はそう答えると静かにその場を去っていった。
去り際。
彼は一言言い残していった。
「神のご加護が、あらんことを」
師団長はそれに疑問符を浮かべながら「ご加護があらんことを」と答えた。
「完璧ですわ!!」
モスクワの中心から南に40キロ。
三重にモスクワを囲う環状線のうち、中間の路線沿いにある中規模都市クリモフスクにカミラ王女は配下の部隊を配置していた。
「こんなところでいいんですかい?」
不安そうな表情を浮かべるて尋ねたのはジャスパーであった。
確かにこの街には線路が届いておりモスクワに予備部隊を投入するのは容易だろう。
「もっと、北にいたほうが……」
ジャスパーの言葉を聞いて王女は「北にいて、何ができるんですの?」と嘲笑った。
「モスクワを護るだけではダメですわ。敵をはじき返して初めて私たちの勝利となるのですわ」
王女の言葉を聞いてジャスパーは納得した。
それでも、彼は納得しきれないものもあった。
「1000門もの砲を何に使うんですか」
その砲は雑多で、弾薬を規定数そろえるだけでも苦労した。
モスクワ市街地に展開する20個師団から転属させなんとか1000門そろえた。
これのほかにも各地から急ぎかき集めた旧式砲が500門
これだけあれば1kmの戦線に対して1mごとに砲を1つ割り振ってあまりある。
「この砲兵を1000メートルの戦域に集中砲撃させますわ」
王女は不敵な笑みを浮かべた。
彼女はまさしく戦域を消失させる腹積もりであった。
「さぁ、野良犬。かかってきなさい」
王女は不敵に笑った。
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