うちの居候は最強戦艦!

morikawa

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第6章

6-7

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「このヘタレ最低ヤリチン男! 二人が好きだと言うのなら、この状況をなんとかしてみろ、です!」

 ラナが吠える。

「ああ、当然だ! 俺達はその為に来た!」

「好一君・・・」

「ぬぎゃー! お姉ちゃんうっとりしちゃだめだ、です! これ以上都合のいい女になるな、です!」

 くすくすとこころが笑うのが見える。やっぱりお前は笑ってるのが一番可愛いよ。だからお前を泣かそうとする奴らは、俺達がぶっ潰してやる!

「セラス! 全ミサイル発射準備! 後方の戦列の頭を潰せ!」

「あら~? 退路を確保するってこと? 後退する気~?」

「いや、全部ぶっ潰す! だけどわざわざ囲まれてやることはないだろ? 群れごとに叩く!」

 俺はカルティに答える。

「各個撃破か。いいだろう、私が前方を分断してやる。育子!」

「はい、敵艦隊の動きをシミュレートしますわ」

 サレナと育子さんは俺の意図を読み、行動を開始してくれる。

「こころとラナはサレナ達を手伝ってくれ!」

「うん!」

「ヘタレが仕切るな、です!」

 ラナは吠えながらもサレナの後ろに付き、前方の包囲網へと艦首を向ける。

「コーイチ! 準備完了!」

「行け、セラス!」

「はい!」

 セラスから数百のミサイルが射出される。連続してさらに三斉射!

 合わせて二千を超えるミサイルが、上下左右から俺達の背後に回り込もうとしていた艦隊の戦列前方に着弾。すさまじい威力の反物質弾頭は敵艦の防御を軽々と破り、無数の戦艦を爆沈させる!

 敵艦隊は前方からの爆発エネルギーに煽られ、隊列を乱してその動きを緩める。

「セラス!」

「はい! 主砲、いつでも打てます!」

 セラスは俺が言うまでもなく準備をしていてくれた。俺達は顔を合わせて、微笑む。そうだ、セラスが一緒なら、どんな奴にも負けない!

「くらえ!」

 俺はすばやく照準を合わせ、右往左往する敵艦へ時空振動砲を放つ! 白銀の破壊の波が敵艦を襲い、左側の艦隊数千を一撃で殲滅した!

「さあ、次だ!」

「エネルギー充填、完了! すごい、エネルギーが幾らでも湧いてくるようです!」

 これだけ威力のある主砲を連射できるなんて、貰ったデータの出力を遥かに超えている。これが本当のセラスの力か! 敵に同情しちまうよ。手は緩めないけどな!

 俺達は次元振動砲を三連射し、一気に後方のヴァルミン艦隊を粉砕した。そして艦首を前方へ向け、サレナ達の援護に向かう。

 前方のヴァルミン艦隊は無理に前進して来ようとはせず、少しずつ陣形を変えながら包囲するように蠢き、圧倒的な数の力でサレナ達を攻撃していた。後方の敵を殲滅してもまだ8万近く残っていやがるもんな。

 数え切れない程のミサイルや高速の砲弾、荷電粒子砲の閃光がサレナ達を襲っている。

ブラックサレナの前面に出たラナンキュラスの次元障壁で防いでいるが、こちらからは攻撃できない状況なのか?

「来たか。ではこちらも反撃に移るとしよう。十分引きつけたしな!」

 サレナが嬉しそうに叫ぶ。ブラックサレナは敵の攻撃の僅かな隙をついて、ラナンキュラスの次元障壁から出ると、主砲のブラックホール投射砲(ブラスト・キャノン)を連射した。

 ブラックホールの砲弾が、周囲の星々の輝きを飲み込みながらヴァルミン艦隊へと迫る。あれ、だけどこの前より速度が大分遅いぞ?

「さあ、次だ!」

 間髪入れず、ブラックサレナは数千のミサイルを斉射する。その時にはゆっくりとした速度で移動していた幾つものブラックホールがヴァルミン艦隊の包囲網前列に接触していた。

 巨大な重力が敵戦艦を飲み込み、ブラックホールはどんどん巨大化しながら包囲網を突き破って行く!

 隊形を乱した敵艦隊に今度は大量のミサイルが到達した。ブラックホールから逃げ出した戦列艦に激しい攻撃を加え、さらに敵艦隊を混乱させると共に、敵戦艦達を限られた空間へと追い込んで行く!

「計算通りですわ!」

 育子さんが歓声を上げる。なるほど、最初からブラックホールとミサイルで敵の包囲網を崩し、俺達が狙い易い様に敵艦を集結される作戦だったのか! サレナも育子さんも大したもんだ!

「さあ、やっちゃいなさ~い?」

 こんなときでもぽやんとした口調でカルティが催促する。せっかく皆でお膳立てしてくれたんだ、一気に決めてやる!

「セラス!」

「はい! 充填完了! いつでも打てます!」

 皆の協力に胸が熱くなった俺は、力いっぱいトリガーを引いた! 時空振動砲は今まで以上に激しい白銀の波を放出! 1か所にまとめられた敵艦隊を一気に破壊の波動が飲み込む!

