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王子?グラス・ペルマネンテ??【2】

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「んふふ、いつの間に精神系魔法を覚えたのかしら、なんてね。何が聞きたいのかしら?といってもステータスみれば何が起こったか多少はグラスちゃんなら把握してるわね」

「はい」

 精神系魔法スリープで、すやすやと眠りに落ちる彼女の頭を腕で支えゆっくりと身体を寝かせて一息をつく、この先の話は歳不相応の聡明さを持つ彼女にはあまり耳に入れたくない話だ。私の汚らしい故郷の貴族や父の話なんて彼女が知る必要はない。環境のせいで煤けた顔、それでいても美しいく凛とした顔立ちの彼女に魔法を使ったことの謝罪を心の中で済まし、何度確かめても変わらぬ現実を見せてくる自分のステータスと向き合った。


ーステータスー

名前 グラス

性別 男

年齢 12

LV 17

HP 102/102

MP 280/300

体力 89

精神 86

筋力 42

防御 43

速度 42

魔力 136

素質 22

スキル 

固有スキル 氷雪適応体質Lv4 

戦闘スキル 長剣Lv2 杖Lv9

補助スキル 観察Lv3 

非戦闘スキル 家事Lv3 交渉Lv8 

魔法 氷魔法Lv30 炎魔法Lv2 水魔法Lv8 闇魔法Lv10 精神系魔法Lv3 魔術抵抗Lv23

経験値 6/1700


「ペルマネンテの名が消えていました……。護衛が少数かつ普段なら王子護衛とはいえ普段は簡単に動ける立場ではないラブマルージュ様がいらっしゃる次点で、ある程度は察しがついていました。戦争までとは行かなくとも、この国の交友を完全に拒否したんですね。私を死んだものとしてペルマネンテの名と継承権を剥奪して」

「ええ、予想通りよ。いきなり喧嘩になっちゃたから、あっちもこっちもてんわやんわよ。けれどあちらさんからすると貴方の存在は露見すれば今すぐにでも殺したいところ、余計な被害がないようにアタシと馬車を動かす兵士の少数できたわ。けれど安心してちょうだい。グラスちゃんを歓迎しない民はいないわ、んふ」

 相変わらずのラブマルージュ様だ。流石に何百年も生きていらっしゃることもあり、この問題も一つの人間の下したことと言わんばかりに、自身の見目を整える化粧道具をとりだし自身に施してゆく、それでも心優しいリチェルリット国民だ。やっかいごとの鉄砲玉にされた元王子を気遣うのもこの優しい国民性が成せる技だろう。だからこそ聞いておかなねばならぬことがある。

「彼女は、どうされるおつもりかわかる範囲で訪ねてもよろしいでしょうか?」

「そうね、最初ディザちゃんが遠視映像魔術でグラスちゃんと彼女の行動を見ていたんだけどね。彼が彼女に興味がでちゃったらしいのよ。勿論、王もね。だから、貴方のお付きとか少なくとも城で管理できる範囲で彼女の好きにさせるつもりよ。グラスちゃんの大事な腕輪もどうやって作り出したのかも知りたいところね……流石に個人に合せてクリエイトされた国宝級武器なんて、変な国、すくなくともグラスちゃんのお父さんにでも捕まったら彼女は何に利用されるかわかったものじゃないわ」

「彼女を城に閉じ込めるということですか?」

「それは彼女の努力しだいよ。別に彼女が国内であればダンジョンを冒険したいと言えば止めないし、そこら辺の道具屋で働きたいといったらお好きにどうぞ、ただ城で管理できない国外や、管理しないことで成り立つあの町へは行かせられないわ。今のままじゃ、大方見た目見るに4歳か6歳くらいでしょ、そもそも危ないわ……最低でも15歳以上でB級冒険者くらいの腕じゃなきゃ本当に飼い殺しになるわね。恨まれようと泣かれようとそれが王とアタシ達幹部の総意よ……いまのとこはね」

 やはり優しい眼で、しかし口調は敬意を払いふざけも茶化しもない言葉。無意識に掴んでいた彼女の腕輪にさらに力が籠もる。わかってはいた、知ってはいた。彼女が普通ではないことを。けれども剣の腕や知性のあるだけでは彼女はちゃんとあの町に居ることが出来て、彼女の足であの町を脱することができるはずだった。最後の最後で、彼女の異質を目の当たりにしてしまった。わかってはいたんだ、この腕輪は……何気なく作ったと言ったこ腕輪は、そんなことでは済ましてはならない品物であることも、頭の隅では助け出されるまで、何かが起こったときに犯人と死因を明確にするために監視されているであろうことも……そのために魔法水晶を使用したのだが……。自身の人生で片手で数えるほどしかない【嬉しい】その感情と引き換えに彼女を巻き込むことも決定してしまった。嬉しい反面、後悔が押し寄せた。

 初めての自分を王子とわかって、敬語も策略もなく付き合ってくれる人間。最初は敬語という概念を知らないだけかと、失礼ながらそう思って居たが、彼女がふざけるときに形式正しい敬語が使われていることがあり、初めてそれを知ったとき。王子ということを重々受け止めて対等に接してくれているのだと、気づいた。そこから、産まれたときから才能に凍らされたと言われた自身の感情が氷解していったんだ。少しずつだけれども……もし、彼女がいなかったら……。


「わかりました。でしたら、私と彼女の今後の役職の話でも致しましょうか」

「あら、アタシに言っても判断するのはアタシじゃないわよ」

「それは理解しています、どうせ見ているのでしょう?でしたら話していることも筒抜けでしょうし、その方が手間が少ないではありませんかラブマルージュ様は大好きなお話がすることが出来て、王や幹部の方々は話がまとまる分に仕事量が減りますからね」

「んふー。見ているし最初から聞いちゃってるわねー。最近の子は頭が良くて助かるわ! じゃあ、お話しましょうか、彼女が起きるまで」


 
















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