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ウエーイさんと僕 久森力也君視点
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僕の人生が変わった日。僕はずっと、兄ちゃんと同じ学校に通うことを夢見ていた。
僕のお兄ちゃんは凄いんだ。強くて、優しくて、勉強もできて、本当に凄いんだ。
僕の家は柔道一家と周りから言われるほど、昔から、有名だった。兄ちゃんも何度も全国に行っているし、優勝もしていた。
でも、僕はどんなに食べても、兄ちゃんみたいに体格がよくならなかった。むしろ、食べ過ぎで、お腹を痛めることが多かった。それに僕の興味は、柔道より母ちゃんが育てている家庭菜園にいってしまっていた。
「力也は私に似たのね」
母ちゃんは笑っていたし、
「
好きなことをやるのが一番だ」
父ちゃんも誰も、柔道をしろなんて、強要しなかった。身の危険を回避するような術さえ覚えてくれればいい。そんな感じだった。
だから、母ちゃんの隣で、父ちゃんが作ってくれた僕専用の菜園に、僕の好きなトマトを植えて、毎日世話をしていた。
「僕、兄ちゃんと同じ中学に通いたい」
そう、母ちゃんに言って、僕は塾に通わせてもらうことになった。一年過ぎたのに、僕の成績じゃその学校に通えないと言われた。
「まぁ、ダメもとで一応受けてみるか」
そう塾の先生に言われた。
「市立中学でもいいじゃない」
母ちゃんにも言われた。でも、僕は兄ちゃんと同じところに通いたかった。
「通って篤史みたいに何かやりたいことでもあるのか」
父ちゃんにそう問われた。僕は何も言えなかった。
「お前の人生だ、よく考えてみなさい」
父ちゃんにそう言われ、僕は途方に暮れた。
兄ちゃんと同じ学校通ってみたいだけじゃ、だめなんかな
「久森君の弟君、どうしたの」
公園で一人ブランコに乗って、ボーとしていると、声をかけられた。
「あ、兄ちゃんの友達のムキムキウェーイのひと」
「え?イエイがウエーイに進化している」
その人はそう呟いていたあと、腕時計を見た。
「えっと、まだ明るいけど、もう少しで五時になるよ」
「え?え?本当だ。帰らないと」
公園の時計を探して時刻を確認する。帰らないとそう言っても僕の体は動かない。ため息が出てしまう。
「何か、悩み事?」
「ウエーイさん、あのね、僕、兄ちゃんと同じ中学通いたいんだ」
「ウエーイさん・・・。うん、それで?」
「だけどさ、成績がなかなか上がらなくて、僕には無理そうなんだ。学力が足りないんだって、先生も、一応ダメもとで受けてみるかなんて言うし、母さんは普通の市立中学でいいんじゃないって、お友達も皆そっちだし、兄ちゃんは同じとこ通ってももう卒業していないよって、でも、僕、兄ちゃんと同じ学校に通いたいんだよ。でも、学力・・・・」
「そっか。今は六年生。うん、決めた。久森君の弟君、君の名前は?」
「え?力也だけど?」
急に名前を聞かれて困ったけど、答えた。
「よし、力也君、土いじりに抵抗とかある?」
「まったくないよ。僕の母ちゃんと家庭菜園しているし、僕専用の菜園作ってもらって、野菜とか育てているよ」
「え?適任者がここに。ちょっと、まって、久森君も呼んで話し合おう」
なんだかよくわからないけど、ウエーイさんは僕の兄ちゃんに電話をかけた。
「力也君、僕の名前は、悠暉だよ。ウエーンさんでもムキムキさんでもないよ」
「うん、分かったよ。ウエーンさん」
「あれ?全然わかってないや」
もう、僕の中でウエーイさんはウエーイさんで定着しちゃっているから仕方がないんだよ。
「ウエーイさんはウエーイさんで」
「あ、うん」
その後、兄ちゃんが来て、ウエーイさんと話し合いをし始めた。
僕はその間ブランコでゆらゆらしていた。
「力也君、力也君。僕が君に勉強を教えるから、もし中学に行くことになったら、用務員さんと一緒に畑仕事を頼みたいけどいいかな?」
「畑仕事?」
