29 / 41
第1章
1-28
しおりを挟む
結構疲れちゃってたのか緊張が解けたせいなのか分らないけど、その後私はシャワーも浴びずにリビングのソファーで寝てしまった。
夕方、お母さんがパートから帰ってくるまで何時間も寝ちゃったみたい。起きたらすぐ傍にハルカが居てくれた。
「おひゃよう…」
寝ぼけた私の挨拶に、ハルカはくすりと笑いながら、
「もう夕方ですけどね。おはようございます、カナタ」
と返事をくれた。私は小さくあくびをしながら体を起こして、
「なんだか全部夢みたいだね」
と呟いた。
「そうですね、全部夢のようです。遥か彼方から、ここに、カナタの元へ来られて良かったと思います」
ハルカもそう呟くように言う。
「まあ、私達の名前だしね」
「そう言えば、そうですね」
私達はくすくすと笑った。お買い物してきた食材を冷蔵庫に入れていたお母さんが怪訝な顔で私達を見る。
それが可笑しくて、私達はもっと大きな声で笑ってしまった。ごめんね、お母さん。
お父さんも帰ってきて、皆で夕ご飯を食べて、いつものように二人でお風呂に入って。それから私達はベランダで缶ジュースを片手に夜空を見上げた。
金星は西の山の向こうへ消えてしまったけど、替わりに土星が東の空から上ってきている。
「あんな所へ本当に行ってきたんだね~」
私はぼんやりと夜空を見上げたまま、ハルカへ呟くように言う。
「そうですね。でも、カナタはもっともっと遠くへ、本当に遥か彼方へ行くことになるかもしれません」
「え、何で?」
「父が、私を造ってくれた人がそう言ったのです」
「ふ~ん?」
私は同じように遠くの夜空を見ながらそう答えたハルカをちょっと見てから、良く分かんなくて、とりあえずそう返事をする。それからまたハルカの見上げる方を向きながら訪ねた。
「私が望めば、ハルカが連れてってくれるの?」
「ええ、もちろん。私はずっとカナタと一緒に居ますから」
ハルカは私の方を向いて微笑みながら、そう言ってくれた。
「ありがと。じゃ約束」
「はい、約束です」
私達は小指を絡めた。
爽やかな風が静かに吹く。そしてどこからから虫の鳴く声が聞こえてきた。昼間のドタバタからは想像も付かない、静かな静かな夜だった。
夕方、お母さんがパートから帰ってくるまで何時間も寝ちゃったみたい。起きたらすぐ傍にハルカが居てくれた。
「おひゃよう…」
寝ぼけた私の挨拶に、ハルカはくすりと笑いながら、
「もう夕方ですけどね。おはようございます、カナタ」
と返事をくれた。私は小さくあくびをしながら体を起こして、
「なんだか全部夢みたいだね」
と呟いた。
「そうですね、全部夢のようです。遥か彼方から、ここに、カナタの元へ来られて良かったと思います」
ハルカもそう呟くように言う。
「まあ、私達の名前だしね」
「そう言えば、そうですね」
私達はくすくすと笑った。お買い物してきた食材を冷蔵庫に入れていたお母さんが怪訝な顔で私達を見る。
それが可笑しくて、私達はもっと大きな声で笑ってしまった。ごめんね、お母さん。
お父さんも帰ってきて、皆で夕ご飯を食べて、いつものように二人でお風呂に入って。それから私達はベランダで缶ジュースを片手に夜空を見上げた。
金星は西の山の向こうへ消えてしまったけど、替わりに土星が東の空から上ってきている。
「あんな所へ本当に行ってきたんだね~」
私はぼんやりと夜空を見上げたまま、ハルカへ呟くように言う。
「そうですね。でも、カナタはもっともっと遠くへ、本当に遥か彼方へ行くことになるかもしれません」
「え、何で?」
「父が、私を造ってくれた人がそう言ったのです」
「ふ~ん?」
私は同じように遠くの夜空を見ながらそう答えたハルカをちょっと見てから、良く分かんなくて、とりあえずそう返事をする。それからまたハルカの見上げる方を向きながら訪ねた。
「私が望めば、ハルカが連れてってくれるの?」
「ええ、もちろん。私はずっとカナタと一緒に居ますから」
ハルカは私の方を向いて微笑みながら、そう言ってくれた。
「ありがと。じゃ約束」
「はい、約束です」
私達は小指を絡めた。
爽やかな風が静かに吹く。そしてどこからから虫の鳴く声が聞こえてきた。昼間のドタバタからは想像も付かない、静かな静かな夜だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
勘当された少年と不思議な少女
レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。
理由は外れスキルを持ってるから…
眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。
そんな2人が出会って…
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる