2 / 12
卒業パーティまであと9日
しおりを挟む
ところがミシェル・ローレンの計画は、お茶の時間が始まる前にとん挫した。ミシェルが泣くよりもさきに、王妃の方が号泣していたからである。
「本当に本当に良いお芝居だったわねぇ、貴方もそう思うでしょうミシェルちゃん」
「え、ええ、そうでしたわね……」
「特に王子さまがあの意地悪な婚約者を捨てて、ヒロインの手を取るシーンと来たら、私もう涙がとまらなかったわ。あれこそが真実の愛というものよねぇミシェルちゃん」
「ええまあ、そういう見方もありますわね」
「ああ私も侯爵家なんかじゃなくて、ヒロインみたいに市井の娘に生まれたかったわ。そして偶然陛下と出会って、真実の愛に目覚めたかった。私ったら陛下とは幼馴染で子供のころからの許嫁でしょう? お互い気ごころが知れていて良いけれど、やっぱりつまらないわよねぇ」
王妃は芝居のすばらしさについてひとしきり熱弁をふるったあと、「そういえばミシェルちゃん、なにか私に相談があるって言ってなかったかしら」とつぶらな瞳で問いかけた。
ミシェルはただ曖昧な微笑を浮かべるより他になかった。
「本当に本当に良いお芝居だったわねぇ、貴方もそう思うでしょうミシェルちゃん」
「え、ええ、そうでしたわね……」
「特に王子さまがあの意地悪な婚約者を捨てて、ヒロインの手を取るシーンと来たら、私もう涙がとまらなかったわ。あれこそが真実の愛というものよねぇミシェルちゃん」
「ええまあ、そういう見方もありますわね」
「ああ私も侯爵家なんかじゃなくて、ヒロインみたいに市井の娘に生まれたかったわ。そして偶然陛下と出会って、真実の愛に目覚めたかった。私ったら陛下とは幼馴染で子供のころからの許嫁でしょう? お互い気ごころが知れていて良いけれど、やっぱりつまらないわよねぇ」
王妃は芝居のすばらしさについてひとしきり熱弁をふるったあと、「そういえばミシェルちゃん、なにか私に相談があるって言ってなかったかしら」とつぶらな瞳で問いかけた。
ミシェルはただ曖昧な微笑を浮かべるより他になかった。
262
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢の反撃の日々
ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
婚約破棄されたけど、どうして王子が泣きながら戻ってくるんですか?
ほーみ
恋愛
「――よって、リリアーヌ・アルフェン嬢との婚約は、ここに破棄とする!」
華やかな夜会の真っ最中。
王子の口から堂々と告げられたその言葉に、場は静まり返った。
「……あ、そうなんですね」
私はにこやかにワイングラスを口元に運ぶ。周囲の貴族たちがどよめく中、口をぽかんと開けたままの王子に、私は笑顔でさらに一言添えた。
「で? 次のご予定は?」
「……は?」
「平民なんて無理」と捨てたくせに、私が国の英雄になった途端、態度変わりすぎじゃない?
ほーみ
恋愛
「婚約は破棄させてもらうよ、アリア」
冷ややかな声が玉座の間に響く。
騎士として従軍していた私は、戦地から帰還してすぐにこの場に呼び出された。泥に汚れた鎧を着たまま、目の前には王族や貴族たちがずらりと並び、中央に立つのは私の婚約者だった第二王子・レオナルド。
彼の瞳には、かつての優しさのかけらもない。
「君のような平民出身者とは、これ以上関わるべきではないと判断した」
周囲の貴族たちがくすくすと笑い声を漏らす。
【完結】仕方がないので結婚しましょう
七瀬菜々
恋愛
『アメリア・サザーランド侯爵令嬢!今この瞬間を持って貴様との婚約は破棄させてもらう!』
アメリアは静かな部屋で、自分の名を呼び、そう高らかに宣言する。
そんな婚約者を怪訝な顔で見るのは、この国の王太子エドワード。
アメリアは過去、幾度のなくエドワードに、自身との婚約破棄の提案をしてきた。
そして、その度に正論で打ちのめされてきた。
本日は巷で話題の恋愛小説を参考に、新しい婚約破棄の案をプレゼンするらしい。
果たしてアメリアは、今日こそ無事に婚約を破棄できるのか!?
*高低差がかなりあるお話です
*小説家になろうでも掲載しています
「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです
ほーみ
恋愛
「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」
その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。
──王都の学園で、私は彼と出会った。
彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。
貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。
悪役令嬢ですが、今日も元婚約者とヒロインにざまぁされました(なお、全員私を溺愛しています)
ほーみ
恋愛
「レティシア・エルフォード! お前との婚約は破棄する!」
王太子アレクシス・ヴォルフェンがそう宣言した瞬間、広間はざわめいた。私は静かに紅茶を口にしながら、その言葉を聞き流す。どうやら、今日もまた「ざまぁ」される日らしい。
ここは王宮の舞踏会場。華やかな装飾と甘い香りが漂う中、私はまたしても断罪劇の主役に据えられていた。目の前では、王太子が優雅に微笑みながら、私に婚約破棄を突きつけている。その隣には、栗色の髪をふわりと揺らした少女――リリア・エヴァンスが涙ぐんでいた。
婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?
ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」
華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。
目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。
──あら、デジャヴ?
「……なるほど」
婚約破棄ありがとう!と笑ったら、元婚約者が泣きながら復縁を迫ってきました
ほーみ
恋愛
「――婚約を破棄する!」
大広間に響いたその宣告は、きっと誰もが予想していたことだったのだろう。
けれど、当事者である私――エリス・ローレンツの胸の内には、不思議なほどの安堵しかなかった。
王太子殿下であるレオンハルト様に、婚約を破棄される。
婚約者として彼に尽くした八年間の努力は、彼のたった一言で終わった。
だが、私の唇からこぼれたのは悲鳴でも涙でもなく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる