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真実の欠片【カロフィーネ】
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目の前の男……リアンが静かに自身の身体に様々な属性の強化を施しているのが目で見えるほどの魔力が、薄暗いロウソクの灯火を揺らす……。
ここは、王族の墓。正式な手続きを踏まねば王族でも容易に踏み込めない場所、王様もその姫も夜に無断で入るなんて暴挙は許されないところ。私の目の前にあるのは死者の亡骸を清め落ち着かせるというロウソクにゆらゆらと照らされ、おぼろげに浮かび上がる愛しきお母様のお墓。
聖なる地の聖なる岩を持って作られた石造りの棺桶は、死者の来訪を拒むような雰囲気を纏っている。自身の母が眠る死者のベット。それをリアンに開けて貰います。無断は承知、勝手も承知です。けど、もう綺麗事だけでは済まないほどになってしまった。
「ワタクシの準備は整いました。姫様は?」
リアンが最後の確認とばかりにこちらの様子を伺うようにこちらを見てくる。引き返せるのはここまで、ここで進めば、私も、リアンも処罰は免れない。
「いいわ、開けなさい」
けれど、ペルマネンテが完全にディザの手中に収まってしまった以上、四の五の言ってられないの。私は強く頷いてリアンに命令する。リアンが小さく「承知いたしました」と前を向き、深呼吸をして石の蓋に両手をつく。燃え上がるような呪縛のような補助魔術が彼の腕に巻き付く。
「う……ぐぅ……ふ、あ、あッッッ!!」
余り大声を出せない故に苦しみながら力を込めるリアン。神聖属性の結界により包まれた棺桶が悲鳴を上げるようにパチパチと音を立て始める。じゅわじゅわと焼けるような音と痛みでリアンの声と歯がカチカチと鳴る音が静かな中に響く。
ゴ……ガコン。
結界が解かれ、石の蓋がリアンの手によってずらされる。焼けただれた手でずれた蓋を慎重に押して、音をたてないように全てを開ききった。
「リアン、ありがとうございます」
「いえ、どうぞ王妃様を……」
「ええ」
リアンにお礼を言い、はしたなく走って母の死体を……在るはずの骨を見るために、自身の父親である国王の疑惑を払うために祈りを込めて開けられた棺桶を、震えて喉に何か異物があるような緊張感を携えてゆっくりと中を覗いてみる。
あるはずだったお母様の遺体はなかった。
「嘘、じゃあお母様は……。あははは、ふっはっはっははは」
「お気を確かに」
祈るように父の疑惑を晴らしたくて、開け放った真実はより強固に父への疑惑を強めたのだ。これを、これを愉快!笑うなという方が無理です。お母様は生きていた……。あと、私の味方は恐ろしく切れ者だ、それが一度に分かって笑わずには居られない。
バレてはいけない、その一心で控えては居るが笑いがこみ上げる。リアンが心配そうにこちらを窺うのを申し訳なく思うけれど、私は気が触れてるわけでもない。ただただ、よく見ると私達生命と知識のあるものは愛というものにこんなにも振り回されるのがおかしくて笑っているのだ。
「あはは……。ふぅ……。取り乱しました申し訳ございませんわ。リアン、戻してちょうだい」
「承知いたしました」
大笑いした後の倦怠感に苛まれながら考える。このまま私の拙い神聖魔術で結界を張る方がバレないか、それともあえて魔力の痕跡を残さない方がバレる確率が高いが、私達が犯人だということがバレないか。リアンが戻し終わるまで、どちらの方が良いかを考えいていた。
リアンも痛む腕と重すぎる棺桶の蓋を静かに戻すのに必死で気づかなかったのだ……。この区域の守り手かつ神聖騎士団の最高責任者かつ幹部……セシル・ルフレの接近に。
「張ったのは僕ですから、僕が張り直します」
「ッ!」
瞬時にリアンが私の前に立ち塞がる。その姿になにもしませんから、と左手で頬を数回かいて困ったようにこちらに近寄ってくる。最後までリアンは警戒するが、本当になにもしないで彼は結界を張り直す作業にとりかかった。どういうおつもり? 問うた私に彼はこう言った。
