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ろくねんご???
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そこに現れたのは……服を大量に持ったウィーンだった。服の山の後ろから見えるキラキラとした目が……まるで獲物を見つけたように飢えている。治療中を理由に始まるだろう着せ替えを断ろうとするも、いつの間にかあのハエトリのような植物が噛みつくのを止めていて、その理由もタイミングよく使えなくなる。カリスティアはベットの傍の壁に寄りかかり、逃げるように壁に張り張り付く、そんなカリスティアを見ても、ニコニコとしたウィーンは床に服の山を置いて、そこから一枚とりだして、逃げるカリスティアににじり寄る。
「カリスティアちゃん!!! おはよう……お母さんねカリスティアちゃんが目覚め、よがっだ……治療用の服じゃなくて、この服着て」
目覚めを泣いて喜んでくれるのはとても嬉しい、嬉しいけれども服は着せたいのね。着せたいんだね。頬を濡らして笑いながらにじり寄って来るのは少し恐怖を覚えるから止めて頂きたいかな!!!と思って居たら……一つおかしな所に気づく、ウィーンが持っている服は大人物で……あの無造作な色彩と形の服の塊のも大人の服……まさか……とカリスティアは思って、にじり寄って来るウィーンの肩を見て……止めると、自分の手が見慣れた小さな手ではなかった。
「ウィーンさん……えーっと、あのエピクから逃げて私はいつまで寝てたの?」
「あ……。ろ、六年……くらいかな。あ! でも大丈夫大丈夫、説明するからとりあえず。これを着ましょうね」
「ろ、ろくねん!?」
「大丈夫!!! 空間切るなんて無茶したら普通はそのまま死ぬから、カリスティアちゃんすごいのよ!!!」
何が大丈夫で、何が凄いのかはこの際は置いておいて、服を着て、ある程度のことを教えて貰った。あの後に空間を切り裂くことに成功した私たちは、遥か上空に放り出されてしまい、死ぬ寸前の所をグラスが命からがら気絶した二人を庇って地上に着地することに成功したけど、鬱蒼とした森の中かつ、縄張り意識が高く、多種族を警戒する民族のエルフの近くだった。
「縄張りを踏み荒らしてしまい申し訳ありません! 罰は、私が、受けま、すからこの二人だけはどうか」
グラスは警戒と侵入者撃破の為に武装したエルフの中で懇願した。けれど、懇願むなしくリーダーが全員に弓を引くように指示をしたのだ。敵意を示さない為には魔力は使えない。ならば身体で弓を受けて懇願をしようとグラスは傷だらけの二人を庇うように抱きしめる。12歳の身体は小さくて二人を庇うには足りなさすぎたが。
「構えー……う……ちょっとまて精霊様が現れたぞ!!! 全体武装解除!!!」
撃たれる寸前で、庇うような小さい竜巻が起こり小さな光の球が、グラスとカリスティアとウィーンの周りをグルグルと踊るように回っている。精霊は人間には普通に見ることが叶わない自然に近い存在だ。一部精霊を見られることができるのは、相当魔術に長けた人間か、精霊に気に入られて見る事をよしとされた人のみだ。
「うっちゃだめ、うっちゃだめ」
「彼女は大地の啓示中」
という、精霊達の三人のうち誰かが啓示中ということで精霊と共存して住んでいるエルフは精霊の命令を聞いて私たちを攻撃するのを止めて助けてくれたそうだ。精霊やあらゆる薬草の治療を受けて……私はやっと六年の月日を得て目覚めたらしい……最悪の世界情勢で。
魔物があふれ出る仮初めの終焉を、魔族の国と戦争をしかけたドワーフ国はまともに打撃をくらい国力は低下して……強化剤という薬が横行した。強化剤の副作用は指定した記憶の消失で、ドワーフ国や魔族の国だけでなく、人々の記憶に支えられて存在している、天使族と悪魔族も大打撃を受けて、天使族は共存していた宗教国家ヘレ・ケッテ・カルゲンに手のひら返しされて、天使を……魔物として捉える動きは始まった。
悪魔族は、人々に存在の等価交換をすることでなんとか食いつないでいるらしいが、段々と貪欲なものに押されて押しつぶされているらしい。ただでさえ、全体的な魔力や資源や自然が力を失い枯渇しているのも原因らしい。
