うちの居候は最強戦艦!

morikawa

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 宇宙船が大きく揺れた。今、世界の壁を越えたのだと思う。これで何度目だっけ、世界を渡るのは。

 数十人分の座席と計器があるだけの、灰色の広い船内に居るのはもう私だけ。お父さんもお母さんも、私達の宇宙から一緒に逃げて来た人達も、もう誰も居ない。残っていない。一人で僅かに揺れの残る座席に居ると、寂しくて悲しくて、頭がどうにかなってしまいそう。胸と胃が締め付けられるように苦しくなって、吐き気がしてきた。座っていられなくて、私はよろめくように立ち上がる。

 だけど立っても居られない。頭が揺れるように感じて、私は床に尻もちを付く。私はそのまま床に突っ伏して泣いた。私が生きているというだけであいつらは追って来る。どこまでもどこまでも。世界を超えても越えても、私には安心できる場所は無い。

 最後にお父さんは、いつかは絶対にあいつらに対抗できる科学力を持った世界に、お前を守ってくれる人が居る世界に行けると言った。だから絶対にあきらめるなと。でも、ごめんね、お父さん。今の私には信じられないよ。もう耐えられない。すぐにでも死んでしまいたい。

 振るえる右手が、ポケットに入っている小さな銃にゆっくりと手を伸ばす。だけど、両親の笑顔の記憶が私にストップをかけた。ここで死んでしまえば自分達を犠牲にして私を逃がしてくれた両親に申し訳ない。そう思って、左手でむりやり右手を押さえつける。

 私は床に額を付けたまま、しばらくそうしていた。涙が床にどんどん溜まっていく。進む先に希望なんか無くても、私は逃げ続けるしかない。でも、でも、もう耐えられないよ。涙が溢れて出して止まらない。もう何度目だろう、こんな目に会うのは。いつまで続くんだろう、こんなことが。もう嫌だよ。助けて、お願い、誰か助けてよ・・・

 どのくらいそうしていたのかは分からない。私はそのまま泣き続けていた。だけど宇宙船の小さな揺れと、大気圏突入を予告するアラート音が私を我に返す。どうやらこの世界の地球に到達したみたいだ。

 私は船の小さな窓から青い星を見下ろす。この地球にはどのくらい居られるのだろう。この地球の神様お願いです。ご迷惑はお掛けしません。だから、少しの間だけでも、私を普通に、普通に暮らさせて下さい・・・
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