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傀儡の反撃【アルハイル】
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優しい国王、慈悲の国王、何度、何度胸を締め付けるこの称号に振り回されてきたのだろうか。振り回されながらも彼ら国民の為に幾らでも演じて、円満な未来をつかみ取ろう……取って見せる。たとえ……自分が殺されることになってしまっても。
「ディザよ……。精霊国を、現ペルマネンテ国王に奇襲戦争をしかけるように命令しとくれ。主の言うとおりにしよう」
「はーい。わーかりまーした。ふふふ」
ラブマルージュ、リアン、アルマ、エピオス、セシル、幹部会議の席に欠けたしまった4人のイスに思わず目がいってしまう。数年前まではここで幹部同士冗談を言いながら国の行く末を共に話し合った同士の決別は中々心に来ると同時に嬉しいものだ。
(どうか……。カロフィーネを悪意から守っとくれ、わしからもこの悪魔からも。そうして、すまなかった……カリスティアよ)
最初から最後まで利用してしまって。お主だけなのじゃ……完全にディザの予測を越えたことをしでかすお主にしかできないんじゃ。現に今……ペルマネンテで精霊国を攻撃することによって無理矢理にでもカリスティア、お主をあぶり出そうと必死になっておる。この、歴代の国王が手も足も出ずに利用されたままに無残に散った悪魔ですらこのように取り乱させられるのは……お主しかいないんじゃ。
「国王様、戦争このモルゲンくんが行きます。様子を見に♪」
「寄り道もほどほどに、すぐ帰ってくるんじゃぞ。あくまでもペルマネンテが仕掛けた戦争なのじゃから」
錬金術師と爆発が聞ければどこでもいいという、実力以外は普通の危険人物であるモルゲン……。一応釘はさして置くけれど、爆発音をBGMに素材収集と錬金術をまる一日は行うことは想像に安い。個性的すぎる幹部達の中では一位二位を争うほどの変人。
(そもそも、こやつちゃんと船と馬車の手続きできたかの)
錬金術の知識と腕に関しては世界一といっても過言ではないのだけれども、それ以外は興味がなさ過ぎて良くも悪くも世間知らずなのじゃ……。腕も錬金術に関することだけの指揮もいいんじゃが。
グランドピアノの弦を野菜を切って叩く調理器具だと思い込み、グランドピアノの中に野菜をどっさり詰め込んで不協和音を奏でたり。
カリスティア並に錬金術以外の奇行が目立つ人物。それでもその奇行の全てディザに予測されているのだから、カリスティアとモルゲンでは何かしら違うところがあるのだろうか。
そんなことを考えて居る暇などない。
重苦しいくなってしまった会議室は、ディザ以外やはり居心地が悪いみたいで、みな喋ることもしないで頷くばかりになってしまった。いつもムードメーカーとしてラブマルージュと共にここの雰囲気を明るくしていたメリナも、書類を静かにまとめるだけで、喋ることすらもしなくなってしまった。
ラブマルージュとメリナは仲が良かった分に色々堪えたのじゃろう。メリナの分の休憩を増やすことを打診して気分転換に休暇も数日増やしてみよう。スパーダスも平気そうにしてはいるが少し疲れが見えるから明日にでも、少し悩みと意見を聞くために酒に誘おう。エピクはあのリュピアがきがかりなのじゃろう、窓の遠くを見る顔が憂いに満ちておるから、頼まれた通り書類を増やそう、彼女は休むより多少忙しいほうが気分転換になるからの。
ロイエは……歳が歳じゃからワシから言うことはないが休みくらいは受けて貰わねば、じゃからこのまま数日の休みを増やして、ディザはしらん、死ぬまで働くがよい。なんならそのまま過労で死んでくれ。
「悪魔に過労はありませんよ。国 王 様」
