絶対に笑える作者の日常・爆笑した話集

湯川仁美

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⑮教育実習生と男性教諭

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保健室の先生は養護教諭と呼ばれ、教育実習がある。
誰とは言わないが、先の文部科学大臣が親の看護をしてから教師も看護をするべきだと謎に病院実習or福祉施設での実習を追加されたのが梨乃の時代。

「湯川先生!」
「はーい。いらっしゃいませ~」
梨乃は呑気に小学校保健室で、20代前半の低学年の担任をしている矢倉を出迎えたのは5時間目と6時間目の休み時間。
低学年児童が帰った後。

「暑いわ。涼ませて下さい」
「どうぞ。お好きなだけ~。アイスコーヒーでも飲みます?」
「最高じゃないですか!」
彼はフランクな性格で、わりと体育会系の梨乃とも相性がいい。
「ほな、真紀ちゃん。紙コップにお願い」
教育実習の現役ピチピチ女子大生である20歳の間口真紀は高身長の正統派美女。
冷蔵庫に作り置きアイスコーヒーがあり、彼女はコーヒーを入れると矢倉に差し出す。
おっさんに言われればパワハラだが、同世代の男の子なのできっとパワハラではないはず。

「え?俺、もう死ぬわ」

幸せすぎて死んだという事例は聞いたことない。
梨乃はくすくす笑いながら、若者の恋愛を垣間見る。
どこの学校でもっということはないが・・・。
この学校では保健室は子供も大人も気軽に立ち寄り、子供がいなければ私情もバンバン飛び交う。

「間口先生、ありがとうございます」
ピカピカの保健室で土下座の勢いで矢倉は土下座をすると真紀を見上げる。

「真紀ちゃんって、彼氏いなかったよね」
矢倉のお目当ては真紀ちゃんだ。
「いないです」
「まじっすか!俺も彼女いないです!」

真紀ちゃんがタイプと今朝、聞いており。
まるで、打ち合わせのように矢倉は食いついてくる。
「あらぁ。秘密の保健室になりますよ~。まぁ、正社員。公務員だし、顔も女癖も生徒指導力も悪くないから週末か実習”明け”にご飯でも行ったら?もちろん!先生の奢りで!」
まぁ、しかし、保健室の卵ちゃんはみんな可愛くて優しい子が9割。
争奪戦なのは間違いない。
矢倉は教員同士の結婚に興味がない梨乃にとっては・・・・。
優良物件だと思わないが、一般的には優良物件だろう。
(まぁ。人間を物件と言うなんて、なんという表現。

***
「あんなカッコいい担任さんといいんでしょうか?」

矢倉は175センチで今時の細めの男の子。
「あらぁ。かっこいいかぁ。彼も嬉しいでしょうね。真紀ちゃんの好きな食べ物は?焼き肉?海鮮?フレンチ?イタリアン?」
「・・・お肉です!」

っと言う会話をしつつ。
実習は8時半から17時まで。
彼女が帰ると、矢倉は職員室でコピーをしている梨乃の元にやって来る。
「真紀ちゃん。矢倉先生の事、カッコいいゆーてたよ?お肉好きやって。焼肉ええなぁ」
「最高すぎます!保健室の女神!」
「保健室の天使ちゃんに手篭めにしないでね?大学から、指導入るし。校長にも言いつけて後は放送禁止ね」
さすがに実習生とご飯は良いが・・・。
それ以上は困る。
実習中にご飯に行かれるのも・・・。
困る。

「叙々苑邸でいいでしょうか?」
「そこはお好きにどうぞ。私は叙々苑は量が少ないから、好きではないかな?」
「・・・どこがいいっすか?」
「北新地の内閣総理大臣賞をもらいつつ二人で飲み放題2時間”解散”できちゃうここはどう?1万5千円いかないくらい」
「ありっすね。2時間で解散ですか」
「解散してほしい。2回目以降はどうでもいいけど、1回目は解散して。何かあったら、私も指導教諭で巻き添え食らうし」
そうなのだ。
「楽しそうな会話。実習中は色々とやめてな」
梨乃は何かあった時の為に教頭の耳にいれており・・・。

「保護者監視の気分です」
「そりゃそうでしょう。私の実習生ちゃんなんだから」
矢倉はそういいつつ。
携帯でお店の予約を取り出した。
17時以降は残業で、教師は残業代が付かない。
公私混同ではないと梨乃は思っている。

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