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エルフ!!!
しおりを挟む空間と時の魔術を使役するエピク様が、我々三人程度であそこまで戦える強さではないからもしやと思っていたら……アタリです。
さて、どうしましょうか?
現在、空間が破られて放り出された遙か彼方の上空と見上げると、カリスティアの一閃でヒビだらけのキューブ上の空間結界。その亀裂の暗闇の中から、顔を歪ませるように、笑ってこちらをみるエピク。予想するにエピクは空間を作り移動させてたのだろう……三人を相手に戦いながら。国王からは生きて国に運ぶように言われたからの回りくどく面倒なやり方だ、今回はそれに救われた。それが無ければ、手も足も出なかった。もう一度エピクの顔を見ると仕事をやり終えたといいたげに、両腕をあげて笑い亀裂と共に去って行く……どいうことだ? なんてグラスは思ったが、今は考える暇はあれど、深々と思考するには時間が足りない状況だ。
「はぁ……、すこしでも、考える暇があるほどの上空に放り出されるとは……」
魔力防壁を張ってはいるが、背中には血だらけのウィーンと左手にはあり得ない方向に腕が折れたのにもかかわらずに、折れた水明の剣を握るカリスティア、どちらも意識は無く魔力も呼吸もかき消えそうなほど弱い。比較的後衛に徹していたグラス自身は軽症とは言い難いが、二人よりは傷も消費も軽い。
「魔力障壁、魔力防壁、アイスウォール、魔力障壁、魔力防壁、アイスウォール」
落ちるまでの時間で、緻密に魔力の壁を作り衝撃に備える。全ての魔力を使えば簡単に衝撃を殺せるでしょうが、それではこの先が危ない。下を見れば鬱蒼とした森で落ちる際にあたりを見渡しても人工の建物一つもない所なのだある程度は魔力を残しつつ、死にかけの二人に衝撃がいかないようにしなければならない。
少しでも消費魔力を少なくするために、適切な大きさと適切な厚さで重ね合わせて止めないといけない。
手が震える。大事な……自分なんかと関係を持ってくれる大事な命が二つ自分次第で永遠に失うかもしれないというプレッシャー。自分のかいた汗さえも凍り付かせてしまうほどに、魔力はわかりやすく狼狽える。けれど、やるしかない。
木々の緑が迫る。
地上まで
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・
・
・
「信じて託してくれた……私は、貴女の、カリスティアの信用に応えてみせる!!!」
ーーーーー
前も後ろも下も右も斜めも何もわからない。前に見た悪夢とそっくりだけど一つ違うことがある、それは真っ黒な暗闇の水の中にいるような感覚なのだ。目覚めろ、なんて強く願っても覚めてくれはしない。本当にやり直しもなく死んでしまった? そんな考えをうち消したいが為に暗闇の中で纏わり付く闇をかき分けて泳ぐ、いや、がむしゃらに暴れる。
上も下もなにもわからないままに、もがき続けると急激に何かに引っ張られるようにどこかに落ちる感覚がする。もはや自分の声さえも出せない闇の水の中で、恐怖に身を固めてどこに落ちるのかと恐怖で身を固めると……瞼の裏から明かりが入ってくるのが見える。明かりが、光が見えて初めて自分が瞼を閉じていた事に気づく。
ゆっくりと目を開けると、大地色の目と特徴的な空色の髪の……女の人がのぞき込むようにこちらを見ていた。
「……カひゅッ……かろ、ねちゃ?」
喉が乾ききって張り付いているのか、声がだしずらい。カロネちゃんと言ったものの相手は大人で……どこかカロネちゃんに似ているから、血縁者の誰か? お母さんは死んでいるから此処は死後の世界と痛みのせいでヤケにクリアな思考で考える。
至近距離にいたカロネちゃんに似た女の人は、少し目を潤ませると左右に首を振ったので、違うらしい。すこし顔を離したと思ったら私の髪の額にかかった前髪を軽くかき分けたと思ったら、額に軽くキスを落とす女の人、額からは涙のような熱い滴が落ちるのを感じる。
急に眠くなってあらがえない瞼の重みに屈すると、優しく頭を撫でられる。うとうと微睡んでいると、いつか来る日を待ち望み、焦がれているような踊るような声で瞼の向こうにいるはずの彼女はこう言った。
「◯◯◯ける歯車……。◯がここ◯◯り着✕ることを&1◯◯;ります」
瞼の向こうの女性の最初の言葉はノイズまみれで、断片的に聞こえたのはここだけで後は聞き取れる部分さえも無いほどのアナログテレビの砂嵐にかき消されてしまった。
目を開けると、藁作りの天井が現れた。無事に逃げられたのか否か目を覚ました瞬間に聞きたいこと、知りたいことが頭からあふれ出る。慌てて起き上がって状況を確認しようとしても身体がビクともしない。もしかして、空間を破壊することが出来ずに捕まってしまったから拘束されているのか? だから首すらも何かに固定されて動かせないのか?
べろん、べろん。
最悪の事態が頭に思い浮かび、背筋ゾクゾク冷や汗だらだらと流した私の手を何者かが追い打ちをかけるように舐めてくる。こうなれば無理矢理にでもこの舐めてくる物体を拝んでやろう、そう思って力一杯に首を起き上がらせると……ハエトリのような食虫植物が3匹私の手足に噛みついてペロペロと舐めていたのだ。
「…………」
「…………ギュウルル?」
起き上がったのに気がついたハエトリの腕に噛みついていたやつが、口を離して、キョトンと首をかしげるような素振りで、顔……というか口を傾けてくる。暫く見つめあうとキョトンとしたハエトリが甘えるように私のほっぺに頬ずりというか口ずり?をして再度パクリと、私の腕に噛みつく。
「…………い」
「カプカプ」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
盛大に叫んだから勿論誰か来るのは当たり前で、右側から扉が開く音がする。構わずギャースカピーと叫んでいると指を鳴らした音が聞こえると、私に噛みついていた食虫植物が一瞬で消える。消えたのをチャンス!!!と言わんばかりに起き上がって、入ってきた人を見ると……。
「エルフ!!!」
「我々の種族を知っているのはいいが、騒ぐな。次に叫んだら怪我人だろうが女だろうが、外に追い出す」
「……すいません。助けて頂いたのにお礼が遅れました。ありがとうございます。そして騒がしくして申し訳ないです……深く謝罪いたします」
「いや、そこまで、では……。つ、次は騒がず大人しく治療を受けろ間違ってもライフプラントに攻撃するな。いいな!」
「はい! ってグラスとか聞きたいことあったけど行っちゃった」
謝罪と態度の切り替えは長年の接客業でお手の物、土下座も昔クレーマーに強要されてたからお手の物……なんだけどやはり子供がやると不自然すぎるのか、エルフの中でもつり目の長い尖ったみみの緑髪の男は、言うだけ言って部屋から出てしまった。甘えたような声を出して「はやくべっとにねてよー」と言いたげに三匹から頬ずり?されて寝転がると、最初の頃のように手足をパクリと噛んだあとにガブガブ噛んだりしてくるけど痛くは無い。
家主の言うことは聞くかと、寝転がって治療?を受け続けてる中で遠くから足跡が聞こえる。ウィーンが誰かと喋っている声が聞こえる。はやくもウィーンの安否が分かってカリスティアはテンションが上がる。ワクワクとこちらにくる足音が部屋の前に止まったところだ。
ノックの音と共に開かれる音が聞こえる……。そこに居たのは……
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