転生幼女具現化スキルでハードな異世界生活

高梨

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事態は一秒で移り変わる

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「うえぇぇぇぇん。夜真っ暗こわいよー」

 おい、14歳私よ。心は三十路でこの世界の実際年齢は4歳とはいえ身体は14歳なのだから泣き叫ぶなしゃんとしろ……何より恥ずかしいから止めてくれッ……!

 自分の意思とは関係なく本当の四歳のように地面にへたり込んで、ぐすぐすと泣く私を見て、グラスもウィーンママもスケイスも目を点にしてそれぞれ呆気にとられた表情をしてこちらを見ている。グラスに至っては両腕をわきわきとさせて、何かに耐えるように身体を震わせている。

 何故こうなったか? それはスケイスの言うとおり町や村を避けて、知識の国アダムスにペルマネンテ経由で向かい、精霊国からペルマネンテの国境近く最後の野宿の最中に、スケイスが純粋に剣術を学びたいのならば、一旦魔力を全て封じたほうが伸びがいいということを聞いて、早速、具現化で魔力を封じる腕輪を作ってはめたら……こうなった。

 どうしてこうなった? もしかして、私はずっと三十路の自分を具現化し続けて居たのではないか?それとも逆で4歳の自分を具現化し続けていたとか?

 この世界で、精神と肉体の器はとても大事なもので、私みたいに禁術など(年齢と精神のズレ)でその結びつきがずれた場合は大抵が肉体と精神の不一致に魂が耐えきれず自壊する。希にその精神のズレに耐えきれる人が居ない訳ではないが……そんなことは置いておいて。

「カリスティアちゃんが……年齢相応」(いや、相応じゃない。私身体は14歳、精神三十路)

「カリスティア、こふッ……」(ちょっと、グラスなに死にかけてるの! 速く腕輪はずせ~)

「はは~ん、にゃるほど、なるほど。ワイが思うにずっと背伸びした精神年齢具現化し続けてたんやろ。知らんかったことから無意識、おもろいからそのままに」(するな! はずせ~。あと、身体が勝手にグラスのほうに)

「グラス、ぐらす、ぐら」(待て待て、四歳の私そんなにへら顔で、恥ずかしいから、恥ずかしいから!!!)

 意識は置いてけぼりに身体は勝手に、泣きながらフリーズしてるグラスの元にぴったりと甘えるように抱きついて破顔する。グラスがうめき声にすらなってないおかしな声で、嬉しそうに4歳になった私の頭を撫でてる。撫でてないで外しやがれ! なんて精神で言っても無駄っちゃ無駄なようで全く効果がない。もう、勝手にしろ……なんて心がやさぐれかけた所にウィーンママも参戦して、4歳になった私のご機嫌取りを始めた。

 ねぇねぇ、夜だし明日大変だから速く外して寝ようぜ。

「ほーら、高いたかッ……ウィーンはん助けて腰が」

「もぅ、だらしないおじちゃんねー。私が高い高いしてあげる」

「わーい」

 ねぇねぇ……。膝に乗せろとか隠さずにどれだけグラスのことが好きかを生意気に語る口を黙らせる為に私をぶん殴れ。

「私ね、グラスの気高くて、綺麗で、芯がしっかりしてて一途で、何だかんだ私で甘えてくれるところが可愛くて好きなんだ。グラスってね不安になったり甘えたりしたくなったとき、お手々繋ぐでしょ? 私の事守らなきゃって……ありがとう。私いつもとっても嬉しくて……大好き!!!」

(あああああああああああああああああ……。本心、本心だけど言うな……! 思うだけでも気恥ずかしいから可能な限り考えないようにしてたのに、おいいいいい)

「ありがとう、ございます。ずっと、ずっと愛してます」

 それから、騒ぐこと数時間……。

 
「えーと、ゴブリンの棍棒とワイバーンの爪、黒氷パンサーの瞳とえーっと」

「カリスティア……」

 ふんだ! ぷいっとグラスとウィーンママとスケイスの申し訳ないという顔を大人げなく逸らす。人を高い高いしたり色々な羞恥プレイを散々したあとにやっと外されたのだから、私の怒りは心頭です。それでも、段々怒るのが面倒くさくなって、すぐに許すのだけど。

「愛してる……」

「え、カリスティ」

「二度はいいませーん」

 怒ってるのを改めて謝ろうと近づいてきたグラスの首根っこを掴んで、耳元で言ってやった。わかりやすく白い肌を赤々とさせることが出来て大変満足。別に私は子供っぽくならなくても十分子供な思考しているからいいんだよ。わざわざ4歳に戻らなくても。

 空気を読んだ2人はいつの間にか、たき火のほうで話しをしていた。ご厚意に甘えて真っ赤な顔のグラスをさらに引っ張って膝枕をする。勿論服に草が付かないように具現化で瞬時に布を敷いてから、グラスのさらさらで純白の髪をすくように撫でる。

 グラスが何かを言おうとするのを、グラスの唇に人差し指を添えることで止める。赤面しているのにやっぱり人よりも温度が低くて、艶のある唇の感触と冷たい感触に少し自分も恥ずかしくなる。

 沈黙が心地良い。けど、その沈黙が今すぐ終わりそうな気配がする。グラスもそれがわかっているのが、私に少し微笑んで、名残惜しそうに私の膝から起き上がる。

「国境町の方角から尋常ではない魔力が膨れ上がってます」

「即席の使い捨て転移ならば今から作れる。グラスはもしもの時の為に魔力温存で、スケイス!私の作る使い捨て転移指輪に座標登録、ウィーンママは羽を隠してから武器の準備して転移したらすぐに立ち回れるようにして欲しい。私はテントしまってくる!」

「はーい」「りょうかーい。わ、指輪投げんでくれへん」

 エピクの時のようにずんっと重くなるような魔力が自身の四肢に重くのしかかった。膨れ上がった魔力の爆発の余波が離れたここまで重くのしかかってくるのは尋常ではない。急いで具現化してスケイスに渡して慌ててテントや食べるはずの夕飯などストックにしまって、3人に残った魔力で毎日作っている。高品質ポーションと高品質MPポーションを3個ずつ渡す。私も、ウィーンママもグラスも武器を構えていつでも臨戦態勢に入れる。

 それぞれ、一日数時間で状況が変わるのはもうすでに慣れているようで、やれることを瞬時に判断をして動くことができる。

「座標登録終わりやいつでもいけるで」

「ありがとう……皆捕まって……【転移】」

 魔力を止めて転移をおこなう。瞬きの間に終わる転移で瞬時に臨戦態勢へと入る。後ろの3人も首がチリチリするような殺気と緊張を纏う。そうだろう、国境町がこんなになってれば……。私も手が震えそうになる。鼻につく死臭は人間のもので……治癒術のあのときとあの反精霊の洞窟の時に嫌でも嗅いだものだ。

「……惨い」

 それしか言えなかった。だって、だって……。



「ママーどこ」

「助けて」

「がッ」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 大量の炎が、非力な他国の民を蹂躙しているのだから……。冒険者も兵士も、エルフも人間も精霊も入り乱れたこの戦火に、それいがいの言葉を言えないほどに……ただただ、惨い光景が目の前に、体中を覆う火の熱に、途切れ途切れの情報しか、頭が受け付けてくれない。

「住民を避難させないと……いこう」

「待ちい」

 重苦しく響く、静止の声は……普段の軽いものではない。何かを餞別するような……断罪者のようなスッパリと切れそうな雰囲気を纏ったスケイスから。

「主はん、グラスはん、ウィーンはん、ちょっと……まちいな」

 

 

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