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第九章
焦らされる夜(一)※
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レオンハルトの顔が見れず、自ら導いた足の付け根にあるレオンハルトの手を凝視する。
沸騰しそうなほど顔が熱くて、くらくらしてきた。
(や、やりすぎてしまったかしら……)
ただ触ってほしいとだけ伝えたら、どこを触れてほしいのか聞き返されると思い、彼の手を導いた。しかし、これはいささか大胆すぎる行動だったのでは、と少し後悔し始める。
(こ、今度こそはしたないと思われた――)
「ルシアナ」
「――っ」
耳元で名前を呼ばれ、思わず肩が跳ねた。
緊張しすぎて痛いほど心臓が脈打ち、じわじわと視界が滲む。
そんなルシアナの様子を知ってか知らずか、耳に唇が触れるほど近い距離で、レオンハルトが静かに囁く。
「ここに触れてほしいのか?」
熱い息が耳孔に吹き込まれ、口から甘い吐息が漏れた。一方で、レオンハルトの手は欲しいところに触れておらず、もどかしさが溜まっていく。
レオンハルトの指先は、ルシアナが導いた通りの場所――下着の上から下生えの辺りを撫でている。
(ちゃんと触ってほしいのに……)
はしたないとは思われていない様子に安堵しつつ、わかっているはずなのに意地悪だ、という思いが芽生え、ルシアナは勢いよくレオンハルトの顔を見た。少々面食らったように目を見開く彼の頬を両手で包み、その唇に口付ける。
レオンハルトがあくまで知らないふりを続けるというのなら、彼が我慢できずに触れたくなるようにしてしまえばいい、と考えた。
酒に酔ったのか、雰囲気に酔ったのか、自分でも少々好戦的な思考だと思ったが、何もわからなかったこれまでとは違い、ルシアナは閨事の教本ともいえるものを手に入れたのだ。まだ大まかにしか目を通していないが、何も知らなかったときに比べ、心に余裕ができた。だからこんな思考になったのだろうと、ルシアナは一人納得する。
(それに、してほしいと願い、されるばかりになるのもよくないわ。レオンハルト様は『俺を求めるようになってくれたら嬉しい』とおっしゃっていたもの。――わたくしも、求められたい……)
自分を試すようなことができないほどに、余裕を失わせたい。
そんな欲がむくむくと湧いてきて、ルシアナは数回繰り返していた軽い口付けを止め、彼の薄い唇を舐める。すると、レオンハルトはそれに応えるように口を薄く開いた。これまでだったら、ここでレオンハルトの舌が入って来るのを待つが、今日は自ら舌を侵入させる。
眼前にあるシアンの瞳が揺れるのを見ながら、ルシアナは果敢にレオンハルトの舌を絡めとる。レオンハルトも同じように舌をすり合わせてくるが、今日ばかりは翻弄されてなるものかと快楽に溶けそうな頭を叱咤する。
しかし、ルシアナが激しく舌を絡ませるたび、レオンハルトもそれに応えるように貪ってくるため、どうしても頭がぼうっとしてしまう。
このままではいけないと思ったルシアナは、レオンハルトの熱い吐息と唾液を飲み込みながら、頬に当てていた手を片方滑らせ、彼の逞しい首筋を撫でた。中にシャツは着ておらず、ガウンの合わせに沿うように指を滑らせれば、灼けるほど熱い彼の体温が指先から伝わってくる。
すり、と鎖骨を撫でると、レオンハルトの頬がぴくりと震えた。先ほどまで熱心にルシアナの舌を捕食していた動きも緩慢になる。それでも特に制止はかからなかったので、ルシアナはそのままレオンハルトの胸元に指を滑らせた。その瞬間。ビリィッ、と盛大に何かが破れる音が室内に響いた。
(……!)
