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第二章
十三
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ジルヴィウスは三人など視界に入っていないかのように、一直線にシーラのところまで来ると、驚きに目を瞬かせるシーラを抱き上げた。椅子を反転させ、そこに腰掛けると、シーラを大事そうに抱えながら向日葵色の髪に口付ける。
「『何よりもシーラを優先し尽くせ』と最初に言ったはずだが、たった一ヶ月ほどでそれを忘れたのか?」
「ちっ、違います! これは奥様が……!」
「誰が口を開いていいと言った」
地を這うような低い声に、イレーヌが肩を震わせる。真正面からジルヴィウスに睨みつけられているせいか、イレーヌの顔色はどんどん悪くなっていく。
(でも、イレーヌよりネリーのほうが心配ね。ジルの怒りが向いてるのはイレーヌなのに、あんなに震えて顔も真っ白だわ)
その点、リディはまったく動じた様子もない。むしろ、もっと言いたかったのに邪魔しやがって、と不満を抱いているようにも見えた。
(……これはもう決まりかなぁ)
シーラは小さく息を吐き出すと、ジルヴィウスへと視線を向けた。
「ジル。わたしが様子見をしようと放っておいたからこんな騒ぎになっちゃったの。うるさくしてごめんね」
「騒いだのはこいつらだからお前が謝ることじゃない。だが、もっと早い段階でさっさと見切りをつけるべきだったな。お前が望むなら今すぐ捨ててくるがどうする?」
(そんな物みたいに……)
心底興味なさそうなジルヴィウスに、シーラはちらりとイレーヌを窺う。さすがの彼女もその顔に恐怖を滲ませていた。
シーラは少しの間考えを巡らせると、ゆっくり頷く。
「捨てるって言い方はちょっとあれだけど……このまま置いておくのは――」
「お待ちください、奥様」
言葉を遮ったのはリディだ。不愉快そうにリディを睨み付けるジルヴィウスの目元を片手で覆いながら、シーラはリディへ目を向ける。
「どうしたの? リディ」
「このままここでイレーヌさんを雇ってもらうことはできませんか?」
「お前――」
何か言おうとしたジルヴィウスの口をもう一方の手で塞ぎ、シーラは小首を傾げる。
「理由を訊いてもいい?」
「まだ何もやり返してないからです」
「……やり……?」
「イレーヌさんに言われたことは全部覚えてます。いつか文句をつけられない人間になって言い返してやろうと決めてました。言いたいこともまだ全部言えてませんし、それまでは雇ってほしいです」
お願いします、とリディが頭を下げる。
(すっごく個人的な理由だった……そうだなぁ……)
シーラは逡巡したのち、ネリーへと目を向ける。
「ネリーは? どう思う?」
「えっ、わっ、わたしっ、ですか……!?」
大人しいネリーに意見を聞くのは酷かとも思ったが、リディだけの意見を聞くのも公平性に欠けると彼女に頷き返す。彼女はきょろきょろと視線を彷徨わせたのち、下を向いてエプロンを握り締めた。
「わ、わたしは奥様の判断にお任せします……!」
(まぁ、ネリーならそう答えるよね……)
予想通りだな、と思いつつ、シーラは「ジル」とジルヴィウスへ目を向ける。そこで自分が彼の目と口を塞いだままなことを思い出し、慌てて手を退かした。ジルヴィウスは特に気にした様子もなく、視線だけで、なんだ、と尋ねてくる。
「リディを専属に、ネリーをキッチンメイドに、って思ってるんだけど、二人とあんまり関わらないで済むポジションって何かあるかな?」
「ないな。そもそも使用人が暮らす建物は一つだ。まったく関わらないのは無理だろう」
「あ、そっか……」
どうしようかな、と考え始めたところで、これまで黙っていたイレーヌが「奥様!」と声を上げた。
「先ほどは失礼いたしました! どうか解雇だけはご容赦ください……!」
床に膝をつき頭を下げるイレーヌに、シーラは一拍置いて声を掛ける。
「イレーヌ。思っていたことを黙って、あなたを不利な状況に追い込んでしまったことは謝るわ。でも、あなたが今後自分の言動を改めたとしても、わたしがあなたを重用することはないと思う。これから肩身の狭い思いをする可能性もあるけど、それでもあなたはここで働きたい? 頼れる家族がいるなら、実家に帰るという選択肢もあるわ」
「いえっ、どうかここで働かせてください……!」
(話を聞く限り、実家は裕福そうだし無理に働く必要はないと思うけど……)
今の状況はプライドの高い彼女にはだいぶ屈辱的な状況のはずだが、何故そこまでここに残りたがるのだろうか、と疑問に思う。まさかこの状況でまだジルヴィウスを狙っているのだろうか、と考えていると、ジルヴィウスが呆れたような溜息をついた。
「お前がその女を見限らなかったのは、その女の家の状況を知ってるからだと思ったが、そういうわけじゃなさそうだな」
「イレーヌの家の状況……?」
シーラの呟きに、イレーヌは真っ赤に染まった顔を上げた。
「奥様っ、それはっ」
「その女に何を吹き込まれたのか知らないが、その女の家は多額の借金を抱えている。家財もほとんど売り払ってしまったようだな? そんな状況で実家に帰ったところで行く末は見えている。だから意地でもここに残りたいんだろう?」
「そっ、そうなの……?」
驚きイレーヌを見れば、彼女は屈辱に顔を歪めながら俯いた。
リディとネリーも目を丸くしてイレーヌを見つめている。
それはそうだろう。これまで彼女はどれだけ自分が裕福で恵まれているのか、リディやネリーとどれほど違う立場にいるのか、頻繁に口にしていたのだ。
(実家がそんな状況だったから余計に、だったのかな)
シーラは素早くジルヴィウスの上から降りると、イレーヌに近付き、固く握られた彼女の手を取った。
「……じゃあ、ランドリーメイドとしてここで働いてもらってもいいかな?」
「っ、ありがとうございます、奥様……!」
イレーヌは俯いたまま肩を震わせる。
彼女の言動には困ったものだが、そうなるまでに彼女にもいろいろなことがあったのだろう。
かつて自分の実家も借金をしていたな、と過去のことを思い出しながら、シーラは彼女を慰めようと肩に手を置こうとする。しかし、その手が触れる前に、シーラはジルヴィウスの上へと戻されてしまった。きつく腰を抱くジルヴィウスにシーラは抗議をしようとしたが、シーラが何か言うよりも早く、ジルヴィウスは三人を睨み付けた。
「言っておくが俺は妻ほど優しい人間じゃない。お前たちが抱える事情など知らない。興味もない。俺にとって重要なのは、お前たちが妻に尽くせる人間かどうかだ。この城に彼女に尽くせない人間はいらない。彼女が黒と言えば白も黒になるということを肝に銘じておけ。二度目はないぞ」
シーラに向けるのとはまるで違う鋭く冷たい声色に、イレーヌとネリーは体を震わせる。さすがのリディも冷や汗を浮かべていた。
「もう、ジル……! そんなに怖がらせないで!」
「怖がらせてない。俺は伝えるべきことを伝えただけだ」
悪びれもなく言い切るジルヴィウスに、シーラは「もうっ」と頬を膨らませる。
ジルヴィウスと向き合い、彼にばかり意識を向けていたシーラは、イレーヌがどんな目で自分を見ていたのか知る由もなかった。
「『何よりもシーラを優先し尽くせ』と最初に言ったはずだが、たった一ヶ月ほどでそれを忘れたのか?」
「ちっ、違います! これは奥様が……!」
「誰が口を開いていいと言った」
地を這うような低い声に、イレーヌが肩を震わせる。真正面からジルヴィウスに睨みつけられているせいか、イレーヌの顔色はどんどん悪くなっていく。
(でも、イレーヌよりネリーのほうが心配ね。ジルの怒りが向いてるのはイレーヌなのに、あんなに震えて顔も真っ白だわ)
その点、リディはまったく動じた様子もない。むしろ、もっと言いたかったのに邪魔しやがって、と不満を抱いているようにも見えた。
(……これはもう決まりかなぁ)
シーラは小さく息を吐き出すと、ジルヴィウスへと視線を向けた。
「ジル。わたしが様子見をしようと放っておいたからこんな騒ぎになっちゃったの。うるさくしてごめんね」
「騒いだのはこいつらだからお前が謝ることじゃない。だが、もっと早い段階でさっさと見切りをつけるべきだったな。お前が望むなら今すぐ捨ててくるがどうする?」
(そんな物みたいに……)
心底興味なさそうなジルヴィウスに、シーラはちらりとイレーヌを窺う。さすがの彼女もその顔に恐怖を滲ませていた。
シーラは少しの間考えを巡らせると、ゆっくり頷く。
「捨てるって言い方はちょっとあれだけど……このまま置いておくのは――」
「お待ちください、奥様」
言葉を遮ったのはリディだ。不愉快そうにリディを睨み付けるジルヴィウスの目元を片手で覆いながら、シーラはリディへ目を向ける。
「どうしたの? リディ」
「このままここでイレーヌさんを雇ってもらうことはできませんか?」
「お前――」
何か言おうとしたジルヴィウスの口をもう一方の手で塞ぎ、シーラは小首を傾げる。
「理由を訊いてもいい?」
「まだ何もやり返してないからです」
「……やり……?」
「イレーヌさんに言われたことは全部覚えてます。いつか文句をつけられない人間になって言い返してやろうと決めてました。言いたいこともまだ全部言えてませんし、それまでは雇ってほしいです」
お願いします、とリディが頭を下げる。
