学校探検

ゆう

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学校探検

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「失礼します、_年_組の~…です。登校しました。」
職員室のドアを開けて声を出した。
本当は来たくなかったけど、罪悪感が勝ってしまった。
「おはよう、教室行こっか」
先生がついてくれる。でも教室に行きたくない。足が止まる。
「…、どうした?」
顔を覗いてくる、涙が頬を伝った。
「教室行きたくないの?」
声が出なかった、緊張と不安
逃げ出したかった。
「そうだ!学校探検先生としてみない?」
笑顔で先生は言う。こんな遊び心のある先生だったのか、
きっと先生なりの気遣いなんだろうな、
「学校探検…した、い、先生と、」
涙声で聞こえずらいと思う。でも先生はそれを聞いてパッと顔が明るくなった。
「じゃあ1回教室行って、荷物だけ置いていこうか、」
「分かった、ありがとう、ございます。」
手を掴んでくれた、暖かい。
安心する、
階段を上がる足が震えている。
大丈夫だよ。声をかけてくれた、

「~先生、~…さん~…」
先生が説明してくれてる、
みんなの視線が先生に集まる。

教室に1歩踏み出した、
先生から私へ視線が集まる
胸が痛い、逃げ出したい、泣きたい、
叫びたい

そんな姿を先生は前から見守ってくれてる。
荷物を自分の机に置いて小走りで先生の所へ向かう。
「よし、行こっか」
みんなが不思議そうに私たちを見る
授業は?どこへ行くんだ?
そんな、疑問の目


「どこ行こっか」
計画も何も無い、突然始まった学校探検
ちょっと距離を置いて廊下を歩く。

「理科室、確か今空いてる。2人でお話しよ?」
振り向いて彼は言う。
黙って頷く。
彼はニコッと笑う。
普段は敬語で真面目そうな先生
こんなに笑うのか、

黙って理科室まで歩く。
初々しいカップルみたい、
そんな距離感

「いじめ、あってるの?」
彼に聞かれた
「違う、仲間外れにもされてない、友達もいる」
嘘1つついていない、
真実そのもの。

「あーわかる、なんか分かんないけど泣けてくるの」
全く想像と違う返事だった。
きっと「なにそれ、」とか否定されると思ってた、
この人は違う。
「話すと楽になるよ、先生で良かったらなんでも話して」
泣いたばかりなのにまた涙が出てきた、
こんな事はともだちに何回も言われた
でもそれとは違う
きっと彼なら、
いや彼だから

「私ね、先生の事好きなの」

今までで見せたことないくらいの笑顔で彼に想いを伝えた。
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