野獣公爵の執愛

ゆき真白

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第三章

二十四※

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 何かが優しく頬を撫でる感覚に、徐々に意識がはっきりしていく。

(ん、なに……?)

 眉毛を震わせながら、ゆっくりと瞼を上げると、薄暗いなかに誰かの姿がぼんやりと浮かぶ。

「起きたか?」
「……じる?」

 ふぁ、と小さなあくびを漏らせば、ジルヴィウスは頬を撫でていた手を滑らせ、耳を揉んだ。

「具合は?」
「……? 絶好調だけど……?」

 何を言っているのだろう、と目を擦ったシーラは、意識を失う直前のことを思い出し、はっと体を起こした。

「うそっ!? 途中で寝ちゃったの!?」
「気を失ったの間違いだろ」
「どっちも同じだよ! 今何時!?」
「まだそれほど遅い時間じゃない」

 シーラを引き寄せたジルヴィウスが、頬に掠めるようなキスを贈ってくれる。そのときふわりとアルコールの匂いが漂い、シーラは目を瞬かせた。

「ジル、お酒飲んでたの?」
「ああ。意外か?」
「うん……だって、ジルがお酒飲んでる姿見たことないから……」
「まぁ、誘われなければ基本は飲まないからな」

 言いながら、ジルヴィウスのキスが額や瞼にも落ちてくる。まるで甘えているかのようなその仕草に、胸が甘く高鳴った。

(うう……どうして途中で寝ちゃったんだろう……。やっぱりお風呂でしたのがだめだったかな……)

 ジルヴィウスは、朝から出掛ける用事がある。だから、これからまたしようと誘うのは、よくないだろう。

(ううっ、でも、でもっ……!)

 むむむ、と眉を寄せていると、ジルヴィウスは眉間の皺に口付けながら、シーラの名を呼んだ。

「軽食を用意させた。食べるだろ?」

 正直、それほどお腹は空いていない。それよりもいちゃいちゃしたい、と思っていると、その考えを見透かしたように、ジルヴィウスは目を眇めた。

「食ったら抱いてやる」
「! 食べる!」

 ほぼ反射のように即答すると、ジルヴィウスは呆れたようにシーラの頬を軽く摘まんだ。そのままソファへと連れて行かれ、用意されたサンドイッチを目の前に置かれる。
 酒を嗜むジルヴィウスの隣で、「しっかり噛んで、ゆっくり食べろ」と注意を受けながら、シーラは目の前のものを完食した。





 しばしの食休みを挟んだあと、シーラとジルヴィウスはベッドの上で向かい合った。

「まったく……お前はいつからそんな欲しがりになったんだ?」
「ジルがそうしたんだよ」

 ヘッドボードに寄りかかるジルヴィウスの足の間に陣取ったシーラは、彼のナイトガウンをはだけさせると、彼の厚い胸板に手を這わせる。

「それに新婚旅行なんだから、少しくらい羽目を外してもいいでしょ?」
「別に城に帰ってからでも好きなときに好きなだけ襲ってくれて構わないが?」
「お仕事があるからそれはだめ。みんなに迷惑もかかっちゃうし」

 首筋に軽く口付け、喉仏にかりっと歯を立てれば、ジルヴィウスが短く息をついた。

「他の奴のことなど気にするな」
「むーり」

 指の腹で胸の小さな飾りを転がしながら、彼の唇に軽く口付ける。触れるだけのキスを数度繰り返したのち、そっと舌を侵入させた。
 ほのかなアルコールの風味が口の中に広がる。
 酒精のせいか、彼の呼気は普段より熱い。間近で煌めく金の瞳も、わずかに潤んでいるようだった。

(……可愛い)

 彼の長い睫毛がゆっくり上下し、熱い息が吐き出されるたびに、彼への愛おしさが増していく。

「ジル、可愛い。大好き」

 彼の濡れた唇を食みながらそう告げれば、ジルヴィウスは深い溜息を漏らした。

「そればかりは同意しかねるな」

 ジルヴィウスはシーラの腰を抱き寄せると、そのまま後ろに押し倒す。シーラの足を大きく開かせ、その間に体を捻じ込むと、自身の着ているものをすべて脱ぎ捨てた。

「それで? 羽目を外した我が妻はどんなことをされたいんだ?」
「どちらかと言うと、わたしがしたいんだけど……」
「なるほど。好きにされたいと」

(言ってないけど……)

 けれど、やぶさかではないため、シーラはただ黙って胸を高鳴らせる。
 ジルヴィウスは片眉を上げシーラを見下ろすと、ドロワーズ越しに秘裂を撫でた。すでに潤ったそこは、くちゅり、と小さな水音を立てる。

「すっかり淫乱になったな、シーラ」
「ん……なったんじゃなくて、されたんだもん……」

 抗議も兼ねて唇を尖らせれば、反論など許さないとばかりに秘芽を摘ままれた。熟れた蜜壺には布越しにわずかに指を入れられ、シーラはいやいやと首を横に振る。

「や、直接触って……」
「なら、自分で全裸になれ、シーラ」

 でなければこのままだ、と言わんばかりに布越しに愛撫を続けるジルヴィウスに、シーラはむっと眉を寄せる。

(わたしも服越しに触ればよかった)

 今度同じ目に遭わせてやろう、と思いながら、体を起こしてすべて脱ぎ去る。
 ジルヴィウスはわずかに目を細めると、胸の膨らみに手を添えた。直接触れるジルヴィウスの肌は思った以上に熱く、シーラは思わず彼の腕を掴む。

「ジル、熱があるわけじゃないよね?」
「酒で体温が上がってるだけだ。心配するな、お前の中のほうが熱いからな」
「え――っぁ」

 再びシーラを押し倒したジルヴィウスは、それを証明するかのように、潤んだシーラの中に指を二本突き入れた。くちゅ、ぐちゅ、と音を立てながら素早く濡襞を擦られ、シーラの体温もどんどん上がっていく。

「んんっ、っふ、ぅ」
「まだ柔らかいな。これならすぐ挿入はいりそうだ」
「んっ……もう挿れる?」

 ジルヴィウスにしては珍しいな、と思いつつ尋ねれば、彼は「まさか」と秘芽を押し潰した。

「あぁあっ」
「俺の好きにしていいんだろ?」

 それに答えるよりも早く、ジルヴィウスは足の間に顔を埋め、膨らんだ秘芽を吸い上げた。

「やぁああっ」

 脳天を突き抜けるような快楽に、叫び声に近い嬌声が漏れた。視界が白く染まり、隘路がきゅうっと狭まる。

「知ってるか? シーラ。お前をこうして蕩けさせるのが、俺は存外愉しいんだ」
「っふ、ぁ……」

 彼の息が秘芽を掠めるだけで甘い声が漏れる。ジルヴィウスはそれに嬉しそうに目を細めると、溢れる蜜をじゅるっと啜った。

「今夜はそのまま素直に喘いでろ」

 隘路に舌を侵入させ、喉を潤すように蜜を飲むジルヴィウスに、シーラは彼の言いつけを守るように、素直に嬌声を上げ続けた。
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