(すっごく個人的な理由だった……そうだなぁ……)
シーラは逡巡したのち、ネリーへと目を向ける。
「ネリーは? どう思う?」
「えっ、わっ、わたしっ、ですか……!?」
大人しいネリーに意見を聞くのは酷かとも思ったが、リディだけの意見を聞くのも公平性に欠けると彼女に頷き返す。彼女はきょろきょろと視線を彷徨わせたのち、下を向いてエプロンを握り締めた。
「わ、わたしは奥様の判断にお任せします……!」
(まぁ、ネリーならそう答えるよね……)
予想通りだな、と思いつつ、シーラは「ジル」とジルヴィウスへ目を向ける。そこで自分が彼の目と口を塞いだままなことを思い出し、慌てて手を退かした。ジルヴィウスは特に気にした様子もなく、視線だけで、なんだ、と尋ねてくる。
「リディを専属に、ネリーをキッチンメイドに、って思ってるんだけど、二人とあんまり関わらないで済むポジションって何かあるかな?」
「ないな。そもそも使用人が暮らす建物は一つだ。まったく関わらないのは無理だろう」
「あ、そっか……」
どうしようかな、と考え始めたところで、これまで黙っていたイレーヌが「奥様!」と声を上げた。
「先ほどは失礼いたしました! どうか解雇だけはご容赦ください……!」
床に膝をつき頭を下げるイレーヌに、シーラは一拍置いて声を掛ける。
「イレーヌ。思っていたことを黙って、あなたを不利な状況に追い込んでしまったことは謝るわ。でも、あなたが今後自分の言動を改めたとしても、わたしがあなたを重用することはないと思う。これから肩身の狭い思いをする可能性もあるけど、それでもあなたはここで働きたい? 頼れる家族がいるなら、実家に帰るという選択肢もあるわ」
「いえっ、どうかここで働かせてください……!」
(話を聞く限り、実家は裕福そうだし無理に働く必要はないと思うけど……)
今の状況はプライドの高い彼女にはだいぶ屈辱的な状況のはずだが、何故そこまでここに残りたがるのだろうか、と疑問に思う。まさかこの状況でまだジルヴィウスを狙っているのだろうか、と考えていると、ジルヴィウスが呆れたような溜息をついた。
「お前がその女を見限らなかったのは、その女の家の状況を知ってるからだと思ったが、そういうわけじゃなさそうだな」
「イレーヌの家の状況……?」
シーラの呟きに、イレーヌは真っ赤に染まった顔を上げた。
「奥様っ、それはっ」
「その女に何を吹き込まれたのか知らないが、その女の家は多額の借金を抱えている。家財もほとんど売り払ってしまったようだな? そんな状況で実家に帰ったところで行く末は見えている。だから意地でもここに残りたいんだろう?」
「そっ、そうなの……?」
驚きイレーヌを見れば、彼女は屈辱に顔を歪めながら俯いた。
リディとネリーも目を丸くしてイレーヌを見つめている。
それはそうだろう。これまで彼女はどれだけ自分が裕福で恵まれているのか、リディやネリーとどれほど違う立場にいるのか、頻繁に口にしていたのだ。
(実家がそんな状況だったから余計に、だったのかな)
シーラは素早くジルヴィウスの上から降りると、イレーヌに近付き、固く握られた彼女の手を取った。
「……じゃあ、ランドリーメイドとしてここで働いてもらってもいいかな?」
「っ、ありがとうございます、奥様……!」
イレーヌは俯いたまま肩を震わせる。
彼女の言動には困ったものだが、そうなるまでに彼女にもいろいろなことがあったのだろう。
かつて自分の実家も借金をしていたな、と過去のことを思い出しながら、シーラは彼女を慰めようと肩に手を置こうとする。しかし、その手が触れる前に、シーラはジルヴィウスの上へと戻されてしまった。きつく腰を抱くジルヴィウスにシーラは抗議をしようとしたが、シーラが何か言うよりも早く、ジルヴィウスは三人を睨み付けた。
「言っておくが俺は妻ほど優しい人間じゃない。お前たちが抱える事情など知らない。興味もない。俺にとって重要なのは、お前たちが妻に尽くせる人間かどうかだ。この城に彼女に尽くせない人間はいらない。彼女が黒と言えば白も黒になるということを肝に銘じておけ。二度目はないぞ」
シーラに向けるのとはまるで違う鋭く冷たい声色に、イレーヌとネリーは体を震わせる。さすがのリディも冷や汗を浮かべていた。
「もう、ジル……! そんなに怖がらせないで!」
「怖がらせてない。俺は伝えるべきことを伝えただけだ」
悪びれもなく言い切るジルヴィウスに、シーラは「もうっ」と頬を膨らませる。
ジルヴィウスと向き合い、彼にばかり意識を向けていたシーラは、イレーヌがどんな目で自分を見ていたのか知る由もなかった。
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