転生幼女具現化スキルでハードな異世界生活

高梨

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束の間の食事

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 国からの迎えが来る二日前にに、人格はともかく一応だけどスライムを素手で粉砕できるくらいには国王を使えるようにできた。けれど……元国王がスライムマスターなんて称号獲得するなんて誰が予想しただろうか?私は予想できませんでした……だって……。

「可愛いな……。こいつら人間に比べたらお前はなんとかわゆいことか……こらこら、装備を溶かすな」

「これはどういうことで?」

「えーっと。ちょっと荒療治で剣で殺し合ったり、屈強な冒険者の中に放りこんだりしたら、差別意識が一周回っちゃったと言いますか……あはは……」

 荒療治の結果がモンスター好き&知的生命体不信に突き抜けるとは誰が思うでしょうか?この髭と持っている装備をとかされながら3人の借りてる部屋の中でスライムに頬ずりしてキスをするこのだらしない顔と溺愛っぷり。前日くらいはゆっくりとのことで、早めにそれぞれの修行やらなんやらを切り上げて、入ってきたウィーンとグラスは、どこか遠い目で色々出来上がった元国王を生暖かい目でみている。それぞれ国王を避けて三人椅子に座る。

「そ、そっとして起きましょう。じゃあ、二人ともどこ行きたい? ママが合間に色々換金してきたから二人の欲しい物買っちゃうぞー!!!」

「そんな、ウィーン様には日頃お世話になっていますので、どうかお礼をさせてください。私共が一番欲しいのはウィーン様が元気で私達と交友を結んでくださることですから」

 グラスの言葉に目を潤ませながらジーンとしたっと感動しているが、グラスに簡単にあしらわれてるだけですよウィーンさん……私も物よりもこれから仲良くしてくれたほうが嬉しいから、グラスに同意だけど、ジーンと感動に身を浸しているのを見てたら、計画が進まないので、大人二人ほっておいて子供だけで計画を進めます。

「国境町の見所は料理ですね。魔術を投与して作り込まれた料理は美味しく一時的ですがステータスをあげるとができます。それに、この周辺の魔物はリチェルリットではお目にかかれない魔物も多いので、カリスティアのストックの肉を料理人に頼んで料理して貰うのも良いと思います」

「あっ! なら調理場借りて私が皆に料理を振る舞うよ」

「ちんちくりんの料理なんぞ食ったら7日間のたうち回るわ! やめとけ小娘が!」

「こういうときにだけ話しに割り込んでくるなデブ王!!!」

 こっちとら、転職回数六回かつ、そのうち4件が飲食店正社員だぞ!!! 焼き鳥もさせるし、フランス料理もイタリア料理も日本食お惣菜屋も務めてたから惣菜もお手の物なんだから、見てろよ……心配そうに見つめる悪魔とカリスティアの料理ならなんでも食べると腹をくくるグラスとそもそもできないと高をくくってるデブデブのデブ王めが!!!

 そりゃ、三人のち2人は王族だからそれ相応の物食べてるからそれより美味いか?っと言われれば自信はない。けれど、それなりに美味しいと豪語して無理矢理に予定を「私の料理を食べられないの?」と脅して皆にご賞味いただくこととなりました。

ーーーー
 計画が決まってから早速宿屋の人に頼み込んで借りた台所で、真夜中から料理を始める。おはようからおやすみまで料理を堪能して貰えるように。あと、ここの従業員や宿屋オーナーさんにも短い間にお世話になってるから、食べて貰いたくて、具現化した、前の世界の香辛料と100均レベルの踏み台や料理用包丁とそれぞれ必要なものと、衛生は大事だと、給食のおばちゃんの全身真っ白な割烹着と髪の毛をしまえる白い帽子にマスクを装着。

(あー、給食のおばちゃんも短期だけどやったことあるから、なんか懐かしい……足の引っ張り合いが激しくて接客が少ない分に性格的に問題のある底意地悪い婆さんしかいなかったから、あんまり良い職場ではなかったけど)

・とろとろに火を通したフッコー鳥とリザル牛のロース肉巻きのカロリー飯、
フッコー鳥の卵を極限までとろとろにして、別で焼いていたリザル牛のロース肉で丁寧に巻き上げた一品。
一口で食べないと、肉汁が混じった熱々とろとろの卵が吹き出して火傷する。凄い高カロリー。

・他の料理と平行しながら、とろとろになるまで煮て灰汁を抜いた牛すじ煮込み
お酒のつまみ抜群なのだけど、私自身は昔からお酒嫌いなので飲みません。この辺で取れる甘露の薬草を細かく刻んでいれたので、元の世界よりも軟らかく甘い仕上がりに。

・この辺の川で取れる瑠璃色のチョウの跳ねのヒレを持つ魚の唐揚げと瑠璃色のヒレの塩と具現化醤油のさっぱり煎餅
唐揚げの衣はさっくりと薄目に、川魚特有の淡泊さがあったので少し醤油で味付けとお好みで、スッキリレモンの香りの食用岩を細かく砕いて掛けられるようにしてあります。

ヒレのほうは綺麗で見た目もいいから、おせんべいみたいにしたら美味しくて見た目も楽しめていいかな?なんて思って揚げたら、普通の茶色になりました残念……でも美味しいです。

