僕に双子の義兄が出来まして

サク

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千秋視点3

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「「やっぱり」」

悠暉は泣いていた。悠暉の前に屈んで悠暉と視線を合わせる。

「これは、えっとね。うれし涙だよ。」
「「うん」」
「本当だよ。」
「「うん」」
「でも、一瞬だけ、抱き着いて甘えていい?」
「「いいよ。おいで」」

そう言うと悠暉は俺と千春に抱き着いてきた。

「ごめんね……学校から家に帰ると、公園に来いという紙と共に、家のポストにタマの剝がされた爪が入っていた。その日、委員会があっていつもより帰りが遅くなって、慌てて公園に向かっていったんだ。家の都合上、一緒にいることが出来なくて、タマとはよく公園であっていた。名前を呼ぶと駆け寄ってきてくれて、抱きかかえて、ブランコに乗ったり、滑り台を滑ったり、一緒に遊んだんだ。給食のパンをこっそり残して一緒に食べたり、だから、タマは目をつけられた。何で、あんなひどいことが出来るんだろう。怒っている時の表情なんて、僕にはわからない。そんなに望むのなら、ずっと怒っていてもいい、だから、僕の大事な友達を傷つけないで欲しかった。きっとタマは痛かった。とっても痛かった。タマはまだ子猫だったんだよ。傷痕が残っていたけど、元気そうでよかった。ごめん、タマ。僕と関わらなければ傷つくことなかったのに。ごめん。千秋君、千春君、長くなっちゃって、一瞬って言ったのに、ありがとう」

起き上がろうとする悠暉を抱きしめ、抱き上げる、石田達からいるところから、悠暉の顔が見えない場所に移動し、俺と千春の片足に乗せてソファーに座る。

「もう少し、このままで、俺達が悠暉を甘やかしたいんだ」
「駄目か?」
「存分に甘やかしてください。頭なでなでを追加で、ついでに背中ポンポンもお願いします」

そういって、抱き着いてきた悠暉。石田達の方で、悠暉の言葉に何人かの吹き出した声が聞こえた。

「「了解」」

俺達も笑ってしまう。その後、すぐに悠暉は寝てしまった。ソファーをベッドの形にし、そこに寝かせる。

悠暉の身体が熱いことが気になり、体温計と掛け布団と枕を持ってくる。千春が濡れタオルを持って来て、顔を拭き、瞼を冷やしていた。


「39度3分」

「悠暉が元気そうだから、熱下がっていると思っていたけど、もしかしたら、ずっと熱はあったのかもしれないね。朝に測らすべきだった。本当、こういうの、隠すのが上手い」
「ああ、そうだな。とりあえず、薬と湿布の張替だな。」

「先に熱さましを飲ませよう。熱が高すぎる」
「薬が減っている。悠暉は自分の熱に気づいて、朝、飲んでいたんだな。」

「「起きたら、どう問い詰めようか」」

「「「「いやいや、怖いから」」」」
「悠暉君が可哀想ですよ」

病院から貰った、薬の袋の中を見て、入っている量が書かれている量より二回分少ないことに気づいた。

朝、俺達が掃除と洗濯をしている時に食器洗いをしていた悠暉、きっとその時に飲んだのだろう。
薬と水を手に持ち、千春を見る。

「どっちを飲ませる?」

「「くすりで」」
「「………」」
「久しぶりにコインで決まよう」
「表が千春、裏が俺だな」

昔から、お互いに譲れない時は、コインで決めていた。じゃんけんは決着がつかないから、やらない。コインを出し、目をつぶり親指に乗せたコインを上に弾く、感覚でコインを掴むと。右手の甲に乗せて、目を開ける。表。
後ろから、美濃前達の口笛と歓声が聞こえた。


「千春が薬で俺が水だな」

丁度いい、周りへの牽制になるだろう。千春に目配せをする。頷いた千春、お互いに笑みを浮かべる。

悠暉は俺達の。

口に薬と少量の水を含み、悠暉の頬に手を添え口移しで飲ませる千春を見て、後ろで息を飲む声と、マジかといかいう呟きが聞こえてきた。

千春は退くと、今度は俺が水を含み、悠暉の頬に手を添え、水を口移しで飲ませる。ゆっくりとこくんと悠暉の喉が動いた。舌を入れ込み薬が無いか確認して口を離す。


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