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裏方国王【2】

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 急ごしらえで、開催した決闘及び闘技の大会は本来の目的を狂いもなく達成して進んでゆく。世界情勢の劣悪さから、祭り事に植えている各国の英雄、冒険家から貴族など各国の者が華やかを求め我が国へと足を運んでくる。勿論だが、市民が見れない事の無いように一部を除いた席は一日交替制かつ、国の大広場で大規模映像を映し出す水晶で試合の状況を映し出す。何かこの国のために祭り事をどうにかしないといけないときに転がってきた。【グラスとカリスティア】の決闘話、現在の情勢ではこれを利用しない手はなかったのだ。

「ディザよ。ワシの周辺に音遮断結界と盗聴遮断結界を頼む」

「もう張ってあるよー。さてさて、どっかの変態をひねり潰した。ラブマルージュ様が来たようだしお話しましょーかねー」

「あらぁ、一応気配消して来たのに、バレちゃった。うふん」

 国王の特等席故に、周りに近寄る者は幹部か自身の執事やメイドしかおらぬ。その執事とメイドを下がらせディザに頼み結界を張って貰う、今回の急な祭り事をしたことによって、あちらの……ペルマネンテのまつりごとがどうなったを聞くために。こうして、ディザとラブマルージュを個々に呼んだのだ。上手くあちらの戦争の腰を折れたかどうか、楽しみじゃな。

「して、エピクの通信は来たかの」

 今回エピクには、ペルマネンテ情勢の情報収集をして貰っている。こんな華やかな祭り事の中で働かせてしまって申し訳ないが、今回は国に戦火が巻かれるか巻かれないかの瀬戸際じゃから、許して欲しいところだ。国王アルハイルは、そう思いながらも通信用水晶を持つディザを見た。水晶にうつる自分はなんと悪人面で笑っている事よ!っと吹き出しそうになるのを堪えながら。

「きてるねー。案の定攻め込みたくても攻め込めなくて、地団駄踏んでるそーうだ」

 エピクの水晶の映像では、ペルマネンテの重役とあちらの騎士団団長と言い合いをしているところがうつる。やけに踏み込んで、相手の城の中に居るみたいだ。助かるのだが、アルハイルは、時折自身の国の幹部が底知れず優秀過ぎて寒気がして背中に力が入る。

「そりゃ、そうよねぇ~ん♪ こんなに強豪や重役の貴族が集まってるときに攻め込んじゃ……他のお国から宣戦布告だって、逆に攻め込まれちゃうものねぇー」

 ラブマルージュ様が、キャ!っと言いながらガタイの良い体でクネクネとする者だから、ラブマルージュの反対側へと身を傾けるが、本人は気にしてないようでそのまま謎のクネクネのまま、話を進めるようだ。

「それで、ちょっと、ワシの組み分け失敗で盛大にカリスティアがの、悲しんでおr「悲しむ以前に怒ってるけど?私」ははは、スマンのー。ワシも二ヶ月の突貫でこの祭りを設備して忙しくてのぉー……。その、申し訳ない」

 確か、この祭りが始まるまで、次の体験場所は医師団……そしてその次は祭り事で城全体がゴタゴタなもので自由期間を設けていたが、幹部の結界をなんとなしにすり抜けられるほどに強くなっているのは予想外で、ラブマルージュやディザに緊張感が走る中に挟まれるアルハイルは、どうしようか?っとへらりと笑って首の後ろを掻く。

「いいけどさー、ラブちゃんがちゃんとコテンパンにしてくれたって、聞いたからさ。にしても、自国の人間を守るために、他国の人間を盾にする……狡いなぁ。怒ってること今回伝えただけだから、じゃーねー王様」

 4歳とは思えぬ鋭い言葉の一付きと、会話の内容からそこそこ前には結界を潜り抜けて潜んでいたことが窺える。会ったときから一つも代わらぬ、何かに諦めたような光のないアメジストの瞳と永遠とも思える無表情の顔。何もかもが謎の多い彼女が、くるりと軽い口調の言葉を残して去って行く。見た目すら4歳というのも怪しい……最初であった時に比べると、背丈的に6歳くらいにまで成長したような気もする。未だに出生すら謎の子供。

「おー! すまんかったのー。また遊びにくるといいー」

 底知れぬ彼女を、笑顔で送り出すも自身の顔が引きつってないだろうか、自分と似た境遇だからか、カリスティアとグラスを気に入って積極的に世話を焼いているラブマルージュ様にそれとなく彼女の事を聞いてみたのだが、この二ヶ月は死にそうな大怪我も病気もしていないそうで、詳細はわからなかった。

「5000金貨の優勝賞品が、カリスティアの物になる可能性も考えなければのぅ……」

「たまげたなー。って、最初から潜んでたみたいよ彼女、やーれやれ怖い怖い」

「んふ、私のきゃわいいーカリスティアちゃん凄いでしょ」

「オカマだから、子供うめな……ごめんなさい殴らないで」

「失礼しちゃうわ!もぉーこんな健康体のレディーに向かって!」

「いいから、主らはわしと今後のことを話しあわんかい! 」

 国の一大事だというのに、我ながら幹部達は緊張感がないことよ……っとアルハイルは笑ってため息をつく。【狡い】カリスティアなりに表現を和らげた故の言葉が胸に刺さる。自分は全てを受け入れる慈悲の王でもない、ただの、ただの人間の王だからこそ、結局、ペルマネンテが極秘に奇襲戦争を目論むのを利用して自国民以外の人間を盾にしたのだ。子供同士の決闘を大事にしてまで、そしてその子供を利用してまで、自国民を守ることを選んだのだ、と強く空を睨む、その姿をみた二人の幹部は言い合いを辞め王に向き直る。

「改めて話をしようじゃないか、この国の喝采の裏を」

 










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