・山賊おにぎりビックバージョン

殆どウィーンが狩ったA級モンスターの肉をふんだんに埋め込んだ特大おにぎり。米は具現化でなんとか手に入れてツヤツヤの白米を出したけど、炊けないことに気がついて慌てて、すでに炊けてホカホカの状態に具現化し直すポカをやらかした料理。

中身は
・ワイバーンの翼の付いている希少な部位を焼いたもの、ニンニクが合いそうなのでニンニク醤油で味付けました
・さっぱりとした中にかみ応えのあるコカドリーユというトカゲの頭の鳥の肉を具現化した梅で味付けしたもの
・舌触りが水のようなシリコンのような魚肉で、焼くまで内臓以外透明な魚で、手間がかかるから普通は内臓まるごと焼くか煮るのだけど、維持で透明なまま内臓処理して焼いたら、シリコンのような舌触りの中にふっと魚肉とは思えない肉汁が舌に溢れます。これはそのままが一番いいので味付けなし。

これら以外にも色々、飲食業と惣菜屋の知識と手際を駆使して皆が起きる前に作り上げたのだ。量が量なだけに宿泊部屋に運ぶのが大変(MPが空っぽ)なので、宿の共同食堂で食べさせていただくことにした。

ーーーーー

「カリスティアちゃん!!! この山賊おにぎり?っていう周りの白いつぶつぶとお肉凄いおいしい……あっここの下の部分って齧ると辛いのがある……美味しい!!!」

「カロリー飯というのをもっと作れ、俺はコレが気に入った……あースライムとブルスオークも気に入ったかーよちよちー」

 大人二人はご満悦で周りの羨ましそうな目にも気づかずにバグバグと食べ続ける。これならば4歳(身体は8歳)にして徹夜労働で働き続けたかいがあります。隈が多少出てるけどまぁいいだろうということで、大人しく食べてるグラスとはしゃぐ大人二人を置いて、私は従業員さんやオーナーさんにもお礼を兼ねてお裾分けしたら、もの凄く感動されて、永久優先宿泊券5回分を貰いました。前日に駆け込みで訪れても券専用の部屋で泊まれるらしい次に旅行に来た時には使ってみよう。

 そうしてお裾分けし終わって、朝っぱらから羨ましいと熱い目線を送ってくる周りに心の中で苦笑い。そんな目線を潜り抜けて、皆が食べている食卓へ腰を下ろす。昨日の夜ぶりに腰を下ろしたので、反射的に背伸びをする。若いからか背骨がボキボキとは鳴らなくて少し若さに感動した。

「カリスティア」

「ん?」

 隣のグラスに肩をちょんちょんとされて、振り向くと自分の作った牛すじ煮込みをスプーンで掬ったのを口元に押しつけられた。何事かとボーッとしていると「口をあけてください」っと言われて固まる私にしびれを切らしたのか、私の唇からスプーンを話して、自分で牛すじを食べてから、私の作った料理を物色し始める……あのー……もしかしてこれってあーん?されろってこと?

「グラス……自分で食べられるから」

「知っています」

 グラスは頑固な時は偉く頑固で、知っていますとだけ伝えて別の料理を乗せたスプーンを口に運んでくる。食べるまでこれが続くと察知した私は、しぶしぶ口をあーんと開けて食べる。我ながら美味しい。満足したように無表情だけど目を優しく細めたグラスが、あーんしたスプーンで料理を一口食べて頷くと、その頷いた料理をまたスプーンですくい上げ、こちらの口で運んでくる。いつの間にか周りの羨ましいという目がカップルを見る下世話な視線と微笑ましいという視線に変わっているのに気がついて焦る。

「な、な、な」

「何で、ですか? それは私はこれとあとこれが食べてて好きなので、カリスティアに私の好きな味を覚えて貰おうと思いまして……これからも作って欲しいですから」

 顔が熱い、調理場に籠もってる時よりも顔が熱い、恥ずかしいのにご丁寧に私の口はグラスの運ぶ自作料理をパクりと食べてしまう。間接キスに、周りの目に、グラスの直球な好意に頭がショートして、熱い顔を下向かせて唸る。少し顔を上げて、グラスを見ると自分とは違い涼しい顔で薄く微笑んで愛しそうにこちらを見ている物だから、また俯くハメに、俯いた頭をさらにグラスの手で撫でられて、追い打ちのさらに追い打ち。

(た、助けて……心臓が突き抜けて顔から火を吹き出して……死ぬ)

 なんて、いつのまにかされるがままにされていたら、一人の男が宿の従業員の静止を振り切って共同食堂へと息を切らしながら入ってきた。俯いた顔を上げて、食堂の入り口を見ると……忘れもしない……この、髪色と息を切らしながらも漏れ出る声の質……忘れられない。

 男がカッ!とカリスティアの居る方向に向けて向き直る。カリスティアは反射的にグラスの後ろに隠れて必死に抱きつく。男はぱぁぁぁぁっと笑みを……息を切らしながらもカリスティアを見て笑みを浮かべて叫んだ。

「マイエンジェルー天使様!!! カロフィー……じゃなかった。カロネ様から伝言を持って参りました!!!  ムッハー!!! いつのまにかこんなに尊くご成長なされて、感動で身体が天使様を求めて……勝手に、ダイブ!!!」

「ぎいいやあああああああああああああああああああ!!!! だずげて、グラス!!! ママー!!! ぴぃやあああああああああああああああ!!!!」





 

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