ルシアナのマイペースな結婚生活

ゆき真白

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第九章

焦らされる夜(三)※

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 首筋に熱い舌が這い、ふるりと体が震える。時折、口付けも交えながら丹念に肌を舐められ、腹の奥がひどく疼いた。
 彼の頭を抱えるようにさらりとした髪を梳くと、少しだけ身じろぐ。レオンハルトがルシアナを跨ぐように覆い被さっているため、足を伸ばして彼の足の間に触れようとしたのだ。
 しかし、ルシアナの足の甲がレオンハルトに触れる前に、彼はルシアナの足を押さえた。

「こら」

(……『こら』……?)

 幼い子を窘めるように言われた「こら」に、ルシアナは一拍置いて頬を淡く染める。

「それは恥ずかしがっているのか、喜んでいるのか、どっちだ?」

 笑い交じりに言いながら、レオンハルトは一度体を起こすと、ルシアナの足を掴んで大きく開かせる。その間に体を置くと、再び上体を倒し胸の頂に吸い付いた。

「っん」
「ほら、訊いてるだろう? ルシアナ」

 もう一方は親指と人差し指できゅうっと摘ままれ、体が跳ねる。

「んんっ、ぁッ、あ、どち、らもっ」
「どちらも?」
「は、ッァ」

 かりっと歯でひっかけられ、一層甘い声が漏れる。

「自分で尋ねておいてなんだが、恥ずかしがる要素も喜ぶ要素もないと思うが」

 レオンハルトは、持ち上げるように下から乳房を掴み、乳首にねっとりと舌を絡ませる。

「は、ン……」

 丁寧に舐められ、吸われた胸の頂は、真っ赤にしっかりと立ち上がっている。一度口を離したレオンハルトは、自らの唾液で濡れた乳首を見下ろすと、指先でくにくにと捏ねた。
 先ほどまで指を入れられていた場所から、とろりと蜜が垂れるのがわかる。思わず腰をくねらせれば、レオンハルトが、ふっと目尻を下げた。

「貴女は身も心も素直だな」

 胸を弄っていた手の片方が、脇腹を撫で足の付け根へと向かう。

「んん……待って……」
「どうした?」

 太腿を撫で、乳首を指で弾きながら問うレオンハルトに、ルシアナは、むぅ、と唇を尖らせる。

「わた――んぅ」

 太腿から手を離し、ベッドに手をついたレオンハルトが、ルシアナの唇に吸い付く。

(話そうとしたのに……)

 そう思うものの、レオンハルトのキスを拒む気はさらさらなく、素直に受け入れる。しばらく唇を食んだり、舐めたりしていたレオンハルトは、口を離すと静かにルシアナを見下ろした。

「……そんなにキスが好きか?」

 “話を遮られても受け入れるほどに?”という視線を受け、ルシアナはレオンハルトの頬を優しく撫でる。

「……レオンハルト様とのキスが好きなだけですわ」
「そうか」

 発した言葉は先ほどと同じ内容だが、レオンハルトは嬉しそうに目を細めた。彼はそのまま頭の位置を下げると鎖骨に口付ける。

「それで? 何故待ってほしいんだ?」
「わたくしも、レオンハルト様に気持ちよくなっていただきたいのに……レオンハルト様が触れさせてくださらないから……」
「そんなに俺に触れたいのか?」

 返事の代わりに、つん、と髪の毛を軽く引っ張る。それに笑ったのか、ふっと息が肌を掠めた。
 レオンハルトはそのまま体を下にずらしながら、ルシアナ肌を舐めていく。
 胸の間から、引き締まった腹に縦に入った線をなぞるように舌を這わせ、臍の窪みを舌で抉る。

「ひぁっ」

 くすぐったさに身を捩ると、レオンハルトがそれを押さえるように腹に手を当てた。

「……今は、何も気にせず俺に愛でられてくれ。ルシアナ」





「っあ、ああ……ふ、ん、ゃ、だめぇっ」

 柔襞を擦り上げる、ぐちゅぐちゅという淫靡な音を聞きながら、ルシアナは何度も下肢を跳ねさせる。

「たくさん気持ちよくなれて偉いな、ルシアナ」

 頭を撫で、涙に濡れた目元に口付けながらも、隘路に収められた彼の指は止まらない。

「ゃ、もうへいきっ、へいきだか、ああっ」

 親指の腹が花芯を押し潰し、大きく腰が跳ねた。
 半端に開いた口の端から唾液が伝い落ちる。
 何度目の絶頂を迎えたときか、体勢を横向きへと変えられたため、顔の下のシーツには涙と涎で染みと水溜まりができていた。

「ルシアナ」

 名前を呼ばれ、視線だけをレオンハルトに向ける。絶え間なく動いていた三本の指は動きを止めており、ルシアナは荒い息を整えるように胸を上下させる。

「も、いれて、くださ……」
「だめだ。今日は最後までしないと言っただろう」

 抗議するように眉を寄せれば、彼は眉尻に口付けた。

「貴女はどんな表情を浮かべていても愛らしい」

 甘い囁きに絆されそうになるものの、心を奮い立たせ、けだるげに垂れた腕をレオンハルトに向け動かす。しかし、あまりにも緩慢な動きだったせいか、その手は目的の場所に辿り着く前にレオンハルトに掴まった。

「貴女も諦めないな。俺に触れるのはまた今度にしてくれと言っただろう」
「いっしょに、きもちよくなるのも、だめですか?」
「……だめだ。今日はルシアナを蕩けさせて慣らすと決めたからな」
「っぁ、は」

 止まっていた指が再び動き始め、体を震わせる。
 三本の指は器用にばらばらに動きながら、柔らかく解れた濡襞を擦る。

「んぁっ、は、あぁっ……っあ、キスっ、キスしてくださっンンッ」

 肩を押され、背中がシーツにつくと同時に口を塞がれる。
 ルシアナはレオンハルトの首に腕を回すと、きつくガウンを掴んで必死に舌を絡ませる。
 果てを迎えすぎてひどく敏感になった柔襞を遠慮なく擦られ続け、もうどこをどう触られても疼きと快感が止まらなかった。

「っふ、ぁ、んく、んっぁっ」

 蜜壺からは止めどなく蜜が溢れ、レオンハルトの指をきつく締め上げる。そのせいでより敏感に指の動きを感じ、少し指が動くだけで簡単に高みへと導かれる。

「ッ――」

 下肢を痙攣させながら果てを迎えるころには、レオンハルトと舌を絡めることもできず、ただはしたなく舌を伸ばし、擦り付けることしかできない。
 レオンハルトは、そんなルシアナの舌に吸い付き、軽く食む。それすら甘い痺れとなって全身に駆け巡り、媚肉がいやらしく蠕動する。

「貴女はただ快楽だけを享受すればいい。他のことはもう、何も気にするな」

 心底愉しそうに口元を緩めるレオンハルトをぼんやりと眺めながら、ルシアナはいつ終わるかもわからない甘い責め苦を受け入れるように、レオンハルトの頭を撫でた。
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