驚いて、ルシアナもレオンハルトも動きを止める。そして二人揃って、ルシアナの下腹部に置かれたままだったレオンハルトの手へ目を向けた。
余程力が籠っているのか、手の甲には血管が浮かび、その手はルシアナのシュミーズをきつく握り締めていた。
布で覆われていたはずの背中は外気に触れ、胸ももう少しで先端が露わになりそうなほど見えている。
「……すまない」
首を垂れ絞り出すように謝罪するレオンハルトに、ルシアナは「まあ……」と小さく漏らす。
「わたくしは平気ですわ。レオンハルト様は、手を痛めていらっしゃいませんか?」
シュミーズを掴んでいるレオンハルトの手に触れようと体を動かすとと、二の腕に引っかかっていたものが滑り双丘がまろび出る。
「あら……」
手元に落ちていた彼の視線が、自分の胸元に注がれているのを感じる。
(隠したほうがいいかしら)
肌を晒すことに慣れたわけではないが、陽光降り注ぐ中見られ愛でられたことを考えると、今この場で胸を晒すことに抵抗感はない。
(わたくし、慎みがないのかしら。けれど、今隠したら、レオンハルト様のせいだと言っているようなものだわ)
少し迷ったすえ、どうせそういう雰囲気だったし、と胸元を隠すことはせず、力が入りすぎて小刻みに震えているレオンハルトの手を両手で包み込んだ。
「そんなに強く握っては痛めてしまいますわ」
そっと手の甲を撫でれば、レオンハルトの腕がわずかに震えた。
「――ルシアナ」
「は、っぁ」
はい、と答えようとしたところで、思い切り腰を引き寄せられ、突き出す形になった胸の頂をレオンハルトが口に含んだ。
「ンン、んぅ」
すでに芯を持っていたものを、飴を転がすように舐めしゃぶられ、体が小さく震える。
もたらされる快楽に素直に高められている間に、シュミーズは引き抜かれ、ドロワーズも脱がされて、ついに一糸纏わぬ姿になった。
こうして完全なる裸をレオンハルトに晒すのは初めてだ。
「ッぁ、ン、レオンハルトさま、ぁ」
レオンハルトは、ぢゅ、ときつく乳首を吸い上げると顔を上げ、腰を掴んでいないほうの手でルシアナの薄い腹を撫でた。
「何故貴女はこんなにも愛らしく、美しいんだろうな」
「え――ぁ、は、ぁ……」
腹を撫でていた手が下生えを辿り、すでに十分なほど潤っている場所を撫でる。
「ここをこんなにも濡らして……もどかしかっただろう」
「ん、ふ……」
触ってほしいとは思ったが、こんなに濡れているとは思わず、ルシアナは頬を赤くする。
「先ほど触れてほしいと言っていたのは、ここか? それとも……中か?」
「ッあ」
言いながら中に指が沈められ、ルシアナは喉を震わせる。
「は……解していないのにずいぶんと柔らかい」
「あっ、ア……ぁ、ン」
くちゅくちゅと音を立てながら、レオンハルトの長い指が柔襞を擦り上げる。
(あ……なんで……)
それほど官能は高められていないはずなのに、どうしようもないほど気持ちよくて、掻痒感に似た疼きで膣道が痺れる。
「ぁ、や、だめ――」
(あ……!)
思わず出てしまった言葉に、ルシアナは両手で口を塞ぐ。しかし、ルシアナの様子をつぶさに確認していたレオンハルトは、ぴたりと動きを止めた。
「あ、ちが……」
熱に浮かされたようで、冷静さを失わないレオンハルトの双眸に見つめられながら、ルシアナは縋るようにレオンハルトのガウンを掴んだ。
沸騰しそうなほど顔が熱くて、くらくらしてきた。
(や、やりすぎてしまったかしら……)
ただ触ってほしいとだけ伝えたら、どこを触れてほしいのか聞き返されると思い、彼の手を導いた。しかし、これはいささか大胆すぎる行動だったのでは、と少し後悔し始める。
(こ、今度こそはしたないと思われた――)
「ルシアナ」
「――っ」
耳元で名前を呼ばれ、思わず肩が跳ねた。
緊張しすぎて痛いほど心臓が脈打ち、じわじわと視界が滲む。
そんなルシアナの様子を知ってか知らずか、耳に唇が触れるほど近い距離で、レオンハルトが静かに囁く。
「ここに触れてほしいのか?」
熱い息が耳孔に吹き込まれ、口から甘い吐息が漏れた。一方で、レオンハルトの手は欲しいところに触れておらず、もどかしさが溜まっていく。
レオンハルトの指先は、ルシアナが導いた通りの場所――下着の上から下生えの辺りを撫でている。
(ちゃんと触ってほしいのに……)
はしたないとは思われていない様子に安堵しつつ、わかっているはずなのに意地悪だ、という思いが芽生え、ルシアナは勢いよくレオンハルトの顔を見た。少々面食らったように目を見開く彼の頬を両手で包み、その唇に口付ける。
レオンハルトがあくまで知らないふりを続けるというのなら、彼が我慢できずに触れたくなるようにしてしまえばいい、と考えた。
酒に酔ったのか、雰囲気に酔ったのか、自分でも少々好戦的な思考だと思ったが、何もわからなかったこれまでとは違い、ルシアナは閨事の教本ともいえるものを手に入れたのだ。まだ大まかにしか目を通していないが、何も知らなかったときに比べ、心に余裕ができた。だからこんな思考になったのだろうと、ルシアナは一人納得する。
(それに、してほしいと願い、されるばかりになるのもよくないわ。レオンハルト様は『俺を求めるようになってくれたら嬉しい』とおっしゃっていたもの。――わたくしも、求められたい……)
自分を試すようなことができないほどに、余裕を失わせたい。
そんな欲がむくむくと湧いてきて、ルシアナは数回繰り返していた軽い口付けを止め、彼の薄い唇を舐める。すると、レオンハルトはそれに応えるように口を薄く開いた。これまでだったら、ここでレオンハルトの舌が入って来るのを待つが、今日は自ら舌を侵入させる。
眼前にあるシアンの瞳が揺れるのを見ながら、ルシアナは果敢にレオンハルトの舌を絡めとる。レオンハルトも同じように舌をすり合わせてくるが、今日ばかりは翻弄されてなるものかと快楽に溶けそうな頭を叱咤する。
しかし、ルシアナが激しく舌を絡ませるたび、レオンハルトもそれに応えるように貪ってくるため、どうしても頭がぼうっとしてしまう。
このままではいけないと思ったルシアナは、レオンハルトの熱い吐息と唾液を飲み込みながら、頬に当てていた手を片方滑らせ、彼の逞しい首筋を撫でた。中にシャツは着ておらず、ガウンの合わせに沿うように指を滑らせれば、灼けるほど熱い彼の体温が指先から伝わってくる。
すり、と鎖骨を撫でると、レオンハルトの頬がぴくりと震えた。先ほどまで熱心にルシアナの舌を捕食していた動きも緩慢になる。それでも特に制止はかからなかったので、ルシアナはそのままレオンハルトの胸元に指を滑らせた。その瞬間。ビリィッ、と盛大に何かが破れる音が室内に響いた。
(……!)