 白銀の波が敵艦隊を通り抜けた、その一瞬後に数万の敵艦隊は激しい断末魔の光を放ちながら爆沈した!

「やった!」

 俺は思わず叫んだ。そして隣のセラスとハイタッチする。二人とも腹の底から笑った。それからこころを見る。こころはぽろぽろと涙を流していた。

「な、なんで泣くんだよ?!」

「私・・・私・・・これからもここに居ていいの? 好一君達と一緒に居て・・・いいの?」

「あたりまえだろ? 言ったぞ、俺とセラスでどんな奴が来たってお前を守ってやるって」

「好一君・・・」

 こころは涙を拭いて、本当に嬉しそうに微笑んだ。

「もぎょー! ちょ、調子に乗るな、です!」

 ラナが叫んだ時、がくんと船体が揺れた。いや、揺れたのは船じゃない。この感覚は、セラスの主砲を放った時と同じ感覚。次元が揺れているのか?

「注意しろ! 前方15万km先の空間に次元の振動を確認。何かが別の宇宙から来るぞ!」

 サレナが叫んだ。

「何かってなんだよ?!」

「分からないわ~。ただ、これだけの振動、今までのヴァルミンとは違うわ・・・次元を超えて何か来ようとしているのなら、よっぽど巨大で質量のあるものよ~!」

 ぽやんとした口調ながらカルティも少し慌てているようだ。立体映像の向こうでは育子さんが立体ディスプレイと格闘しながら、調査をしている。

「好一君・・・」

 こころが先程までの笑顔を曇らせ、俺を見る。

「心配すんな。何度でも言うぞ、俺とセラスが・・・」

 俺が言いかけた時、さらに激しく船体が揺れる。

「来ます!」

 セラスが叫んだ。その時、何もない宇宙空間を引き裂くように次元をこじ開け、巨大な、巨大な何かが姿を現した。その衝撃で宇宙空間に暴風が吹き荒れたように、船体が大きく揺らぎ、流される。

「ヴァルミンと確認。直径・・・およそ4000km?! ヴァルミンの超巨大戦艦です!」

 育子さんが驚愕して叫ぶ。4000kmって? 月よりでかいのかよ?

 敵の超巨大戦艦は円錐のような形をしている。だが、その表面は無数の宇宙船やもっと巨大な宇宙コロニーがまるで藻のように張り付き融合しているという、異様な姿だ。沢山の人々を飲み込んできたのだろう、まさに怪物だ!

「ど、どうするつもりだ、です・・・」

 ラナが茫然としながら俺に尋ねる。

「決まってる! 何が来ようとぶっ潰すまでだ! セラス!」

 俺は叫びながら船体を前進させる。

「はい!」

「くらえ!」

 俺は次元振動砲を放った。白銀の波が敵の巨体に命中し、激しい爆発と共にその一部を粉砕する。

「どうだ!」

 一発とは行かなかったが、これを何回も繰り返せば・・・そう俺が思った時、残った超巨大戦艦から茶色の粒子がもうもうと煙のように湧き上がる。

 あれはヴァルミンの本体、ナノマシン? 茶色の煙は粉砕されてバラバラに飛び散った船体にまとわりつき、それを引き寄せ、再生していく!

 アンチ・ヴァルミン・ナノマシンは散布してあるのに!

 敵の量が多すぎて効果が無くなってるのか?!

「こうなったら、です。私も戦闘に参加する、です!」

 ラナはそう言うと、俺達の前面に出て、時空障壁からナノ・ホイルを突き出す。

 するとそれは幾つもの正方形の板に分解して、10枚の金色の鏡のように変化すると、ラナンキュラスの船体周囲を回りながら、黄色い波を交互に連続して放つ。

 あれは時空振動砲? 威力はセラスのより低いが、機関銃のように連射できるのか。あれがカルティ達がやってた改造だな! これなら次元障壁にも悪影響を与えなそうだし、良い感じだ。

 ラナンキュラスから連続して放たれる破壊の波は次々と超巨大戦艦の表面を削って行く。だが先程と同じく茶色いナノマシンの煙によってそれも次々と修復されていく。

「私にまかせろ! ああいうデカブツはブラックホールの良い餌食だ!」

 ブラックサレナが今度は前に出る。そうか、何でも飲み込んじまうブラックホールなら、巨大で回復能力のある敵にも有効だ! ブラックサレナから連続して黒いブラックホールの砲弾が射出される。

 その時、超巨大戦艦がチカチカと光る。すると咆哮のような衝撃波をまといながら、十kmはあろうかという巨大な砲弾が射出された!

 ブラックホールと巨大砲弾は激しく激突。砲弾は大きくへしゃげ、ブラックホールにずるずると飲み込まれていくが、衝撃でブラックホールも弾道が逸れ、超巨大戦艦から大きく外れて彼方へと飛び去ってしまう。

「そんな・・・」

 こころが泣きそうな声で呟く。いや、まだだ! もう何があろうと諦めるもんか! 絶対にこころは守ってやる!

