僕に双子の義兄が出来まして

サク

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小話

泰明視点2

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「今日は、皆で、お家でのんびりゆっくり日和だね。雨あがったら虹、出るかな」

五人で出かけようとした時、台風の影響で大雨が降っていた。悠暉の言葉に皆笑い、
のんびりと色々な話をしながら過ごした。

悠暉は今も昔も変わらない。喜美子に似ている。

これは再婚する前の話だが、この日も久しぶりに休みが取れて、悠暉と出掛けようとした日だった。だが天気は同じく、朝から大雨。

「これは、お父さんをしっかり休ませよという神の啓示。お父さんと、お家でのんびりゆったり大作戦の決行だ。ふふっ雨が上がったら、虹が見えるかなぁ」

窓の外を見ながらそう呟き笑う悠暉に、久しぶりのデートの予定の日が大雨で駄目になった時の喜美子を思い出したのを覚えている。

「これは、イチャイチャはお家でしろってことね。任せて、大得意よ。雨が上がったら、虹を探しに行きましょう」

本当に悠暉は君に似ている。

今日は喜美子の月命日、毎月この日は喜美子に会いに来ていた。掃除し、花を換え、手を合わせ、悠暉のことを報告する。そして、帰ろうとしたときに聞こえてきた声に振り向いた。

「あれ?お父さん」
「え?悠暉?」
「そんな不思議そうな顔して、今日はお母さんの月命日でしょ。僕、毎月来ているよ」
「俺も、毎月来ているが」
「知っているよ。お父さんこの日はいつもより早く仕事に向かうけど、半休とっているもんね。僕は休みの日以外は学校帰りに来ているよ。今日はいっぱい報告したくて早く来ちゃった」
「ハハッそうか、悠暉、この後、久しぶりに海に行くか?」
「行く」

隣に悠暉が来て、手を合わせた。それを見ながら、もう一度手を合わせる。

君が居なくてさみしい時もある。それでも、俺は前を向いて生きているよ。悠暉の土産話を持って行くから、楽しみに待っていてくれ。俺達の子、悠暉のことで語りづくそう。

「まめなところは貴方に似ているわ」
どこからかそんな声が聞こえた気がした。
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