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第九章
焦らされる夜(二)※
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「いや……やめないでください……」
むずむずとした感覚に苛まれ、もどかしさに足の先が閉じたり開いたりする。
中に収まっているレオンハルトの指をきゅうと締め付けると、彼はわずかに眉を下げ、瞳を潤ませるルシアナの目尻に口付けた。
「では、何がだめだったんだ?」
「違います……だめではないのです……。“だめ”でも“嫌”でもないのに……その……気持ちよくなると、そういった言葉が出そうになって……。やめてほしいときは、やめてくださいときちんとお伝えするので……それ以外のときはやめないで……」
懇願するように、じっとシアンの瞳を見つめれば、彼はきつく眉を寄せ、指の動きを再開させた。
「ぁ、は……ッン、ん……」
「……そうだな。こんなに嬉しそうに指を咥え込んで、だめなわけがない」
耳元で囁かれた言葉に、視線が自然と足の間へと向かう。
これまで、仰向けに寝る体勢で、腹回りにシュミーズがまとまっている状態だったため、彼の指が自分の中に収まっているのを見たことはなかった。
(本当に入っているわ……)
間違いなく彼の指はルシアナの中に入り、その指をいやらしく濡らしていた。
それを意識すると、今までより鮮明に、生々しく、レオンハルトの指の形やその動きを感知できた。そのせいか、されていることは以前と変わらないはずなのに、まるで感度が跳ね上がったかのように、柔襞を撫でる感覚が強烈な快楽として脳へと伝わってきた。
「あっ、あぁ、は……ッ」
「ふ、先ほどより濡れてきたな?」
それを示すかのように、レオンハルトは中をかき混ぜ、ぐちゅぐちゅとわざとらしく淫猥な音を立てる。
「ゃ、あっ、ン、ふっ」
「やめろとは言われていないから、やめなくていいんだろう?」
耳孔に、ふう、と息を吹き込まれ、ぴくぴくと体が震える。
「やぁ、あっ、ふ……今日、なんで……ッんぁ」
「なんで……なんだ?」
曲げられた指が、ルシアナの気持ちいいところを的確に、重点的に攻める。素早く擦られ、ぐいぐいと押し上げるようにされると、逃げ出したいほどの快感が体を支配した。
「ぁ、は、ッあ、はず……んぁ、恥ずかしい……ことっ、たくさ――ふぁっ」
止めどなく溢れてくる蜜に助けられるように、少し硬い彼の指の腹が濡襞を擦り上げ、びくりと腰が跳ねる。それでも彼の指は止まらず、恥骨の裏を擦り続けた。
「ああっ、っあ、ふ、だめっ……だっ、ぁ、アッ――」
円を描くように悦いところを擦られ、びくびくと体が痙攣する。果てを迎えた意識は、どこかふわふわとしていて、地に足が着いていない心地だ。
「ふ、ぅ……」
目尻からこぼれた涙をレオンハルトが吸い取る。
ルシアナが両足できつくレオンハルトの腕を挟み込んでいるためか、彼の指はもう動いていなかったが、肉襞の蠢きから彼の指の存在を強く感じ、なかなか法悦の余韻が消えていかない。
「レオンハルトさま……」
荒い息を漏らしながら、滲んだ視界にレオンハルトを捉える。そっと口元に触れて顔を傾ければ、レオンハルトは優しく口付けてくれた。
レオンハルトの口付けが落ちるたび、隘路が収縮し、柔襞が彼の指にまとわりついた。
「……キスが好きなのか?」
「好き……レオンハルト様とのキスが好きです」
もっと、とねだろうとして身を捩った瞬間、レオンハルトが思い切り顔を顰めた。
レオンハルトの反応と、太腿に触れたものの感触で、ぼんやりとしていた思考が明瞭になる。
(……今の、もしかして……)
当たったものを確認しようと視線を下げたルシアナだったが、腰に回されていた手に顎を掴まれ、一瞬のうちに上を向かされた。
「ッン、ふ……ぁ……」
次の瞬間には口を塞がれ、口内を舐られる。
自分主導で特別なキスをしていたときに比べ、すぐに頭が溶かされる。
肉厚な彼の舌に口内を探られるのも、舌同士を擦り付けられるのも、どうにも気持ちいい。
このままキスに溺れそうになったルシアナは、中に収まったままだった彼の指が再び動き出そうとしたのを感じ取り、はっと我に返る。
(わたくしだけ気持ちいいのはだめよ……!)