驚いて、ルシアナもレオンハルトも動きを止める。そして二人揃って、ルシアナの下腹部に置かれたままだったレオンハルトの手へ目を向けた。
余程力が籠っているのか、手の甲には血管が浮かび、その手はルシアナのシュミーズをきつく握り締めていた。
布で覆われていたはずの背中は外気に触れ、胸ももう少しで先端が露わになりそうなほど見えている。
「……すまない」
首を垂れ絞り出すように謝罪するレオンハルトに、ルシアナは「まあ……」と小さく漏らす。
「わたくしは平気ですわ。レオンハルト様は、手を痛めていらっしゃいませんか?」
シュミーズを掴んでいるレオンハルトの手に触れようと体を動かすとと、二の腕に引っかかっていたものが滑り双丘がまろび出る。
「あら……」
手元に落ちていた彼の視線が、自分の胸元に注がれているのを感じる。
(隠したほうがいいかしら)
肌を晒すことに慣れたわけではないが、陽光降り注ぐ中見られ愛でられたことを考えると、今この場で胸を晒すことに抵抗感はない。
(わたくし、慎みがないのかしら。けれど、今隠したら、レオンハルト様のせいだと言っているようなものだわ)
少し迷ったすえ、どうせそういう雰囲気だったし、と胸元を隠すことはせず、力が入りすぎて小刻みに震えているレオンハルトの手を両手で包み込んだ。
「そんなに強く握っては痛めてしまいますわ」
そっと手の甲を撫でれば、レオンハルトの腕がわずかに震えた。
「――ルシアナ」
「は、っぁ」
はい、と答えようとしたところで、思い切り腰を引き寄せられ、突き出す形になった胸の頂をレオンハルトが口に含んだ。
「ンン、んぅ」
すでに芯を持っていたものを、飴を転がすように舐めしゃぶられ、体が小さく震える。
もたらされる快楽に素直に高められている間に、シュミーズは引き抜かれ、ドロワーズも脱がされて、ついに一糸纏わぬ姿になった。
こうして完全なる裸をレオンハルトに晒すのは初めてだ。
「ッぁ、ン、レオンハルトさま、ぁ」
レオンハルトは、ぢゅ、ときつく乳首を吸い上げると顔を上げ、腰を掴んでいないほうの手でルシアナの薄い腹を撫でた。
「何故貴女はこんなにも愛らしく、美しいんだろうな」
「え――ぁ、は、ぁ……」
腹を撫でていた手が下生えを辿り、すでに十分なほど潤っている場所を撫でる。
「ここをこんなにも濡らして……もどかしかっただろう」
「ん、ふ……」
触ってほしいとは思ったが、こんなに濡れているとは思わず、ルシアナは頬を赤くする。
「先ほど触れてほしいと言っていたのは、ここか? それとも……中か?」
「ッあ」
言いながら中に指が沈められ、ルシアナは喉を震わせる。
「は……解していないのにずいぶんと柔らかい」
「あっ、ア……ぁ、ン」
くちゅくちゅと音を立てながら、レオンハルトの長い指が柔襞を擦り上げる。
(あ……なんで……)
それほど官能は高められていないはずなのに、どうしようもないほど気持ちよくて、掻痒感に似た疼きで膣道が痺れる。
「ぁ、や、だめ――」
(あ……!)
思わず出てしまった言葉に、ルシアナは両手で口を塞ぐ。しかし、ルシアナの様子をつぶさに確認していたレオンハルトは、ぴたりと動きを止めた。
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