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小話
悠暉の母親 悠暉の父 泰明視点
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悠暉の母、喜美子はいつもどんな時も楽しみを見出す優しい人だった。
出会いはそう、俺が大学生二年で喜美子は高校3年生の時。
その日はバイト帰りに、海が見たくなって、明日は休みだし、良いかといつも降りる駅を通り過ぎた。
駅を降り、海へ向かう通り道で、聞こえてきた声に立ち止まった。
「あら、ふふっ、靴の紐が切れたわ。今日は何か特別な楽しいことが起こるのかしら」
楽しそうな笑いを含んだその言葉に普通は逆じゃないかと思った。
「面白いことは立て続けに起こるものね。黒猫の大行進5匹も目の前を横切るなんて、フフッハハっ、日常を変える何か面白いことが起きる前兆かしら。いいもの見たわ」
いやいやいや、どんだけだよ。楽しそうな声に内心、突っ込みを入れてしまっていた。
「雨が降ったから、虹が見れるかもって、抜け出してきたけど、正解ね。幸先いい感じだわ」
発する言葉に突っ込み所が多すぎる。切れた靴紐を持って通りから出てきたセーラー服を着た女子学生は、楽しそうに俺の前を歩き始めた。どうやら、同じ方向に向かうみたいだ。
その時、後ろから車が来て横を通り過ぎて行った。なんだか、嫌な予感がして走り出す。その女の子の行く手の横には大きな水たまりがあったのだ。案の定、車は水たまりの水をその子にぶっかけるように通り過ぎて行った。
俺はその子に水が掛からないよう覆いかぶさる。水が掛かる前に何とか間に合ったと思ったが、腕をその女の子に捕まれ、反転させられ、気づいたら、俺が彼女に庇われていた。軽やかな身のこなしだった。
「そんなことしたら、貴方が濡れてしまうわよ」
そう言って、微笑んだびしょ濡れの彼女に胸がときめいた。ただ、濡れたセーラー服から下着が浮き出ていて、俺は急いで、自分の服を脱いで彼女に被せて着せた。黒色の服を来ていて良かった。彼女は唖然として瞬きを繰り返し、袖口から手を出すと
「うわぁ」
俺の腹筋をなぞって、驚いて蹲る俺を見て笑った。
「思わず、なぞりたくなる綺麗な腹筋ね」
そんな、喜美子の変わった概念は悠暉に移っている。
悠暉が今、通っている学校の受験当日の出来事、悠暉が意気揚々と玄関を出た先でコートの肩に鳥の糞が落ちてきたことがあった。
「わっひょい!これは運が付いた。中学受験はもう合格間違いない。ありがとう。鳥さん」
悠暉は、鳥に手を振り感謝をしていた。
「コートの代え、持ってくるか?」
そう聞いたが、悠暉は笑って首を振った・
「いいよ。公共の場とか試験会場では脱ぐようにするし、大丈夫そのまま運を担いで合格してくる。頭じゃなくて良かった。脱ぎようがないから、臭かったら、我慢してくださいって感じになっていたよ。」
‥‥頭についていてもそのまま行くつもりだったのか?コートで良かった、本当。
試験が終わった後の夕食に悠暉は
「昔、お母さんが、靴ひもや黒猫、そして動物の糞、そういった思いもよらない現象に当たった時は、その時に、自分から出た言葉で、いい方に転ぶか、悪い方へ転ぶか決まるって、嫌なことが起こるかもなんて、思っていたら、いつもは気にならないこと出来事も気になってしまうものなのよ。どうせなら、楽しく行こうってさ。僕が新調したての靴でうっかり犬の糞を踏んでしまった時に言っていたんだ」
そして、当時を思い出したのか楽しそうに笑い
「その後に、お母さんと彩雲を見たんだよ。そして、テンションが上がったお母さんがアイスを買ってくれて、二人で半分こして食べたんだ。楽しかった思い出の一つだよ。落ち込んで下を向いていたら彩雲は見れなかったし、アイスも食べられなかった、そう思うんだ、お母さん何気に財布の紐堅かったし」
そう言っていた。
悠暉は満点で試験を合格していた。鳥さんおかげで合格できたと悠暉は喜んでいた。
「満点か。すごいな」
「勉強はね、得意な方だよ。今の僕の、学校の友達は教科書とノート、鉛筆に、消しゴム、筆箱さ」
途中から遠い目をした悠暉が、ほら、いっぱいいるよ、そう呟いていた。
悠暉の目の吊り上がった顔は喜美子の寝起きの顔に似ている。悠暉が生まれた時に喜美子が笑って
「ピンポイントでその顔を選んできたのね。最高だわ。それこそ、私とあなたの息子ね」
そう微笑んでいた。中学では同じ年の友達が出来るといいなと聞こえてきた声にそうだなと返した。
俺は寝起きの喜美子の、目が吊り上がった怖い見た目の顔も好きだった。どうして、寝起きだとああなるのか不思議だったが。
まぁ、はじめてみた時は、何かやらかしてしまったのかと焦って土下座して謝ったが、それもいい思い出になっている。初夜の朝の出来事だ。あの時は本当に焦った。
喜美子と駆け落ちして、悠暉が生まれ、悠暉が7歳の時、喜美子は亡くなった。喜美子は元々身体が弱く、出会ったあの日も熱があるのに、虹を見に家から抜け出してきたそうだ。もしかして、あの後、悪化したのではと謝った俺に喜美子はとびっきりの笑顔を見せてこう言った。
「あの日、貴方と出会ったことは私にとって、最高の奇跡だったわ。それこそ、世界が変わるほどのね」
喜美子が亡くなり、5年がたった時、俺を探していたという兄に会い、悠暉と共にこの土地に戻って来た。
その為、悠暉は今の学校を受けたのだ。
父と母が亡くなり、兄は俺を呼び戻そうと探していたらしい。駆け落ちを手助けてくれた兄を助けるために戻ってきたのだが、喜美子がもう亡くなったと知った、親戚連中が次の嫁をと騒ぎだした。
そんな中、会ったのが、俺と同じ状況に陥って、嫌気がさしていた美月さんだった。俺達は意気投合し再婚することにした。戦友みたいな関係だが、再婚したことに後悔はない。
あのままだと、勝手に縁談を組まされられたに違いない。美月さんも。俺も。もしかしたら、美月さんの方は、千春君も千秋君も組まされていたかもしれない。
美月さんは悠暉をとても可愛がってくれるし悠暉も懐いている。
「悠暉君といると、普段は落ち込むような、気を落ちするような現象も、いい方向に考えられるのよ」
そう言って、美月さんは笑っていた。わかる。もの凄くわかる。
旅行の本来の目的は悠暉と千春君と千秋君の3人の交流を持とうと思っての提案だった。子供たちはそれぞれ予定が合ったらしい。
新婚旅行と称した旅行は、お互いの亡くなった相手との昔の想い出の場所巡りで、お互いに誰にも言えない、もう誰にも語れない、惚れ気を語り合っていた。
三連休では語りつくせない、そう思った美月さんと俺は五連休にしたのだ。俺と美月さんは似ている所があるのかもしれない。まぁ、五連休でも語りつくせなかったが。
帰ってきたら、吃驚するほど、悠暉と千春君と千秋君の仲が近づいていた。
そして、最近の悠暉はとても楽しそうだ。千春君と千秋君、美月さんには感謝しかない。
出会いはそう、俺が大学生二年で喜美子は高校3年生の時。
その日はバイト帰りに、海が見たくなって、明日は休みだし、良いかといつも降りる駅を通り過ぎた。
駅を降り、海へ向かう通り道で、聞こえてきた声に立ち止まった。
「あら、ふふっ、靴の紐が切れたわ。今日は何か特別な楽しいことが起こるのかしら」
楽しそうな笑いを含んだその言葉に普通は逆じゃないかと思った。
「面白いことは立て続けに起こるものね。黒猫の大行進5匹も目の前を横切るなんて、フフッハハっ、日常を変える何か面白いことが起きる前兆かしら。いいもの見たわ」
いやいやいや、どんだけだよ。楽しそうな声に内心、突っ込みを入れてしまっていた。
「雨が降ったから、虹が見れるかもって、抜け出してきたけど、正解ね。幸先いい感じだわ」
発する言葉に突っ込み所が多すぎる。切れた靴紐を持って通りから出てきたセーラー服を着た女子学生は、楽しそうに俺の前を歩き始めた。どうやら、同じ方向に向かうみたいだ。
その時、後ろから車が来て横を通り過ぎて行った。なんだか、嫌な予感がして走り出す。その女の子の行く手の横には大きな水たまりがあったのだ。案の定、車は水たまりの水をその子にぶっかけるように通り過ぎて行った。
俺はその子に水が掛からないよう覆いかぶさる。水が掛かる前に何とか間に合ったと思ったが、腕をその女の子に捕まれ、反転させられ、気づいたら、俺が彼女に庇われていた。軽やかな身のこなしだった。
「そんなことしたら、貴方が濡れてしまうわよ」
そう言って、微笑んだびしょ濡れの彼女に胸がときめいた。ただ、濡れたセーラー服から下着が浮き出ていて、俺は急いで、自分の服を脱いで彼女に被せて着せた。黒色の服を来ていて良かった。彼女は唖然として瞬きを繰り返し、袖口から手を出すと
「うわぁ」
俺の腹筋をなぞって、驚いて蹲る俺を見て笑った。
「思わず、なぞりたくなる綺麗な腹筋ね」
そんな、喜美子の変わった概念は悠暉に移っている。
悠暉が今、通っている学校の受験当日の出来事、悠暉が意気揚々と玄関を出た先でコートの肩に鳥の糞が落ちてきたことがあった。
