転生幼女具現化スキルでハードな異世界生活

高梨

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予知

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 私が寝ていた空白の六年も、こんな風に美しい満点の星空だったのだろうか? わかりきっては居るが、ツンと鼻に来る寒さと月明かりが照るこのなにもない草原で、数回深呼吸をして水明の剣を構える。

 周りには、様々な魔物が今にも私の身体を切り裂こうと、爪を牙を剥いて威嚇してくる。周りには味方の3人は居ない。彼らは具現化したテントや寝袋で寝て貰っているし、ウィーンママには修行してくると正直に言って許可は貰っている。だから、邪魔する人も、巻き込む人は居ない。

「ぶもっぉぉぉおぉぉぉ」

 精霊国のあふれ出す魔力を存分に吸い上げた。コボルトとオークをミックスしたような魔物が豚のように吠えるのを皮切りに囲う魔物が一斉にこちらを襲ってくる。

【傷心魔術・斬】

 空間切りを水明の剣に具現化できるのだから、どうにか禁術の傷心魔術の【拒絶】を乗せてどうにか攻撃できないかと思ったのだけれど、斬ででたのはタダの水の刃……魔物は真っ二つにできたのだからいいのだけれど。ある程度やって具現化でのごり押しで出来るようにはなったものの……。

(いちいち具現化スキル使ってたら、魔力の融通効くようになったけど枯渇しちゃう)

 魔力さえ在ればなんでもできるけど、自分の魔力量ではどうしても燃費が悪すぎる。傷心魔術は元が発動し続けなければいけない魔術だから、個別でやるとなるとそもそもの魔術の仕組みから組み替えないといけないから、スキルに頼らずに自分の力だけでやるのは不可能。

(燃費が悪いから、使えて不意打ち……。個別に【傷心魔術・斬】って技があるって具現化するのはできるけど、ステータスが使えなくなってるから、本当に習得できてるかの確認も感覚になるし……)

 どうしようかと、剣に付いた魔物の血を振り落として構え直すも、いつの間にか生きている魔物が一匹もいなかった。しまった……、まだ実験したいこととか一杯あったのに……。そんなことを言っても全部やってしまったのはやってしまったし、泣く泣く素材を取って具現化ストックへ……ぽいぽいと投げていくうちに、面倒くさいからまるごとストックに入れてしまおうかと思って魔力を込めたところに、一匹息があったようで急に起き上がりその立派に輝く牙で噛みつかんとこちらに、四つん這いで向かってきた。

(あわわわ……。ってあれ? 生きてても仕舞えるの?)

 動揺して、ストックにしまう要領で生きていた魔物をストックにしまうことができた。出来た瞬間にある悪魔の考えが頭によぎる。魔物自体は、自然の魔力で出来た膿である……いわば肉の器を持った魔力の塊。生きたままそれを使用すれば、無機物や普通の魔力を込めた物質にたよるよりも効率的に……。そこまで考えたがすぐに頭を振って考えを捨てた。

 今まで自分の為と殺しておいて、今更可哀想だの言うつもりはない。ただ、これが可能だと分かったときの自分の身の危うさがさらに高まる。だから、試さずに魔物をストックからだして、自らの手でその首を跳ねる。隠しておけばいいのだけど、誤魔化すのは得意でも隠し通すのは苦手だから、知らぬままにした。知らないなら、分からないなら答えようがない。

「せいがでますな~主はん」

「スケイス……?」

 やっと最後の解体が終わった頃に、気配無く彼が現れる。夜中のガイコツは正直ホラーだからできれば気配だしながら出てきて欲しいな。なんて考えながらどうしてこんなところに?っと彼に聞いてみたところ。ウィーンママは寝ている(悪魔流睡眠)けど、魔物や襲撃があったらすぐに反応できるから、主である私の魔力を追って様子を見に来たらしい。

 簡易とはいえ転移してきたのによく分かったな、なんて関心するけれど、まぁ、このガイコツは元法王というのだから出来るか。丁度解体も終わったし魔力にも余裕があるからと、二人用ベンチをちょっと血があたりに飛び散ってるどまんなかでだして、座る。唖然としているスケイスに向けて、スケイスも座れと、なんどもペチペチと隣を叩くと座ってくれた。座る姿がなんとも型にはまったように綺麗で、相応の身分の人だったんだなぁ……なんて思い知らされる。

「強くなりたいんか主はん」

「そりゃ当たり前。身体だけでも14歳だからね。自分でできることはやらないと強くて自分で自分の身を守れるようにならないと」

 実は精神は三十路+4歳なのだけれども、そこは信用されないし本当に人間であるか疑われそうなので言わないでおく。我ながら生意気かつ普通の人間らしい答えに幻滅したのか、重苦しくため息をこぼすスケイス。ガシガシと骨の頭を掻いてから、反対の手で私の頭をわしゃわしゃと撫でてくる。骨がちょっと痛い。