ルシアナは片手を伸ばし、自身の足の間にあるレオンハルトの腕を掴むと、右足を上げて太腿を彼の下腹部に擦り付けた。
「ッ――ルシアナ!」
体を強張らせ、レオンハルトは咎めるようにルシアナの名を呼んだ。しかし、その目元は赤く染まり、双眸には滾るような熱が浮かんでいるのがわかる。
それらを見て、ルシアナは嬉しそうに口元に笑みを浮かべた。
「わたくしだって、レオンハルト様に気持ちよくなっていただきたいですわ。それとも、わたくしに触れられるのは、お嫌ですか?」
眉尻を下げながら問えば、歯噛みしたレオンハルトが「いや」と漏らす。
「……嫌ではない、が……」
レオンハルトは深く息を吸い込むと、素早くルシアナの中から指を引き抜き、ルシアナを横抱きにして立ち上がった。
突然の浮遊感に、慌ててレオンハルトにしがみつくと、彼は大股でベッドまで向かう。動きは迅速で性急に感じたものの、ルシアナをベッドに下ろすときは割れ物でも扱うかのように殊更大事そうに横たえた。
ルシアナをベッドに寝かせたレオンハルトは、照明のある窓側の天蓋の幕は開けたまま、そこ以外の幕を引いた。重厚な紺色の幕は光を遮断し、一方から注がれる間接照明の温かな光だけがベッドの中を照らす。
(わたくし、レオンハルト様のベッドに寝ているわ)
裸でいることより、その状況のほうが気恥ずかしくて、心臓がドキドキと高鳴る。
横を向き、確かめるようにシーツを撫でていると、目の前に大きくしっかりとした手が置かれた。
腕から辿るように、自分に覆い被さるレオンハルトを見上げれば、彼の瞳は先ほどより強く情欲を湛えていた。
『貴女に欲情していると言ったら、わかりやすいか?』
今朝言われたことが、脳内に蘇る。
あのときは動揺してしまったが、今はその事実が何よりも嬉しかった。
(……もっと)
顔の横に置かれた手の甲を指先でくすぐり、ガウンの袖口に指先を侵入させる。袖を持ち上げるように彼の逞しい腕を撫でれば、レオンハルトは眉を寄せながらシーツを握り締めた。
「……ルシアナ」
唸るような低い声で名前を呼ばれ、ぞくりとしたものが背筋を走る。
強大な肉食獣を前にし、生命の危機に怯えるような、生物としての根源的な恐怖にも似た――愉悦。
「あまり、煽るようなことはしないでくれ」
衝動を理性で抑え込もうとするレオンハルトを見つめながら、ルシアナは嫣然と笑む。
(もっと、求めて)
その身を差し出すように両手を広げれば、レオンハルトは、は、と熱い息をこぼしながら、ゆっくりと上体を倒した。
むずむずとした感覚に苛まれ、もどかしさに足の先が閉じたり開いたりする。
中に収まっているレオンハルトの指をきゅうと締め付けると、彼はわずかに眉を下げ、瞳を潤ませるルシアナの目尻に口付けた。
「では、何がだめだったんだ?」
「違います……だめではないのです……。“だめ”でも“嫌”でもないのに……その……気持ちよくなると、そういった言葉が出そうになって……。やめてほしいときは、やめてくださいときちんとお伝えするので……それ以外のときはやめないで……」
懇願するように、じっとシアンの瞳を見つめれば、彼はきつく眉を寄せ、指の動きを再開させた。
「ぁ、は……ッン、ん……」
「……そうだな。こんなに嬉しそうに指を咥え込んで、だめなわけがない」
耳元で囁かれた言葉に、視線が自然と足の間へと向かう。
これまで、仰向けに寝る体勢で、腹回りにシュミーズがまとまっている状態だったため、彼の指が自分の中に収まっているのを見たことはなかった。
(本当に入っているわ……)
間違いなく彼の指はルシアナの中に入り、その指をいやらしく濡らしていた。
それを意識すると、今までより鮮明に、生々しく、レオンハルトの指の形やその動きを感知できた。そのせいか、されていることは以前と変わらないはずなのに、まるで感度が跳ね上がったかのように、柔襞を撫でる感覚が強烈な快楽として脳へと伝わってきた。
「あっ、あぁ、は……ッ」
「ふ、先ほどより濡れてきたな?」
それを示すかのように、レオンハルトは中をかき混ぜ、ぐちゅぐちゅとわざとらしく淫猥な音を立てる。
「ゃ、あっ、ン、ふっ」
「やめろとは言われていないから、やめなくていいんだろう?」
耳孔に、ふう、と息を吹き込まれ、ぴくぴくと体が震える。
「やぁ、あっ、ふ……今日、なんで……ッんぁ」
「なんで……なんだ?」
曲げられた指が、ルシアナの気持ちいいところを的確に、重点的に攻める。素早く擦られ、ぐいぐいと押し上げるようにされると、逃げ出したいほどの快感が体を支配した。
「ぁ、は、ッあ、はず……んぁ、恥ずかしい……ことっ、たくさ――ふぁっ」
止めどなく溢れてくる蜜に助けられるように、少し硬い彼の指の腹が濡襞を擦り上げ、びくりと腰が跳ねる。それでも彼の指は止まらず、恥骨の裏を擦り続けた。
「ああっ、っあ、ふ、だめっ……だっ、ぁ、アッ――」
円を描くように悦いところを擦られ、びくびくと体が痙攣する。果てを迎えた意識は、どこかふわふわとしていて、地に足が着いていない心地だ。
「ふ、ぅ……」
目尻からこぼれた涙をレオンハルトが吸い取る。
ルシアナが両足できつくレオンハルトの腕を挟み込んでいるためか、彼の指はもう動いていなかったが、肉襞の蠢きから彼の指の存在を強く感じ、なかなか法悦の余韻が消えていかない。
「レオンハルトさま……」
荒い息を漏らしながら、滲んだ視界にレオンハルトを捉える。そっと口元に触れて顔を傾ければ、レオンハルトは優しく口付けてくれた。
レオンハルトの口付けが落ちるたび、隘路が収縮し、柔襞が彼の指にまとわりついた。
「……キスが好きなのか?」
「好き……レオンハルト様とのキスが好きです」
もっと、とねだろうとして身を捩った瞬間、レオンハルトが思い切り顔を顰めた。
レオンハルトの反応と、太腿に触れたものの感触で、ぼんやりとしていた思考が明瞭になる。
(……今の、もしかして……)
当たったものを確認しようと視線を下げたルシアナだったが、腰に回されていた手に顎を掴まれ、一瞬のうちに上を向かされた。
「ッン、ふ……ぁ……」
次の瞬間には口を塞がれ、口内を舐られる。
自分主導で特別なキスをしていたときに比べ、すぐに頭が溶かされる。
肉厚な彼の舌に口内を探られるのも、舌同士を擦り付けられるのも、どうにも気持ちいい。
このままキスに溺れそうになったルシアナは、中に収まったままだった彼の指が再び動き出そうとしたのを感じ取り、はっと我に返る。
(わたくしだけ気持ちいいのはだめよ……!)
ルシアナは片手を伸ばし、自身の足の間にあるレオンハルトの腕を掴むと、右足を上げて太腿を彼の下腹部に擦り付けた。
「ッ――ルシアナ!」
体を強張らせ、レオンハルトは咎めるようにルシアナの名を呼んだ。しかし、その目元は赤く染まり、双眸には滾るような熱が浮かんでいるのがわかる。
それらを見て、ルシアナは嬉しそうに口元に笑みを浮かべた。
「わたくしだって、レオンハルト様に気持ちよくなっていただきたいですわ。それとも、わたくしに触れられるのは、お嫌ですか?」
眉尻を下げながら問えば、歯噛みしたレオンハルトが「いや」と漏らす。
「……嫌ではない、が……」
レオンハルトは深く息を吸い込むと、素早くルシアナの中から指を引き抜き、ルシアナを横抱きにして立ち上がった。
突然の浮遊感に、慌ててレオンハルトにしがみつくと、彼は大股でベッドまで向かう。動きは迅速で性急に感じたものの、ルシアナをベッドに下ろすときは割れ物でも扱うかのように殊更大事そうに横たえた。
ルシアナをベッドに寝かせたレオンハルトは、照明のある窓側の天蓋の幕は開けたまま、そこ以外の幕を引いた。重厚な紺色の幕は光を遮断し、一方から注がれる間接照明の温かな光だけがベッドの中を照らす。
(わたくし、レオンハルト様のベッドに寝ているわ)
裸でいることより、その状況のほうが気恥ずかしくて、心臓がドキドキと高鳴る。
横を向き、確かめるようにシーツを撫でていると、目の前に大きくしっかりとした手が置かれた。
腕から辿るように、自分に覆い被さるレオンハルトを見上げれば、彼の瞳は先ほどより強く情欲を湛えていた。
『貴女に欲情していると言ったら、わかりやすいか?』
今朝言われたことが、脳内に蘇る。
あのときは動揺してしまったが、今はその事実が何よりも嬉しかった。
(……もっと)
顔の横に置かれた手の甲を指先でくすぐり、ガウンの袖口に指先を侵入させる。袖を持ち上げるように彼の逞しい腕を撫でれば、レオンハルトは眉を寄せながらシーツを握り締めた。
「……ルシアナ」
唸るような低い声で名前を呼ばれ、ぞくりとしたものが背筋を走る。
強大な肉食獣を前にし、生命の危機に怯えるような、生物としての根源的な恐怖にも似た――愉悦。
「あまり、煽るようなことはしないでくれ」
衝動を理性で抑え込もうとするレオンハルトを見つめながら、ルシアナは嫣然と笑む。
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