土曜日の部室

くねひと

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#9 部室の外へ…

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 部室のドアが開けられた。
 ……素っ裸、後ろ手縛りのまま、校庭に引きずり出されるのだ。そう思った途端、北山の頭にはカッと血がのぼり、極度の緊張感の為か体が小刻みに震え出すのであった。亨がドアから顔を出して辺りの様子をうかがう。

「大丈夫。誰もいません」
 夕暮れ時であった。本校舎は丘の上にあり、部室とグラウンドはその下に位置している。部室のドア側には植え込みがあるだけですぐにスロープとなっていた。
 だから丘の上でも余程グラウンドに近づかない限りは、下に誰かいても死角になっていて姿を見ることはできない。そうは思っても万一、誰かがグラウンドに降りて来たら……。

「さあ、先輩。あの水飲み場の前の植え込みまで行きましょう」
 亨はぴしゃりと北山のお尻を叩いた。観念して、北山は部室の外に出る。素足に感じる土の感触。内腿を撫で上げていく風……。嫌でも北山に裸で屋外にいることを知覚させた。

 ………亨が示した所まで、距離にして10mもないが、北山にとってはとてつもなく遠く感じられた。それでも生理的苦痛を逃れる為には、北山は歩いていかざるを得ない。
 つい3時間程前は各運動部の面々が騒ぎ合っていた場所………ともすると亨に引き立てられていく内に北山は皆の前を晒されて行くような妄想さえ浮かんでくるのであった。

(おい、見ろよ。あそこ、素っ裸で来るのはサッカー部の北山じゃないか?)
(おお、本当だ。どうしたんだ、あいつ、縛られているぜ)
(縄尻を取っているのは後輩だろう)
(情けねえ奴だな)
(それよりも見ろよ。北山のアソコを。ギンギンにおってているぜ)
(変態だな)
(おい、北山、こっち来て俺のアソコをめてみろよ)
 
 ……どっと起こる笑い声……。
 高まる被虐の情感に北山の顔はうつむく。そして込み上げる便意を堪える為に段々とへっぴり腰になっていった。
「ほら、もっと胸張って下さいよ」
「あうっ!」
 言葉遣いは丁寧だったが、亨が北山のお尻を蹴り上げたのだ。後少し衝撃が強ければ北山は漏らしてしまうところであった。思わず恨みがましい視線を亨に振り向けたが、それが今の北山にできる精一杯の抵抗だった。

「ほら、こんな所で立ち止まっていてもいいんですか?」
 素っ裸、後ろ手縛りの上、浣腸までほどこされ、生理的にも責めたてられている北山にとっては、いくら反発を感じようと亨に絶対服従するしかないのだ。
 亨の嘲るような問いかけに、北山は観念して、再び歩き始める……。
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