「何だかんだ主はん四歳なんやろ? んな気張らんでもええやん。確かに主はんは身体は14歳や。あのグラスはんもそうやけど、年齢の割に先に行きすぎや、そんなんじゃ、わし見たいに、肉ごと頭はげるで?」

「わかっているよ。歳取るのは座ってりゃ勝手になってくことも、私が泣いて駄々をこねてもいい立場なのも」

 ただそれで、駄々こねてちゃ私の望む未来が遠のくだけ。焦りはするし不安ではあるし、多少参っているのも認める。だけどそれだけ、座ってても勝手に時は進むのだから私も進まないと。無理はしないから、多めに見てよっといってスケイスに笑うと。「少しでも幸せな今があったら、ちゃんと……甘えるんやで」っと顔を伏せがちにそういった。

 お礼をいって、笑いながらベンチの具現化を解くと、「あべぇぇぇぇ!なにすんねん!」未だ感傷に浸るように座って居たスケイスが、魔物で血塗れになった草原に後ろ向きに倒れる。魔物血がついて余計にホラー感がましたことを腹を抱えて笑うと「悪ガキはお仕置きやー」っといいながら追いかけっこが始まった。

 これは私なりの優しい仕返し……。あんな、あんな言い方されたら。

(私の未来、幸せじゃないって言われてるようなもんじゃん)

 そのことに泣きそうになるも、スケイスの一言で泣きそうな気持ちは怒りに早変わり。

「悪ガキには、ウィーンちゃんが忘れてる悪魔契約をいったろー」

 学校の告げ口魔のように悪意のまま放たれた言葉で、一気に形成は逆転した。驚きで足は止まり腕をつかまれ骨なのにニッコリと笑ったように、クックックと悪役さながらに喉?をならしていた。

「はぁ!? やめてよ俗物ガイコツ」

「なんやと、受難の民」

「その称号だれから……グラス!!!」


ーーーー

「右左両方下段の振り上げが遅いってなんべん言わせんねや」

「うわーん! グラスと同じこと言う」

「在ったり前や、自己流でここまでできるのは花丸あっぱれじゃけんど、基礎もうちょいちゃんとしときーや、しっとるだけじゃ、あかん」

 城に居る間すこしだけだけれども、剣術教本を城の図書から拝見する程度の知識しかなく、あとの全部の剣術は全て自己流だ。おかげさまで変な癖がついて直すのにもの凄く苦労をしている。自己流の中でもグラスからもこのスケイスから見ても、ほんの一部だけちゃんと私に合った剣筋があるそうで、そこはそのまま……それ以外をなんとか。

 夜は長い、スケイスも私の修行にある程度付き合ってくれるそうで基本の型をなんども振る練習をしているけど、下段が遅すぎる見たいで、腕を組んでなんども注意される。結構力を入れてるはずなのに一向に速くならない。どうしたものか?っと首をかしげて悩む。水明の剣のリーチちょっと縮めちゃダメだろうか、なんて思ってしまう。

「あんさんの剣、ちいと身体と合わんちゃ」

「じゃあ、リーチ短くしていい!?」

「おん」

 許しを得たので、リーチを短くする。戦いの時は魔力操作でその都度刀身の長さを調整しているから、一定でフルとなると筋肉とか色々足りないものがあるみたいだ。頑張らねば、そう思って握り直すとスケイスから焦ったように静止された。

「まちぃ! なんやその国宝レベルの剣」

「今気がついたの」

「んな、小娘が国宝レベル片手に携えてるなんてだれが思うかーい!!! どこで手に入れた」

「自分で作ったんだよ! 予知能力できるんならそのことも予知しろ」

「んな、ほいほいほーいひゃらほい♪ っと予知したい所だけ予知できれば、今此処でガイコツなっとらん!!!」 
 
 ムキーっと言わんばかりに、両腕をあげて怒るスケイス。私のヴィスの町出身であることは予知してグラスが元ペルマネンテ王子だったのも予知できて何故これが予知できない! 発動条件がわからないけど、この世界のスキルは強大であれば強大であるほど、制御が効かないか、死ぬほど燃費が悪い(私は後者)
 
 そのことを思い出して、死んでしまったことを含めて謝罪をした。スケイスは怒るのをやめて「死ぬことは別にええねんただ……」っと今までのおちゃらけた形だけの怒りの見る影もなく、静かに彼は告げた。



「何が何でも隠さな、自分ほんまに一年以内に死ぬで」

 



 




 
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