野獣公爵の執愛

ゆき真白

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第一章

十四※

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「っふ、……ん」

 ゆったりと絡まる舌に、徐々に視点が定まり、思考が明瞭になっていく。冷静になった脳が、あれは絶頂だ、と教えてくれた。

(あんなに、すごいんだ……)

 自分が自分ではなくなるような、正常な思考を奪うような強烈な快感。怖かったはずなのに、終わってみれば気持ちよかった感覚しか残っていなくて、なんだか少し、物足りない気さえしてくる。

「ん……ぁっ……!?」

 そんな考えが伝わったのだろうか。中に収まったままだったジルヴィウスの指が再び動き始め、蜜を溢れさせる濡襞を撫でる。

「ぁっ、ジル……っ」
「まだだ、シーラ。わかっているだろう。お前を俺のものにする」

 力強いジルヴィウスの眼差しは、決して愛を湛えているようには見えない。
 シーラに対する情を、その瞳から窺い知ることはできない。
 けれど、それでもよかった。
 彼が何を考え、どのような想いを抱えていようと、今シーラを求めていることに変わりはない。
 シーラは、散った快楽が再び集まってきているのを感じながら、淡く笑んで、頷いた。
 ジルヴィウスはわずかに目尻を下げると、シーラの首や胸元、腹に口付け、赤い痕を残していきながら、下のほうへと移動していった。
 指を回すように隘路を撫でながら、彼は内腿に吸い付く。

「恐れず身を任せろ。次は止めない」
「ん……っは――!」

 シーラが頷くのとほぼ同時に、ジルヴィウスは腫れぼったくなった花芯を口に含み舐め上げた。

「あっ、ああっ」

 “未知の感覚”は“快楽の果て”なのだと理解したからか、すでに先ほどのような恐怖心はない。むしろ、シーラの体は与えられる刺激を悦ぶかのように、蜜を溢れさせた。
 ジルヴィウスが指を動かすたびに、くちゅりと音が鳴る。それに羞恥心を煽られ、身悶えしている間にも、彼の愛撫はどんどんエスカレートしていく。

「っひ、ぅ……っ」

 ジルヴィウスは舌先で合わせ目をなぞると、指が収まる蜜壺に舌も侵入させた。奥まで撫でる長い指と、入り口付近を舐める柔らかな舌はそれぞれ違う刺激をシーラに与え、いとも容易く官能のるつぼへと沈められていく。
 それだけでも十分なほどの悦楽を与えてくれているというのに、ジルヴィウスは空いた手で快楽の粒を撫で、指で挟んで捏ね始めた。

「ああっ……! っぁ、やあっ……ジルっ、んんっ……っん、ぅ……!」

 畳みかけるような刺激に下腹部がどんどん熱を持っていき、先ほど過ぎたはずの高みが再び目の前に迫ってくる。
 下肢の震えが大きくなるのも構わずに、ジルヴィウスは恥骨の裏を重点的に撫で、溢れる蜜を音を立てて吸い、秘芽を潰して引っ張った。

「やぁっ……っ、っ――!」

 大きく腰が跳ね、視界が白く塗りつぶされる。
 ちゃんと息を吸いたいのに、短い呼吸を繰り返すことしかできない。
 酸欠のせいか鈍く痛む頭で、あとどれほどこれを繰り返すのだろう、と思った。
 濡れた自分の唇を舐めるジルヴィウスを見つめながら、シーラは弱々しく「ジル」と声を掛ける。

「も、いれる……?」
「……正気か?」

 ジルヴィウスは片眉を上げ、胡乱げな眼差しをシーラに向ける。その間にも、中に収まる指は隘路を確かめるように前後した。

「だっ、て……これ以上は……ん……わけが、わからなくなりそうで……」

 二度達し敏感になった襞は、少し擦るだけでひくひくとわななき、時折ジルヴィウスの指を締め付ける。これ以上この柔らかな部分を擦り続けられれば、先ほどよりも恐ろしい何かがやって来ると、本能が警鐘を鳴らしていた。
 ジルヴィウスに触れてもらえるのは嬉しいが、いっそのこと早く終わらせてほしい、という思いも湧いて出てくる。
 言葉を待つように、じっと濡れた瞳を向け続けるシーラに、ジルヴィウスは深く溜息を漏らすと、片手でナイトガウンの紐を解いた。

(わ、あ……)

 露わになった彼の上半身に、隘路がきゅうっと狭まる。
 鍛え抜かれた確かな厚みを感じる胸板に、綺麗に凹凸が分かれた腹筋。男性の裸など目にしたことはないが、彼の体が極上の美しさと色香を持っていることだけはわかった。
 ジルヴィウスは、ぎちぎちに自分の指を締め付ける隘路を解すように指を回しながら、もう一方の手を下衣にかけ、下穿きごと引き下ろす。瞬間、いったいどうやって服の中に収まっていたのか疑問を抱かずにはいられないほどの、強大で凶悪なものが外に飛び出した。
 初めて見る男性のそれを、シーラは思わず凝視してしまう。
 赤黒く、血管を浮き上がらせながら天を向いたそれは、馴染みがないせいか非現実的な何かに見えた。

「それで? お前はこれが挿入はいると思うのか? たった指一本でこれほど締め付けてくるのに?」
「っぁ、ふ……」

 曲げられた指が、特に気持ちいい場所を押し込み、自然と甘い声が漏れる。そこを重点的に撫でられ、思考がまた快楽に塗りつぶされていくのを感じながら、シーラは「ジル」とジルヴィウスと手招いた。
 覆い被さるように近付いたジルヴィウスに、シーラは自分の隣を軽く叩く。
 眉を寄せつつも、ジルヴィウスは隣に寝転ぶ。その間も指戯は止まることなく、シーラの思考はすっかり官能に塗り替えられてしまった。
 熱に浮かされながらジルヴィウスと向き合うように横になると、そっと彼の欲芯に手を伸ばした。熱く硬いそれはすべすべとしていて、シーラの指が動くたびにぴくりと震えた。

(どうしたら、はいるかな)

 もう少し小さくならないかな、とジルヴィウスのものを見つめながら両手でさする。もしくはもっと柔らかくなればいい、と思ったが、シーラが撫でるごとに手の中のものは硬さを増していく。

「ねえ、ジ――っ」
「っ……あまり強く掴むな」

 どこか苛立たしげにそう漏らすジルヴィウスに、シーラはただ首を横に振る。
 別に、強く掴む気などなかった。繊細で大切な部分だから、優しく丁寧に触らなければいけない。それをきちんと理解していたから、慎重に触っていたのだ。

(なのに……)

「ジ、ル……が、ぁっ……」
「なんだ。お前が早く挿れたがっていたから、指を増やしてやったんだろう」
「っん、ふ……ゃ、あっ、ばらばらっ、うごかさないでっ」

 一本の指で前後に擦られるのとは違う、二本の指でばらばらに柔襞を刺激されるのは、先ほどとはまるで違う快感をシーラに与え、シーラは縋りつくようにジルヴィウスのガウンを掴んだ。
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