放課後の図書室

くねひと

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#2 マコトの挑発

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 エンジのカラーに同色のリボンがある半袖のセーラー服………。
 紺地のプリーツスカートにホワイトソックス……、そして黒のフォーマルシューズ………。

 男の子としては少し伸ばした髪は、女の子として見れば、ショートヘアになる。
 少し小柄なマコトは女生徒として全く違和感がなかった。

 それにしても………。
 胸にキリキリと喰いこむ縄目が僕の目をきつけた。
 これって一体?
 僕はもの問いたげにマコトを見る。
 そこで僕はまた少し驚いた。

 マコトは……、
 少しはにかんだ笑顔を浮かべているではないか。

<至急! 図書館に来て!>
と僕にLINEしてきたのはマコトだ。

 普通なら、縄を解いてとか、言うだろう。
 それなのに、ただ黙って僕に笑顔を向けているのだ。
 そして……。

 マコトは数歩進み出ると、僕の前で体をクルリと一回転させた。
 プリーツスカートが風をはらみ浮き上がる。
 一瞬ではあるが、後ろ手に厳しく縄が掛かっているのも見えた。
 それからマコトはまた壁際に下がっていった。
 まるでバレリーナかファッションショーのモデルのようだ。

 マコト……。
 その上で、僕をからかっているの?

 僕はマコトにそう問いただしたかったが、反面その答えを聞くのが怖くもあった。脇の下に冷や汗を感じる。
 結局僕の口をついて出た言葉は思いの外、下卑げびたものとなった。
「女生徒のふりなんかしちゃって。それならパンツも当然女モノを穿いているのかな?」

 すると今ままで黙り込んでいたマコトが口を開いたのだ。
「調べてみたら?」
 そして挑発するかのような笑みを浮かべた。
 その笑みは「調べてみる勇気なんてないでしょう」と言外に語っていた。

 調べてみたら?………。
 そうマコトに言われてみると、僕は引っ込みがつかなくなってしまった。

 女生徒姿で緊縛されているマコト………。
 それに対して自由な身の僕………。

 立場的には断然優位なはずの僕なのに、なぜか僕は追い詰められたような気持ちに襲われていた。
 マコトから受ける何とも形容し難い圧力のようなものに僕は気圧けおされていたのだ……。
 ここでひるんではいけない。

 僕は一歩マコトに近づいた。
 そのとき、………。
 が頭の中に引っ掛かったのだ。
 でもその何かは判然としない。

 家に帰る途中、帰ったらあれをしなくちゃ…。
 その時はそう思っても、いざ家に着いたとき、あれ、何をしなきゃいけないんだったっけ?と度忘れしてしまうことがある。ただ何かしておかなくてはということだけは覚えている…。

 例えればそんなだった。
 今にして思えば、僕はこのときもう少し注意深くなるべきだったのだ。
 しかし、女装姿で緊縛されたマコトを目の前にして、多少心が浮つくのも致し方ないことだったとも思う。
 僕は両手でマコトのスカートの裾を掴むと、勢いよくめくり上げた。
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