そうして……我らが古巣ことリチェルリットは、この世界の一番の国力を持つ国となった。リチェルリットは……大地と自然の恵みを中核に拠点を構える国家だ。とある魔術師が「他国にかまけて自国民を危険にさらしてはなりません、どっち付かずが一番の大敵ですご決断を……」と国王に吹き込み……姫の必死の叫びも届かずその恵みを国に使う暴挙にでた結果が……これだ。
「グラス君から聞いてるけど……お友達を助けたいならとても覚悟が居ることになる。あの幹部さんのように、お世話になった人に牙を剥かなければならないかもしれない。決断をするならば覚悟をしてほしいの……ママはカリスティアちゃんに後悔して欲しくないから……。あと、急だけどカリスティアちゃんは……この先どうしても戦いに巻き込まれるわ」
「うん……私は助けることにするよ。悪いけど覚悟とかはわからないけどさ……私は、この世界でも……守れる友達を守りたい。重いとかよく言われるけど、それだけ、私を友達にしたいって人居ないからさ……大切なんだよ。元から不運なり受難の民なり散々言われてたから、巻き込まれるのもいまさら……いいのいいの!!」
友達がダメなことしているならダメ、過ちを正そうと奔走するあまり疎まれて友達ではなくなる……みんな、借金やら不倫やら大変なことになってから、なんでもっと強く止めなかったといって絶交を言い渡される。そんなことを経験しているからこそ、大事であり……前の世界で死ぬときは、大切な友を守って死んだのだ。今回も、自分が望む通りに足掻いてやろう。まず最初に六年も寝てたのだったら、身体が相当なまってるから先が長いけどね。
「そう、ならグラス君にも話さないとねー♪ カリスティアちゃんが目覚めたって情報が行かないように皆に口止めしてあるから、サプライズでおめかしして彼をくらリっとさせないと……この先の保証がないならせめて楽しまないと!」
「えっあの、あのとき恋人になったのはグラスの若気の至りといいますか、いやグラスのこと好きだし愛しているかって言われたら、愛だとおも……」
「じっれったい!!! 子供の頃の約束だからって立ち止まるの、恋愛ものの童話のベタ過ぎて、ママ面白くないと思います!! 」
「いや、でも、グラスは優秀で、私は……あの……この先危険……」
いいから、ちゃっちゃとおめかしして身体拭いて香水付けてグラス君のところにいってきなさい!!!
「……はい」
「カリスティアちゃん!!! おはよう……お母さんねカリスティアちゃんが目覚め、よがっだ……治療用の服じゃなくて、この服着て」
目覚めを泣いて喜んでくれるのはとても嬉しい、嬉しいけれども服は着せたいのね。着せたいんだね。頬を濡らして笑いながらにじり寄って来るのは少し恐怖を覚えるから止めて頂きたいかな!!!と思って居たら……一つおかしな所に気づく、ウィーンが持っている服は大人物で……あの無造作な色彩と形の服の塊のも大人の服……まさか……とカリスティアは思って、にじり寄って来るウィーンの肩を見て……止めると、自分の手が見慣れた小さな手ではなかった。
「ウィーンさん……えーっと、あのエピクから逃げて私はいつまで寝てたの?」
「あ……。ろ、六年……くらいかな。あ! でも大丈夫大丈夫、説明するからとりあえず。これを着ましょうね」
「ろ、ろくねん!?」
「大丈夫!!! 空間切るなんて無茶したら普通はそのまま死ぬから、カリスティアちゃんすごいのよ!!!」
何が大丈夫で、何が凄いのかはこの際は置いておいて、服を着て、ある程度のことを教えて貰った。あの後に空間を切り裂くことに成功した私たちは、遥か上空に放り出されてしまい、死ぬ寸前の所をグラスが命からがら気絶した二人を庇って地上に着地することに成功したけど、鬱蒼とした森の中かつ、縄張り意識が高く、多種族を警戒する民族のエルフの近くだった。
「縄張りを踏み荒らしてしまい申し訳ありません! 罰は、私が、受けま、すからこの二人だけはどうか」
グラスは警戒と侵入者撃破の為に武装したエルフの中で懇願した。けれど、懇願むなしくリーダーが全員に弓を引くように指示をしたのだ。敵意を示さない為には魔力は使えない。ならば身体で弓を受けて懇願をしようとグラスは傷だらけの二人を庇うように抱きしめる。12歳の身体は小さくて二人を庇うには足りなさすぎたが。
「構えー……う……ちょっとまて精霊様が現れたぞ!!! 全体武装解除!!!」
撃たれる寸前で、庇うような小さい竜巻が起こり小さな光の球が、グラスとカリスティアとウィーンの周りをグルグルと踊るように回っている。精霊は人間には普通に見ることが叶わない自然に近い存在だ。一部精霊を見られることができるのは、相当魔術に長けた人間か、精霊に気に入られて見る事をよしとされた人のみだ。
「うっちゃだめ、うっちゃだめ」
「彼女は大地の啓示中」
という、精霊達の三人のうち誰かが啓示中ということで精霊と共存して住んでいるエルフは精霊の命令を聞いて私たちを攻撃するのを止めて助けてくれたそうだ。精霊やあらゆる薬草の治療を受けて……私はやっと六年の月日を得て目覚めたらしい……最悪の世界情勢で。
魔物があふれ出る仮初めの終焉を、魔族の国と戦争をしかけたドワーフ国はまともに打撃をくらい国力は低下して……強化剤という薬が横行した。強化剤の副作用は指定した記憶の消失で、ドワーフ国や魔族の国だけでなく、人々の記憶に支えられて存在している、天使族と悪魔族も大打撃を受けて、天使族は共存していた宗教国家ヘレ・ケッテ・カルゲンに手のひら返しされて、天使を……魔物として捉える動きは始まった。
悪魔族は、人々に存在の等価交換をすることでなんとか食いつないでいるらしいが、段々と貪欲なものに押されて押しつぶされているらしい。ただでさえ、全体的な魔力や資源や自然が力を失い枯渇しているのも原因らしい。
そうして……我らが古巣ことリチェルリットは、この世界の一番の国力を持つ国となった。リチェルリットは……大地と自然の恵みを中核に拠点を構える国家だ。とある魔術師が「他国にかまけて自国民を危険にさらしてはなりません、どっち付かずが一番の大敵ですご決断を……」と国王に吹き込み……姫の必死の叫びも届かずその恵みを国に使う暴挙にでた結果が……これだ。
「グラス君から聞いてるけど……お友達を助けたいならとても覚悟が居ることになる。あの幹部さんのように、お世話になった人に牙を剥かなければならないかもしれない。決断をするならば覚悟をしてほしいの……ママはカリスティアちゃんに後悔して欲しくないから……。あと、急だけどカリスティアちゃんは……この先どうしても戦いに巻き込まれるわ」
「うん……私は助けることにするよ。悪いけど覚悟とかはわからないけどさ……私は、この世界でも……守れる友達を守りたい。重いとかよく言われるけど、それだけ、私を友達にしたいって人居ないからさ……大切なんだよ。元から不運なり受難の民なり散々言われてたから、巻き込まれるのもいまさら……いいのいいの!!」
友達がダメなことしているならダメ、過ちを正そうと奔走するあまり疎まれて友達ではなくなる……みんな、借金やら不倫やら大変なことになってから、なんでもっと強く止めなかったといって絶交を言い渡される。そんなことを経験しているからこそ、大事であり……前の世界で死ぬときは、大切な友を守って死んだのだ。今回も、自分が望む通りに足掻いてやろう。まず最初に六年も寝てたのだったら、身体が相当なまってるから先が長いけどね。
「そう、ならグラス君にも話さないとねー♪ カリスティアちゃんが目覚めたって情報が行かないように皆に口止めしてあるから、サプライズでおめかしして彼をくらリっとさせないと……この先の保証がないならせめて楽しまないと!」
「えっあの、あのとき恋人になったのはグラスの若気の至りといいますか、いやグラスのこと好きだし愛しているかって言われたら、愛だとおも……」
「じっれったい!!! 子供の頃の約束だからって立ち止まるの、恋愛ものの童話のベタ過ぎて、ママ面白くないと思います!! 」
「いや、でも、グラスは優秀で、私は……あの……この先危険……」
いいから、ちゃっちゃとおめかしして身体拭いて香水付けてグラス君のところにいってきなさい!!!
「……はい」
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