「僕も貴女の陣営に入ります」
「何故?」
「友が……。世界が平和であれるように願った友が目覚めたからです」
カリスティアと共にある未来が世界の平和に繋がると、だから今は彼女と行動していると……。その後友人の為に自分も陣営に加わることを望んだ。高度な神聖属性の結界を張り直しながら、こちらの質問に淡々の答えてるセシルに、こちらの陣営に入る許可をした。
リアンは驚いて何度か抗議の声をあげるのを甘受して。リアンに言い聞かせるように。
「セシル・ルフレを陣営に加わるのを許可いたします」
強くそういった。リアンも決意をくみ取ってくれたのか、数回瞬きをして「畏まりました」っと引き下がってくれた。さて、ラブマルージュに合う前にセシルと話さないと。そう思ってため息をこぼす。ため息に反応したセシルがもうすぐ終わることを告げた瞬間に、結界を張り直し終わったようだ……。すぐ過ぎるわよ。
「じゃあ、話し合いましょうか、こちらの方に行きましょう。僕がおとりになりますので」
「ええ……任せたわ」
本当はすぐにでもラブマルージュの元へ向かいたかった。色々聞きたいことがありすぎるのと今回のお父様の疑惑を持ってして彼が……。
ドワーフ国 元第一王子 ラフゼルージュ・サットサンガ
私のお母様のご友人であり、グラス様のお母上をアダムスから救いあげ……そして、死ぬはずだった私のお母様を現在のアダムスに逃がした男。
今のところあの悪魔に実力で泡を吹かせている唯一の人物。今のラブマルージュ……。
そうして、カリス様とグラス様に……現在私のお母様を保護に行かせた張本人。
腹の内を開けて覗いて見たいくらいに、色々なことに関わっている人物……ディザとは対局に良い方面だけ。これだけぱっくり割れるといっそすがすがしい。
「……わざわざ、ディザが指揮してペルマネンテに戦争しかける数日前に動くように仕向けた理由くらいは……説明してもらわないとだわ……」
結局、墓を暴くまで母が生きているということはわからなかった。彼がドワーフ国の元第一王子なのは予測ができたが……。自分の母親も、生かすとは。
(生かしてくれているのか、これから生かされるのか……今の時点じゃ判断できませんわね)
ここは、王族の墓。正式な手続きを踏まねば王族でも容易に踏み込めない場所、王様もその姫も夜に無断で入るなんて暴挙は許されないところ。私の目の前にあるのは死者の亡骸を清め落ち着かせるというロウソクにゆらゆらと照らされ、おぼろげに浮かび上がる愛しきお母様のお墓。
聖なる地の聖なる岩を持って作られた石造りの棺桶は、死者の来訪を拒むような雰囲気を纏っている。自身の母が眠る死者のベット。それをリアンに開けて貰います。無断は承知、勝手も承知です。けど、もう綺麗事だけでは済まないほどになってしまった。
「ワタクシの準備は整いました。姫様は?」
リアンが最後の確認とばかりにこちらの様子を伺うようにこちらを見てくる。引き返せるのはここまで、ここで進めば、私も、リアンも処罰は免れない。
「いいわ、開けなさい」
けれど、ペルマネンテが完全にディザの手中に収まってしまった以上、四の五の言ってられないの。私は強く頷いてリアンに命令する。リアンが小さく「承知いたしました」と前を向き、深呼吸をして石の蓋に両手をつく。燃え上がるような呪縛のような補助魔術が彼の腕に巻き付く。
「う……ぐぅ……ふ、あ、あッッッ!!」
余り大声を出せない故に苦しみながら力を込めるリアン。神聖属性の結界により包まれた棺桶が悲鳴を上げるようにパチパチと音を立て始める。じゅわじゅわと焼けるような音と痛みでリアンの声と歯がカチカチと鳴る音が静かな中に響く。
ゴ……ガコン。
結界が解かれ、石の蓋がリアンの手によってずらされる。焼けただれた手でずれた蓋を慎重に押して、音をたてないように全てを開ききった。
「リアン、ありがとうございます」
「いえ、どうぞ王妃様を……」
「ええ」
リアンにお礼を言い、はしたなく走って母の死体を……在るはずの骨を見るために、自身の父親である国王の疑惑を払うために祈りを込めて開けられた棺桶を、震えて喉に何か異物があるような緊張感を携えてゆっくりと中を覗いてみる。