「セラス! 時空共振エンジンを動かせ!」

 俺は叫んだ。セラスの奥に眠る未稼働の機関。こないだカルティに説明してもらった超エンジン。理屈はまだ分らんが、とにかく凄いパワーを出すんだろ?! だったらこいつで一気にぶっつぶしてやる!

「ちょっとまって! 説明はしたけど、それは実験もまだなのよ~!?」

 カルティがさすがに焦ったように言う。口調はいつものままだけど。

「大丈夫だ。貰った知識によりゃあリミッター付きなんだろ? 俺はセラスを信じるよ。そしてセラスの母親のお前もな!」

「大丈夫です、お母様。私、コーイチとなら絶対にコントロールできます!」

 セラスもにっこりと笑う。

「どうなっても知らないわよ~?」

 カルティは苦笑いしてから、操縦席に深々と座り直した。俺とセラスは顔を見合わせて頷く。こうなったらとことんやってやるぜ!

「時空共振エンジン、起動開始します!」

 セラスが叫ぶ。それと同時に船体が小刻みに振動を始めた。セラスの一番奥に眠っていた最終機関が起動を始めたんだ。エネルギー出力のゲージがぐんぐんと上がって行く!

 その時だ。敵巨大戦艦の全面が光った。

「来るぞ! ミサイルだ!」

 サレナが叫んだ。超巨大戦艦の全面から噴射材をもうもうと吹き上げながら、恐ろしい数のミサイルが射出される。

ちょ? なんて数だよ! 数十万じゃきかない! 数百万のミサイルが全天から俺達に襲いかかってくる!

「ふんだ、です! 時間は稼いでやる、です! 早く準備しろ、です!」

 ラナはそう言うと、もう一枚のナノ・ホイルを出し、黄色い鏡へと変化させた。合わせて二十枚の鏡を二重の輪のように回転させ、三隻の姉妹艦を囲む。そして時空障壁をその輪に合わせて展開した。二重円の防御陣は、襲い来る無数のミサイルを逸らし、俺達を守る!

 逸れたミサイルがぶつかり激しい爆発を起こした。まるで太陽の中に突っ込んだような灼熱地獄からも必死にラナは俺達を守り続けてくれる。

 だが、ラナンキュラスの出力も無限ではないだろう。早く反撃しなくては・・・俺は焦りを打ち消すように、トリガーを強く握る。

「時空共振エンジン、起動!」

 セラスが叫んだ。船体の振動が収まり、エネルギーゲージがふっ切れる! その時、俺は脳がぐらりと揺れたように感じ、一瞬吐き気がした。

「大丈夫ですか? コーイチの精神にも今まで以上に負担がかかります」

「大丈夫だ! 続けてくれ!」

 そうだ、このくらいでびびってられるか! 俺はもう、あんな悔しくて悲しくて情けない気分にゃなりたくないんだ!

「さあ、いくぞ、セラス!」

「はい!」

 俺達は船体をラナンキュラスの前に出す。主砲のエネルギーが限界を超えてどんどん溜まる! 150,200、250・・・300%だ!

「くらえ! このデカブツ!」

 俺は激しい攻撃を続ける敵超巨大戦艦のど真ん中へ照準を付け、トリガーを引いた!

 船首から放たれる白銀の波。激しく船体が揺れる。波は渦を巻き、まるで銀色の槍のようにその姿を変え、流星のごとく輝く光の粒を撒き散らしながら超巨大戦艦へと向かう!
 
 敵艦の船首へと突き刺さった槍は、激しい衝撃を周囲にぶちまけ、俺達を狙っていた全てのミサイルを粉砕する。そしてそのまま敵艦を貫き、一気に船尾までぶち抜く。

 敵艦はその行動をぴたりと止めた。

 一瞬の静寂の後、内部からぼこぼこっと膨れ上がった敵艦はまるで超新星の爆発のように爆散し、激しい光を発しながら粒子にまで分解していった。

「どうだ!」

 思わす俺は叫んだ。だが、サレナが慌てた様子で叫ぶ。

「いや、待て! 異常な次元の揺らぎが無数に・・・?!」

 サレナは言葉を途中で切った。なんだ、まだ来るってのか?

 ディスプレイのサレナの顔を見ると、茫然とした様子で黙ってしまっている。その時、また船体がかくんと揺れた。さっきデカブツが現れた時と同じだ。

 まだ居るのか? 良いだろう、幾らでも来いよ、全部叩き潰してやる!

 そう俺が思った時、また別の場所からの揺れが船体を揺らす。そしてまた別の場所から。あちこちで生じ始めた無数の次元の揺らぎに三隻の姉妹艦は大波に揉まれる小舟のように激しく揺らされた。

 操縦席が浮いていなかったらとても耐えられないだろう、そんな激しい揺れだ。

「な、なんだ?」

 俺がセラスの方を向いて尋ねた時、こころの悲鳴が上がった。

「あ、あ、あ・・・!」
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