僕に双子の義兄が出来まして

サク

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孫とハルアキとお正月休み リン爺視点

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吃驚している孫たちを見てこちらも驚いていることを隠すように取り繕う。
他の仲間たちも合流し、その顔触れに、さらに驚いている孫たち。それはそうだろう、この日本を、世界を動かすほどの権力を持った者たちばかりだ。その、仲間の一人が所有している船に乗って、みんなで沖へと向かった。

「シュン君とシユウ君は、リン爺とみっちゃんから釣りの仕方を習ってね。」

深くは突っ込まない、でも、察しの良いハルアキは孫たちを儂たちに任せ、釣りをし始めた。まあ、彼はある程度釣ると、料理する側に回るから、釣りが出来る時に釣りたいのだろう。

それとも、もしかしたら、昔、君と年の近い孫たちがいるがこういう交流をしたことが無いと言った事を覚えているのかもしれない。そう思ってハルアキの方を見ると、目が合ったハルアキは、サムズアップをした。

やはり、そうか覚えているのだな。
ハルアキにつられ、周りの連中も同じことをするものだから、思わず吹き出し、儂も同じ仕草を返す。
妻から、道具の持ち方、釣りの基本を聞いていた孫たちは不思議そうにこちらを見た。

気にするなと笑みを浮かべ、浮き浮きと孫たちに釣りの仕方を説明し、餌のつけ方をレクチャーしている妻を見た。こんなふうにいつか孫たちと接しられたら、そう言っていた妻は楽しそうだ。


「僕と一緒に魚釣りに行きませんか?」

目の前に孫と同じぐらいの大きさの子供が現れそう言った。子に家督を譲った後、何をすればよいか分からくなっていた。働いていた時はあんなに短く思っていた時間が長く感じて戸惑い、外に出て公園で佇む。

その時現れた少年の誘いに頷いたのは本当に暇でしょうがなかったからだ。しかし、良い判断したと思う。初めてやる釣り、少年の釣り竿を借りて、少年に教わりながら、餌をつける。うまくつけられなく、投げ入れた釣り糸を引き戻したら、餌だけなくなっていたこともしばしば、魚を取り逃がす事なんて、ざらにあり、釣れた時の喜びは果てしなかった。

その日の帰り道、お礼をしたいと少年の名前を聞く。面白いことに少年は秘密といった。そして、出された自分のあだ名を考えるという宿題。明日から夏休みだという少年は暇を持て余しているらしい。明日も会う約束をして別れた。

次の日、少年と一緒に、儂の釣り竿を買いに行き、売っている餌とは別に川に住むカワゲラを取りに行った際、その虫を掴んで、見て、見てと、こちらに迫ってくる少年に必死に逃げた。
見て、見てじゃない。そんな虫は触れまい、そう思っていたが、今では慣れっこだ。
ある程度慣れたら、儂と同じく暇をしている友人を誘い仲間にし、その虫を手に掴むと、逃げる友人を笑いながら追いかけた。まあ、ハルアキのような純粋さは皆無で、ただの嫌がらせだがな。
虫になれた友人も、新たに増えた仲間に同じことをしていた。
今や、仲間が増えるとやる恒例の嫌がらせになっている。

手際のよい、孫たちを見る。一族の中でも、とっても見目の良い双子の孫、この二人は特に幼い頃から、性的な意味合いで狙われることが多かった。それは今でも変わらない。大きくなるに連れ、冷めた目を一段と冷めさせていた。生まれた時から、どこか冷めた目をしていたこの双子、その冷めきっていた瞳に暖かさが宿っていることに驚きともに笑みが浮かぶ。ハルアキのおかげなのだろう、ハルアキには感謝しかない。

ハルアキを見つめるその瞳の甘さに、妻と目を合わせ微笑む、大切な人を見つけたのかと安心した。だが、これとそれとは別だ、我らのハルアキを、誰それと簡単に渡せるものか、甲斐性が無い者等いや、我らが望むレベルの者でないと、

「あの可愛い、ハルアキ君を任せられるかどうか見極めないと、孫だからって甘くしないわよ」

そう呟いた妻に、頷き、はてと考える。同性同士なのにハルアキなら構わないと、そう思っていることに笑いが込み上げてきた。

しかし、儂らにとっても、ハルアキは特別なのだ。まあ、だから、判断が厳しくなるのは許して欲しい。
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