野獣公爵の執愛

ゆき真白

文字の大きさ
91 / 94
第三章

二十四※

しおりを挟む
 何かが優しく頬を撫でる感覚に、徐々に意識がはっきりしていく。

(ん、なに……?)

 眉毛を震わせながら、ゆっくりと瞼を上げると、薄暗いなかに誰かの姿がぼんやりと浮かぶ。

「起きたか?」
「……じる?」

 ふぁ、と小さなあくびを漏らせば、ジルヴィウスは頬を撫でていた手を滑らせ、耳を揉んだ。

「具合は?」
「……? 絶好調だけど……?」

 何を言っているのだろう、と目を擦ったシーラは、意識を失う直前のことを思い出し、はっと体を起こした。

「うそっ!? 途中で寝ちゃったの!?」
「気を失ったの間違いだろ」
「どっちも同じだよ! 今何時!?」
「まだそれほど遅い時間じゃない」

 シーラを引き寄せたジルヴィウスが、頬に掠めるようなキスを贈ってくれる。そのときふわりとアルコールの匂いが漂い、シーラは目を瞬かせた。

「ジル、お酒飲んでたの?」
「ああ。意外か?」
「うん……だって、ジルがお酒飲んでる姿見たことないから……」
「まぁ、誘われなければ基本は飲まないからな」

 言いながら、ジルヴィウスのキスが額や瞼にも落ちてくる。まるで甘えているかのようなその仕草に、胸が甘く高鳴った。

(うう……どうして途中で寝ちゃったんだろう……。やっぱりお風呂でしたのがだめだったかな……)

 ジルヴィウスは、朝から出掛ける用事がある。だから、これからまたしようと誘うのは、よくないだろう。

(ううっ、でも、でもっ……!)

 むむむ、と眉を寄せていると、ジルヴィウスは眉間の皺に口付けながら、シーラの名を呼んだ。

「軽食を用意させた。食べるだろ?」

 正直、それほどお腹は空いていない。それよりもいちゃいちゃしたい、と思っていると、その考えを見透かしたように、ジルヴィウスは目を眇めた。

「食ったら抱いてやる」
「! 食べる!」

 ほぼ反射のように即答すると、ジルヴィウスは呆れたようにシーラの頬を軽く摘まんだ。そのままソファへと連れて行かれ、用意されたサンドイッチを目の前に置かれる。
 酒を嗜むジルヴィウスの隣で、「しっかり噛んで、ゆっくり食べろ」と注意を受けながら、シーラは目の前のものを完食した。





 しばしの食休みを挟んだあと、シーラとジルヴィウスはベッドの上で向かい合った。

「まったく……お前はいつからそんな欲しがりになったんだ?」
「ジルがそうしたんだよ」

 ヘッドボードに寄りかかるジルヴィウスの足の間に陣取ったシーラは、彼のナイトガウンをはだけさせると、彼の厚い胸板に手を這わせる。

「それに新婚旅行なんだから、少しくらい羽目を外してもいいでしょ?」
「別に城に帰ってからでも好きなときに好きなだけ襲ってくれて構わないが?」
「お仕事があるからそれはだめ。みんなに迷惑もかかっちゃうし」

 首筋に軽く口付け、喉仏にかりっと歯を立てれば、ジルヴィウスが短く息をついた。

「他の奴のことなど気にするな」
「むーり」

 指の腹で胸の小さな飾りを転がしながら、彼の唇に軽く口付ける。触れるだけのキスを数度繰り返したのち、そっと舌を侵入させた。
 ほのかなアルコールの風味が口の中に広がる。
 酒精のせいか、彼の呼気は普段より熱い。間近で煌めく金の瞳も、わずかに潤んでいるようだった。

(……可愛い)

 彼の長い睫毛がゆっくり上下し、熱い息が吐き出されるたびに、彼への愛おしさが増していく。

「ジル、可愛い。大好き」

 彼の濡れた唇を食みながらそう告げれば、ジルヴィウスは深い溜息を漏らした。

「そればかりは同意しかねるな」

 ジルヴィウスはシーラの腰を抱き寄せると、そのまま後ろに押し倒す。シーラの足を大きく開かせ、その間に体を捻じ込むと、自身の着ているものをすべて脱ぎ捨てた。

「それで? 羽目を外した我が妻はどんなことをされたいんだ?」
「どちらかと言うと、わたしがしたいんだけど……」
「なるほど。好きにされたいと」

(言ってないけど……)

 けれど、やぶさかではないため、シーラはただ黙って胸を高鳴らせる。
 ジルヴィウスは片眉を上げシーラを見下ろすと、ドロワーズ越しに秘裂を撫でた。すでに潤ったそこは、くちゅり、と小さな水音を立てる。

「すっかり淫乱になったな、シーラ」
「ん……なったんじゃなくて、されたんだもん……」

 抗議も兼ねて唇を尖らせれば、反論など許さないとばかりに秘芽を摘ままれた。熟れた蜜壺には布越しにわずかに指を入れられ、シーラはいやいやと首を横に振る。

「や、直接触って……」
「なら、自分で全裸になれ、シーラ」

 でなければこのままだ、と言わんばかりに布越しに愛撫を続けるジルヴィウスに、シーラはむっと眉を寄せる。

(わたしも服越しに触ればよかった)

 今度同じ目に遭わせてやろう、と思いながら、体を起こしてすべて脱ぎ去る。
 ジルヴィウスはわずかに目を細めると、胸の膨らみに手を添えた。直接触れるジルヴィウスの肌は思った以上に熱く、シーラは思わず彼の腕を掴む。

「ジル、熱があるわけじゃないよね?」
「酒で体温が上がってるだけだ。心配するな、お前の中のほうが熱いからな」
「え――っぁ」

 再びシーラを押し倒したジルヴィウスは、それを証明するかのように、潤んだシーラの中に指を二本突き入れた。くちゅ、ぐちゅ、と音を立てながら素早く濡襞を擦られ、シーラの体温もどんどん上がっていく。

「んんっ、っふ、ぅ」
「まだ柔らかいな。これならすぐ挿入はいりそうだ」
「んっ……もう挿れる?」

 ジルヴィウスにしては珍しいな、と思いつつ尋ねれば、彼は「まさか」と秘芽を押し潰した。

「あぁあっ」
「俺の好きにしていいんだろ?」

 それに答えるよりも早く、ジルヴィウスは足の間に顔を埋め、膨らんだ秘芽を吸い上げた。

「やぁああっ」

 脳天を突き抜けるような快楽に、叫び声に近い嬌声が漏れた。視界が白く染まり、隘路がきゅうっと狭まる。

「知ってるか? シーラ。お前をこうして蕩けさせるのが、俺は存外愉しいんだ」
「っふ、ぁ……」

 彼の息が秘芽を掠めるだけで甘い声が漏れる。ジルヴィウスはそれに嬉しそうに目を細めると、溢れる蜜をじゅるっと啜った。

「今夜はそのまま素直に喘いでろ」

 隘路に舌を侵入させ、喉を潤すように蜜を飲むジルヴィウスに、シーラは彼の言いつけを守るように、素直に嬌声を上げ続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。 そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。 お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。 挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに… 意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

義兄様と庭の秘密

結城鹿島
恋愛
もうすぐ親の決めた相手と結婚しなければならない千代子。けれど、心を占めるのは美しい義理の兄のこと。ある日、「いっそ、どこかへ逃げてしまいたい……」と零した千代子に対し、返ってきた言葉は「……そうしたいなら、そうする?」だった。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

処理中です...