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第1章
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黒い宇宙船が飛んでいた。
いや、彼女の認識からすると彷徨っていた。
無限に思える虚空の宇宙空間を彼女は当て所もなく飛び続ける。
目的はもちろんある。だが、それが果たせることだとは、彼女にはとても思えなかった。
父と別れてから、もうどのくらい経ったのだろうかと彼女は考える。
まだ機能している彼女のシステムはその答えを簡単に出すが、自立した思考のみでなく人と同じ感情をも持つ彼女はそれを確認することを拒んだ。余計に虚しくなるだけだから。
そのかわりに、真っ黒な彼女を白く清らかに照らす無数の恒星達をぼんやりと光学観測システムで眺めた。
そして思う。本当にこの星々の中に居るのだろうか、そして会えるのだろうか、私を乗りこなせる存在と。
この宇宙をうねる膨大な力、始まりにして全てを支配する波と、完全に同期できる生命体がと。そして懐かしい父のことを思い出す。
彼女は自分が、彼女を建造した父、銀河の約一割を支配するリノマ帝国子爵にして天才造船技師モルデウスの元から旅立つ運命だと知ったとき、訪ねた。
「どうして自分は宇宙のどこに居るかも分らないマスターを求めて行かねばならないのでしょうか。この帝国では私に乗れる人は現れないのですか?」
モルデウスは彼女を撫でながら言った。
「それなりに乗れる者は現れるだろうね。だが、お前を完全に乗りこなし、お前の全てを引き出すのは無理だろうな」
「何故ですか?」
「それはお前が『完全な』共振能力者(ウェーブチューナー)専用艦だからだよ。お前が朽ちるまで待っても帝国には現れない。いや、この銀河の歴史の中でもそう何人も出てこないだろう」
「そんな人が本当に見つかるのでしょうか?」
「見つかるさ」
『予知』の能力を持つモルデウスは確信に満ちた微笑みを浮かべた。
「お前のマスターとなる人は、共振能力(ウェーブチューン)だけでなく、この銀河の流れを変える力と定めを持っている。だが、その身に翼と剣が無ければ、その人が目指す《遙か彼方》へは到達することはできない。だから私はお前を造った。お前はその人の翼と剣になりなさい。それがお前にも無限の幸福を与えてくれる」
彼女は記憶の中の父の微笑みを力に再び加速を始めた。
そしてさらに年月は流れ。
彼女はついに共振制御機関に大きな反応を見つけた。今までに計測したことのない始原の波(オリジン・ウェーブ)の大きな揺らぎを。
これは自分のマスターとなるべき存在の誕生だ。間違いない! 彼女は狂喜して、船体をさらにさらに加速させる。その大きな揺らぎの源へ向けて。
いや、彼女の認識からすると彷徨っていた。
無限に思える虚空の宇宙空間を彼女は当て所もなく飛び続ける。
目的はもちろんある。だが、それが果たせることだとは、彼女にはとても思えなかった。
父と別れてから、もうどのくらい経ったのだろうかと彼女は考える。
まだ機能している彼女のシステムはその答えを簡単に出すが、自立した思考のみでなく人と同じ感情をも持つ彼女はそれを確認することを拒んだ。余計に虚しくなるだけだから。
そのかわりに、真っ黒な彼女を白く清らかに照らす無数の恒星達をぼんやりと光学観測システムで眺めた。
そして思う。本当にこの星々の中に居るのだろうか、そして会えるのだろうか、私を乗りこなせる存在と。
この宇宙をうねる膨大な力、始まりにして全てを支配する波と、完全に同期できる生命体がと。そして懐かしい父のことを思い出す。
彼女は自分が、彼女を建造した父、銀河の約一割を支配するリノマ帝国子爵にして天才造船技師モルデウスの元から旅立つ運命だと知ったとき、訪ねた。
「どうして自分は宇宙のどこに居るかも分らないマスターを求めて行かねばならないのでしょうか。この帝国では私に乗れる人は現れないのですか?」
モルデウスは彼女を撫でながら言った。
「それなりに乗れる者は現れるだろうね。だが、お前を完全に乗りこなし、お前の全てを引き出すのは無理だろうな」
「何故ですか?」
「それはお前が『完全な』共振能力者(ウェーブチューナー)専用艦だからだよ。お前が朽ちるまで待っても帝国には現れない。いや、この銀河の歴史の中でもそう何人も出てこないだろう」
「そんな人が本当に見つかるのでしょうか?」
「見つかるさ」
『予知』の能力を持つモルデウスは確信に満ちた微笑みを浮かべた。
「お前のマスターとなる人は、共振能力(ウェーブチューン)だけでなく、この銀河の流れを変える力と定めを持っている。だが、その身に翼と剣が無ければ、その人が目指す《遙か彼方》へは到達することはできない。だから私はお前を造った。お前はその人の翼と剣になりなさい。それがお前にも無限の幸福を与えてくれる」
彼女は記憶の中の父の微笑みを力に再び加速を始めた。
そしてさらに年月は流れ。
彼女はついに共振制御機関に大きな反応を見つけた。今までに計測したことのない始原の波(オリジン・ウェーブ)の大きな揺らぎを。
これは自分のマスターとなるべき存在の誕生だ。間違いない! 彼女は狂喜して、船体をさらにさらに加速させる。その大きな揺らぎの源へ向けて。
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