18 / 76
第18話ゴブリン襲来編⑫
しおりを挟む
マリアの悲鳴を聞き、ベックや冒険者たちが彼女を救おうと奮闘するが、ゴブリンたちに行く手を阻まれ身動きがとれない。
「待ってろマリア! 今助けるからなっ。クソ、こいつらきりがねぇ」
「来ちゃダメ! 罠よっ」
マリアが叫んだ時には、ベックをはじめとする冒険者たち全員が一か所に密集した状態で、大量のゴブリンに取り囲まれていた。
「グハハハハ! 邪魔な冒険者どももこれでお終いだ。最後にいいものを見せてやる。この女の巨乳が俺様のイチモツを挟んで扱くサマをなぁ」
(だめ、このままじゃ。みんな死んじゃう。お願い、助けて……ハルト)
マリアの目から涙が溢れ、頬を伝って流れ落ちた。
「風よ我に力を! 疾風となりて敵を吹き飛ばせ!」
声のあとにすさまじい風圧がゾイドの巨体を持ち上げた。風に飛ばされたゾイドが森の木々をなぎ倒しながら転がっていく。
マリアの元に一人の青年が近づいてくる。見覚えのある顔に、マリアは喜びと安堵のあまり一気に涙が溢れだした。
「町に張られた結界を破るのに時間がかかった。遅くなってすまない」
「ハルト! 来てくれたのね。私、ハルトが作ってくれたブラのおかげで頑張れたんだけど……ごめんなさい」
マリアが片手で胸を隠しながら、引き裂かれたブラを握りしめる。
「ああ、見れば分かるよ。マリアが善戦したことは。まさかネームドまでいるとは思わなかった。ブラがダメージに耐えきれなかったのはマリアのせいじゃない。俺のミスだ」
ハルトがマリアに優しく語り掛け、肩にそっと手を置いた。
「クソガキがぁぁぁ! 俺様のお楽しみを邪魔しやがってぇぇぇ。八つ裂きにしてやるっ」
怒り狂ったゾイドが大剣を振り上げ突進してくる。
「ハルト、危ない!」
「平気だ」
ハルトは慌てるそぶりを見せず、マリアに自分の上着を着せた。
「ひゃっ。ちょ、ちょっとハルト」
ハルトに抱きかかえられマリアが赤面する。
「しっかり掴まっていて」
マリアを抱いたままハルトが宙に浮かぶ。地面から5メートル以上離れた位置でハルトの体は停止した。
「逃げるなぁぁぁ!」
ゾイドが十分な助走をつけて地面を蹴る。
「貫け!」
ハルトが叫んだ刹那、地面から飛び出した鋭い石柱がゾイドの体を貫通した。
「ブハアッ……」
口から大量の血を吐き出し、ゾイドがもがき苦しむ。ピクピクと痙攣する手足は、やがて全く動かなくなった。
マリアを抱いたハルトがゆっくり地面に降り立つ。
「お、おい。ゴブリンどもが逃げていくぞ!」
「勝った! 勝ったぞぉぉぉ」
森へ撤退するゴブリンを見て、冒険者たちが勝どきを上げた。
「もう大丈夫だ」
ハルトが抱きかかえていたマリアを離す。
「マリア?」
マリアはハルトから離れようとせず、彼の首に両手を回し、ぴたりと体を寄せた。
ハルトは黙ってマリアを抱きしめ、彼女の頭を優しく撫でた。
「待ってろマリア! 今助けるからなっ。クソ、こいつらきりがねぇ」
「来ちゃダメ! 罠よっ」
マリアが叫んだ時には、ベックをはじめとする冒険者たち全員が一か所に密集した状態で、大量のゴブリンに取り囲まれていた。
「グハハハハ! 邪魔な冒険者どももこれでお終いだ。最後にいいものを見せてやる。この女の巨乳が俺様のイチモツを挟んで扱くサマをなぁ」
(だめ、このままじゃ。みんな死んじゃう。お願い、助けて……ハルト)
マリアの目から涙が溢れ、頬を伝って流れ落ちた。
「風よ我に力を! 疾風となりて敵を吹き飛ばせ!」
声のあとにすさまじい風圧がゾイドの巨体を持ち上げた。風に飛ばされたゾイドが森の木々をなぎ倒しながら転がっていく。
マリアの元に一人の青年が近づいてくる。見覚えのある顔に、マリアは喜びと安堵のあまり一気に涙が溢れだした。
「町に張られた結界を破るのに時間がかかった。遅くなってすまない」
「ハルト! 来てくれたのね。私、ハルトが作ってくれたブラのおかげで頑張れたんだけど……ごめんなさい」
マリアが片手で胸を隠しながら、引き裂かれたブラを握りしめる。
「ああ、見れば分かるよ。マリアが善戦したことは。まさかネームドまでいるとは思わなかった。ブラがダメージに耐えきれなかったのはマリアのせいじゃない。俺のミスだ」
ハルトがマリアに優しく語り掛け、肩にそっと手を置いた。
「クソガキがぁぁぁ! 俺様のお楽しみを邪魔しやがってぇぇぇ。八つ裂きにしてやるっ」
怒り狂ったゾイドが大剣を振り上げ突進してくる。
「ハルト、危ない!」
「平気だ」
ハルトは慌てるそぶりを見せず、マリアに自分の上着を着せた。
「ひゃっ。ちょ、ちょっとハルト」
ハルトに抱きかかえられマリアが赤面する。
「しっかり掴まっていて」
マリアを抱いたままハルトが宙に浮かぶ。地面から5メートル以上離れた位置でハルトの体は停止した。
「逃げるなぁぁぁ!」
ゾイドが十分な助走をつけて地面を蹴る。
「貫け!」
ハルトが叫んだ刹那、地面から飛び出した鋭い石柱がゾイドの体を貫通した。
「ブハアッ……」
口から大量の血を吐き出し、ゾイドがもがき苦しむ。ピクピクと痙攣する手足は、やがて全く動かなくなった。
マリアを抱いたハルトがゆっくり地面に降り立つ。
「お、おい。ゴブリンどもが逃げていくぞ!」
「勝った! 勝ったぞぉぉぉ」
森へ撤退するゴブリンを見て、冒険者たちが勝どきを上げた。
「もう大丈夫だ」
ハルトが抱きかかえていたマリアを離す。
「マリア?」
マリアはハルトから離れようとせず、彼の首に両手を回し、ぴたりと体を寄せた。
ハルトは黙ってマリアを抱きしめ、彼女の頭を優しく撫でた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる