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第1章
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「な、何かな?」
なんだか分からなかったけど、私はとりあえずハルカに尋ねた。いや、見えても居ないものについて聞くのもなんだけど、ハルカは分かってそうだし。
するとハルカは無言で、握ったままだった望遠鏡のコントローラーにカタカタと直接座標を打ち込んだ。望遠鏡は先程と同じように駆動音を立てて、鏡筒を私達が見上げていた方角へと向ける。
ハルカが促すように私を見たので、私は接眼レンズを覗きこんだ。だけど、何も見えない。いや、何かあるのかもしれないけど、よく分からないよ。
と、その時、一瞬だけど小さく何かが光った。四角い形をしていたようにも見えたけど…ほんのちょっとの間だったので結局分からないね。
でも、この望遠鏡で見えるってことは、とても大きいものだよね。小惑星とかかな? それとも彗星?
「このまま何も起こらないのか。起こらないならそれでも良いのかもしれないと思っていましたが……やはりお父様の予知は確かだったようですね」
ハルカが呟くように言った。そして嬉しいような、寂しいような複雑な顔をする。
「え、な、何?」
私はその訳の分らない言葉と表情にどきんとして、慌てて吐き出すように言った。ハルカは少し迷うような表情をしてから、
「いいえ、別に」
と、それだけ答えた。
その後、望遠鏡を片付けて、家に帰ったら両親に叱られた。まあハルカの言い訳のおかげで軽くだけど。私はうわの空だったせいでどう叱られたのかも覚えていないし。
なんだかあっという間に時間が経ってしまったかんじ。なぜって、それはハルカの言ったことが気になったから。
何か私の人生というか運命を大きく変えてしまうような予感があったから、と言った方がいいのかもしれないね。
ハルカにどういうことかもっと聞けばよかったんだけど、あの後ハルカはいつも通りだったので、なんだか怖くて聞けなかった。聞けば最後の一歩を踏み出してしまうような気もしたし……
でもまあ、夕ご飯を食卓に並べるのを手伝い始めた時にはどうでも良くなっていたんだけどね!
今日は私の好きなハンバーグだったから! 子供っぽいと言われても好きな物は好きなんだよ! 家族でいろいろ話をしながら食べるご飯。私のとっても幸せな時間だ。
ハルカも今は普段と変わらないし、さっきのことは何でもなかったのかな、と改めて思った。なにせハルカは時々良く分からないこと言うし。
「はい、カナタ」
私がほとんど食べ終わっちゃう頃、まだ半分くらいしか食べていなかったハルカが、ナイフでハンバーグを大きく切り分けて、私にくれた。
「わーい!」
私はハルカのフォークにささったままのをパクリと頂く。ハルカは小食だ。私の体の維持には大してエネルギーを必要としませんので、とかよく分からないことを言って、いつも私にくれる。
「はい、まだありますよ?」
ハルカはそう言って、次のお肉を私の顔の前に、下に手を添えながらお上品に、甲斐甲斐しく出してくれた。私はそれもパクリと頂く。
「いつ見ても餌付けされる猛獣みたいね」
とお母さんが笑った。
「いいじゃないですか、成長期だし」
ハルカがお母さんの方を見て微笑む。って私達同じ年なんですが。
……ひょっとして、これのせいでハルカに行くはずの脂肪が、無駄に私に蓄積されているのではないかとふと思って、ついお腹とか二の腕のお肉をつまんでみる。
「さ、さては私を太らせて食べる気だね?!」
「そうですね、燃料替わりに使えるでしょうか? 良く燃えそうです」
「ひどっ!」
「大丈夫ですよ。カナタにはエンジンの中なんかじゃなく特等席に乗ってもらいますから」
またはハルカが良く分からないことを言った。だが、問題はそこじゃない!
「やっぱり太ってるかな……?」
「そこを気にするんですか? まあ、カナタらしいですが」
ハルカはくすりと笑った。
で、夕ご飯を終えて、私達はいつもと同じく二人でお風呂に入った。
なんだか分からなかったけど、私はとりあえずハルカに尋ねた。いや、見えても居ないものについて聞くのもなんだけど、ハルカは分かってそうだし。
するとハルカは無言で、握ったままだった望遠鏡のコントローラーにカタカタと直接座標を打ち込んだ。望遠鏡は先程と同じように駆動音を立てて、鏡筒を私達が見上げていた方角へと向ける。
ハルカが促すように私を見たので、私は接眼レンズを覗きこんだ。だけど、何も見えない。いや、何かあるのかもしれないけど、よく分からないよ。
と、その時、一瞬だけど小さく何かが光った。四角い形をしていたようにも見えたけど…ほんのちょっとの間だったので結局分からないね。
でも、この望遠鏡で見えるってことは、とても大きいものだよね。小惑星とかかな? それとも彗星?
「このまま何も起こらないのか。起こらないならそれでも良いのかもしれないと思っていましたが……やはりお父様の予知は確かだったようですね」
ハルカが呟くように言った。そして嬉しいような、寂しいような複雑な顔をする。
「え、な、何?」
私はその訳の分らない言葉と表情にどきんとして、慌てて吐き出すように言った。ハルカは少し迷うような表情をしてから、
「いいえ、別に」
と、それだけ答えた。
その後、望遠鏡を片付けて、家に帰ったら両親に叱られた。まあハルカの言い訳のおかげで軽くだけど。私はうわの空だったせいでどう叱られたのかも覚えていないし。
なんだかあっという間に時間が経ってしまったかんじ。なぜって、それはハルカの言ったことが気になったから。
何か私の人生というか運命を大きく変えてしまうような予感があったから、と言った方がいいのかもしれないね。
ハルカにどういうことかもっと聞けばよかったんだけど、あの後ハルカはいつも通りだったので、なんだか怖くて聞けなかった。聞けば最後の一歩を踏み出してしまうような気もしたし……
でもまあ、夕ご飯を食卓に並べるのを手伝い始めた時にはどうでも良くなっていたんだけどね!
今日は私の好きなハンバーグだったから! 子供っぽいと言われても好きな物は好きなんだよ! 家族でいろいろ話をしながら食べるご飯。私のとっても幸せな時間だ。
ハルカも今は普段と変わらないし、さっきのことは何でもなかったのかな、と改めて思った。なにせハルカは時々良く分からないこと言うし。
「はい、カナタ」
私がほとんど食べ終わっちゃう頃、まだ半分くらいしか食べていなかったハルカが、ナイフでハンバーグを大きく切り分けて、私にくれた。
「わーい!」
私はハルカのフォークにささったままのをパクリと頂く。ハルカは小食だ。私の体の維持には大してエネルギーを必要としませんので、とかよく分からないことを言って、いつも私にくれる。
「はい、まだありますよ?」
ハルカはそう言って、次のお肉を私の顔の前に、下に手を添えながらお上品に、甲斐甲斐しく出してくれた。私はそれもパクリと頂く。
「いつ見ても餌付けされる猛獣みたいね」
とお母さんが笑った。
「いいじゃないですか、成長期だし」
ハルカがお母さんの方を見て微笑む。って私達同じ年なんですが。
……ひょっとして、これのせいでハルカに行くはずの脂肪が、無駄に私に蓄積されているのではないかとふと思って、ついお腹とか二の腕のお肉をつまんでみる。
「さ、さては私を太らせて食べる気だね?!」
「そうですね、燃料替わりに使えるでしょうか? 良く燃えそうです」
「ひどっ!」
「大丈夫ですよ。カナタにはエンジンの中なんかじゃなく特等席に乗ってもらいますから」
またはハルカが良く分からないことを言った。だが、問題はそこじゃない!
「やっぱり太ってるかな……?」
「そこを気にするんですか? まあ、カナタらしいですが」
ハルカはくすりと笑った。
で、夕ご飯を終えて、私達はいつもと同じく二人でお風呂に入った。
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