「わっひょい!これは運が付いた。中学受験はもう合格間違いない。ありがとう。鳥さん」
悠暉は、鳥に手を振り感謝をしていた。
「コートの代え、持ってくるか?」
そう聞いたが、悠暉は笑って首を振った・
「いいよ。公共の場とか試験会場では脱ぐようにするし、大丈夫そのまま運を担いで合格してくる。頭じゃなくて良かった。脱ぎようがないから、臭かったら、我慢してくださいって感じになっていたよ。」
‥‥頭についていてもそのまま行くつもりだったのか?コートで良かった、本当。
試験が終わった後の夕食に悠暉は
「昔、お母さんが、靴ひもや黒猫、そして動物の糞、そういった思いもよらない現象に当たった時は、その時に、自分から出た言葉で、いい方に転ぶか、悪い方へ転ぶか決まるって、嫌なことが起こるかもなんて、思っていたら、いつもは気にならないこと出来事も気になってしまうものなのよ。どうせなら、楽しく行こうってさ。僕が新調したての靴でうっかり犬の糞を踏んでしまった時に言っていたんだ」
そして、当時を思い出したのか楽しそうに笑い
「その後に、お母さんと彩雲を見たんだよ。そして、テンションが上がったお母さんがアイスを買ってくれて、二人で半分こして食べたんだ。楽しかった思い出の一つだよ。落ち込んで下を向いていたら彩雲は見れなかったし、アイスも食べられなかった、そう思うんだ、お母さん何気に財布の紐堅かったし」
そう言っていた。
悠暉は満点で試験を合格していた。鳥さんおかげで合格できたと悠暉は喜んでいた。
「満点か。すごいな」
「勉強はね、得意な方だよ。今の僕の、学校の友達は教科書とノート、鉛筆に、消しゴム、筆箱さ」
途中から遠い目をした悠暉が、ほら、いっぱいいるよ、そう呟いていた。
悠暉の目の吊り上がった顔は喜美子の寝起きの顔に似ている。悠暉が生まれた時に喜美子が笑って
「ピンポイントでその顔を選んできたのね。最高だわ。それこそ、私とあなたの息子ね」
そう微笑んでいた。中学では同じ年の友達が出来るといいなと聞こえてきた声にそうだなと返した。
俺は寝起きの喜美子の、目が吊り上がった怖い見た目の顔も好きだった。どうして、寝起きだとああなるのか不思議だったが。
まぁ、はじめてみた時は、何かやらかしてしまったのかと焦って土下座して謝ったが、それもいい思い出になっている。初夜の朝の出来事だ。あの時は本当に焦った。
喜美子と駆け落ちして、悠暉が生まれ、悠暉が7歳の時、喜美子は亡くなった。喜美子は元々身体が弱く、出会ったあの日も熱があるのに、虹を見に家から抜け出してきたそうだ。もしかして、あの後、悪化したのではと謝った俺に喜美子はとびっきりの笑顔を見せてこう言った。
「あの日、貴方と出会ったことは私にとって、最高の奇跡だったわ。それこそ、世界が変わるほどのね」
喜美子が亡くなり、5年がたった時、俺を探していたという兄に会い、悠暉と共にこの土地に戻って来た。
その為、悠暉は今の学校を受けたのだ。
父と母が亡くなり、兄は俺を呼び戻そうと探していたらしい。駆け落ちを手助けてくれた兄を助けるために戻ってきたのだが、喜美子がもう亡くなったと知った、親戚連中が次の嫁をと騒ぎだした。
そんな中、会ったのが、俺と同じ状況に陥って、嫌気がさしていた美月さんだった。俺達は意気投合し再婚することにした。戦友みたいな関係だが、再婚したことに後悔はない。
あのままだと、勝手に縁談を組まされられたに違いない。美月さんも。俺も。もしかしたら、美月さんの方は、千春君も千秋君も組まされていたかもしれない。
美月さんは悠暉をとても可愛がってくれるし悠暉も懐いている。
「悠暉君といると、普段は落ち込むような、気を落ちするような現象も、いい方向に考えられるのよ」
そう言って、美月さんは笑っていた。わかる。もの凄くわかる。
旅行の本来の目的は悠暉と千春君と千秋君の3人の交流を持とうと思っての提案だった。子供たちはそれぞれ予定が合ったらしい。
新婚旅行と称した旅行は、お互いの亡くなった相手との昔の想い出の場所巡りで、お互いに誰にも言えない、もう誰にも語れない、惚れ気を語り合っていた。
三連休では語りつくせない、そう思った美月さんと俺は五連休にしたのだ。俺と美月さんは似ている所があるのかもしれない。まぁ、五連休でも語りつくせなかったが。
帰ってきたら、吃驚するほど、悠暉と千春君と千秋君の仲が近づいていた。
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