あるはずだったお母様の遺体はなかった。
「嘘、じゃあお母様は……。あははは、ふっはっはっははは」
「お気を確かに」
祈るように父の疑惑を晴らしたくて、開け放った真実はより強固に父への疑惑を強めたのだ。これを、これを愉快!笑うなという方が無理です。お母様は生きていた……。あと、私の味方は恐ろしく切れ者だ、それが一度に分かって笑わずには居られない。
バレてはいけない、その一心で控えては居るが笑いがこみ上げる。リアンが心配そうにこちらを窺うのを申し訳なく思うけれど、私は気が触れてるわけでもない。ただただ、よく見ると私達生命と知識のあるものは愛というものにこんなにも振り回されるのがおかしくて笑っているのだ。
「あはは……。ふぅ……。取り乱しました申し訳ございませんわ。リアン、戻してちょうだい」
「承知いたしました」
大笑いした後の倦怠感に苛まれながら考える。このまま私の拙い神聖魔術で結界を張る方がバレないか、それともあえて魔力の痕跡を残さない方がバレる確率が高いが、私達が犯人だということがバレないか。リアンが戻し終わるまで、どちらの方が良いかを考えいていた。
リアンも痛む腕と重すぎる棺桶の蓋を静かに戻すのに必死で気づかなかったのだ……。この区域の守り手かつ神聖騎士団の最高責任者かつ幹部……セシル・ルフレの接近に。
「張ったのは僕ですから、僕が張り直します」
「ッ!」
瞬時にリアンが私の前に立ち塞がる。その姿になにもしませんから、と左手で頬を数回かいて困ったようにこちらに近寄ってくる。最後までリアンは警戒するが、本当になにもしないで彼は結界を張り直す作業にとりかかった。どういうおつもり? 問うた私に彼はこう言った。
「僕も貴女の陣営に入ります」
「何故?」
「友が……。世界が平和であれるように願った友が目覚めたからです」
カリスティアと共にある未来が世界の平和に繋がると、だから今は彼女と行動していると……。その後友人の為に自分も陣営に加わることを望んだ。高度な神聖属性の結界を張り直しながら、こちらの質問に淡々の答えてるセシルに、こちらの陣営に入る許可をした。
リアンは驚いて何度か抗議の声をあげるのを甘受して。リアンに言い聞かせるように。
「セシル・ルフレを陣営に加わるのを許可いたします」
強くそういった。リアンも決意をくみ取ってくれたのか、数回瞬きをして「畏まりました」っと引き下がってくれた。さて、ラブマルージュに合う前にセシルと話さないと。そう思ってため息をこぼす。ため息に反応したセシルがもうすぐ終わることを告げた瞬間に、結界を張り直し終わったようだ……。すぐ過ぎるわよ。
「じゃあ、話し合いましょうか、こちらの方に行きましょう。僕がおとりになりますので」
「ええ……任せたわ」
本当はすぐにでもラブマルージュの元へ向かいたかった。色々聞きたいことがありすぎるのと今回のお父様の疑惑を持ってして彼が……。
ドワーフ国 元第一王子 ラフゼルージュ・サットサンガ
私のお母様のご友人であり、グラス様のお母上をアダムスから救いあげ……そして、死ぬはずだった私のお母様を現在のアダムスに逃がした男。
今のところあの悪魔に実力で泡を吹かせている唯一の人物。今のラブマルージュ……。
そうして、カリス様とグラス様に……現在私のお母様を保護に行かせた張本人。
腹の内を開けて覗いて見たいくらいに、色々なことに関わっている人物……ディザとは対局に良い方面だけ。これだけぱっくり割れるといっそすがすがしい。
「……わざわざ、ディザが指揮してペルマネンテに戦争しかける数日前に動くように仕向けた理由くらいは……説明してもらわないとだわ……」
結局、墓を暴くまで母が生きているということはわからなかった。彼がドワーフ国の元第一王子なのは予測ができたが……。自分の母親も、生かすとは。
(生かしてくれているのか、これから生かされるのか……今の時点じゃ判断できませんわね)
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