「うん、見た方が早いかな。確かもう少ししたら見学できる日があったよね。その時に用務員さんも全て紹介するね」
「うん」
その時は良く分からないまま頷いた。
僕のお兄ちゃんは凄いんだ。強くて、優しくて、勉強もできて、本当に凄いんだ。
僕の家は柔道一家と周りから言われるほど、昔から、有名だった。兄ちゃんも何度も全国に行っているし、優勝もしていた。
でも、僕はどんなに食べても、兄ちゃんみたいに体格がよくならなかった。むしろ、食べ過ぎで、お腹を痛めることが多かった。それに僕の興味は、柔道より母ちゃんが育てている家庭菜園にいってしまっていた。
「力也は私に似たのね」
母ちゃんは笑っていたし、
「
好きなことをやるのが一番だ」
父ちゃんも誰も、柔道をしろなんて、強要しなかった。身の危険を回避するような術さえ覚えてくれればいい。そんな感じだった。
だから、母ちゃんの隣で、父ちゃんが作ってくれた僕専用の菜園に、僕の好きなトマトを植えて、毎日世話をしていた。
「僕、兄ちゃんと同じ中学に通いたい」
そう、母ちゃんに言って、僕は塾に通わせてもらうことになった。一年過ぎたのに、僕の成績じゃその学校に通えないと言われた。
「まぁ、ダメもとで一応受けてみるか」
そう塾の先生に言われた。
「市立中学でもいいじゃない」
母ちゃんにも言われた。でも、僕は兄ちゃんと同じところに通いたかった。
「通って篤史みたいに何かやりたいことでもあるのか」
父ちゃんにそう問われた。僕は何も言えなかった。
「お前の人生だ、よく考えてみなさい」
父ちゃんにそう言われ、僕は途方に暮れた。
兄ちゃんと同じ学校通ってみたいだけじゃ、だめなんかな
「久森君の弟君、どうしたの」
公園で一人ブランコに乗って、ボーとしていると、声をかけられた。
「あ、兄ちゃんの友達のムキムキウェーイのひと」
「え?イエイがウエーイに進化している」
その人はそう呟いていたあと、腕時計を見た。
「えっと、まだ明るいけど、もう少しで五時になるよ」
「え?え?本当だ。帰らないと」
公園の時計を探して時刻を確認する。帰らないとそう言っても僕の体は動かない。ため息が出てしまう。
「何か、悩み事?」
「ウエーイさん、あのね、僕、兄ちゃんと同じ中学通いたいんだ」
「ウエーイさん・・・。うん、それで?」
「だけどさ、成績がなかなか上がらなくて、僕には無理そうなんだ。学力が足りないんだって、先生も、一応ダメもとで受けてみるかなんて言うし、母さんは普通の市立中学でいいんじゃないって、お友達も皆そっちだし、兄ちゃんは同じとこ通ってももう卒業していないよって、でも、僕、兄ちゃんと同じ学校に通いたいんだよ。でも、学力・・・・」
「そっか。今は六年生。うん、決めた。久森君の弟君、君の名前は?」
「え?力也だけど?」
急に名前を聞かれて困ったけど、答えた。
「よし、力也君、土いじりに抵抗とかある?」
「まったくないよ。僕の母ちゃんと家庭菜園しているし、僕専用の菜園作ってもらって、野菜とか育てているよ」
「え?適任者がここに。ちょっと、まって、久森君も呼んで話し合おう」
なんだかよくわからないけど、ウエーイさんは僕の兄ちゃんに電話をかけた。
「力也君、僕の名前は、悠暉だよ。ウエーンさんでもムキムキさんでもないよ」
「うん、分かったよ。ウエーンさん」
「あれ?全然わかってないや」
もう、僕の中でウエーイさんはウエーイさんで定着しちゃっているから仕方がないんだよ。
「ウエーイさんはウエーイさんで」
「あ、うん」
その後、兄ちゃんが来て、ウエーイさんと話し合いをし始めた。
僕はその間ブランコでゆらゆらしていた。
「力也君、力也君。僕が君に勉強を教えるから、もし中学に行くことになったら、用務員さんと一緒に畑仕事を頼みたいけどいいかな?」
「畑仕事?」
「うん、見た方が早いかな。確かもう少ししたら見学できる日があったよね。その時に用務員さんも全て紹介するね」
「うん」
その時は良く分からないまま頷いた。
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