「しっとるわい。さて、みな集まってくれてありがとうよ。これで今日の会議は終了じゃ」
本当に沈黙しかなかった会議の終わりを告げると、幹部の誰もが少しほっとした表情となる。すまんよ、ごめんよ、このような窮屈な思いをさせてしまって。
ニタリと笑う悪魔を御しきれないこの国の国王のせいで……。幾分か皺が増えた額に流れる汗を乱暴に袖で拭き取る。普段ならば幹部の数人からたしなめるような声が掛けられるが、ディザを含め逃げるようにみなこの会議室を出て行ってしまって、わし一人だけじゃから、誰もたしなめてくれる人物は誰一人もいない。
(今に見てろよ悪魔めが)
誰も居ない会議室に、ギリギリと歯を鳴らす音と、机に頭を打ち付ける音と響くうめき声は反響する。目を瞑れば瞼には悪魔の勝ち誇ったような顔がニタリと写る。瞼の裏のそれを消したくて何度も、何度も頭を打ち付ける。
(お前のシナリオを……ワシが狂わしてやる。ワシがこの国の終焉を……この国のリチェルリットという歴史を、この老いぼれた魂と共にお前から取り上げてやる。今に、見てろよ)
数々の傀儡となったリチェルリットの国王と共に……悪魔を地獄に引きずってくれる。わしの代で……狂った悪魔の呪縛を終わらせてみせる!
「ディザよ……。精霊国を、現ペルマネンテ国王に奇襲戦争をしかけるように命令しとくれ。主の言うとおりにしよう」
「はーい。わーかりまーした。ふふふ」
ラブマルージュ、リアン、アルマ、エピオス、セシル、幹部会議の席に欠けたしまった4人のイスに思わず目がいってしまう。数年前まではここで幹部同士冗談を言いながら国の行く末を共に話し合った同士の決別は中々心に来ると同時に嬉しいものだ。
(どうか……。カロフィーネを悪意から守っとくれ、わしからもこの悪魔からも。そうして、すまなかった……カリスティアよ)
最初から最後まで利用してしまって。お主だけなのじゃ……完全にディザの予測を越えたことをしでかすお主にしかできないんじゃ。現に今……ペルマネンテで精霊国を攻撃することによって無理矢理にでもカリスティア、お主をあぶり出そうと必死になっておる。この、歴代の国王が手も足も出ずに利用されたままに無残に散った悪魔ですらこのように取り乱させられるのは……お主しかいないんじゃ。
「国王様、戦争このモルゲンくんが行きます。様子を見に♪」
「寄り道もほどほどに、すぐ帰ってくるんじゃぞ。あくまでもペルマネンテが仕掛けた戦争なのじゃから」
錬金術師と爆発が聞ければどこでもいいという、実力以外は普通の危険人物であるモルゲン……。一応釘はさして置くけれど、爆発音をBGMに素材収集と錬金術をまる一日は行うことは想像に安い。個性的すぎる幹部達の中では一位二位を争うほどの変人。
(そもそも、こやつちゃんと船と馬車の手続きできたかの)
錬金術の知識と腕に関しては世界一といっても過言ではないのだけれども、それ以外は興味がなさ過ぎて良くも悪くも世間知らずなのじゃ……。腕も錬金術に関することだけの指揮もいいんじゃが。
グランドピアノの弦を野菜を切って叩く調理器具だと思い込み、グランドピアノの中に野菜をどっさり詰め込んで不協和音を奏でたり。
カリスティア並に錬金術以外の奇行が目立つ人物。それでもその奇行の全てディザに予測されているのだから、カリスティアとモルゲンでは何かしら違うところがあるのだろうか。
そんなことを考えて居る暇などない。
重苦しいくなってしまった会議室は、ディザ以外やはり居心地が悪いみたいで、みな喋ることもしないで頷くばかりになってしまった。いつもムードメーカーとしてラブマルージュと共にここの雰囲気を明るくしていたメリナも、書類を静かにまとめるだけで、喋ることすらもしなくなってしまった。
ラブマルージュとメリナは仲が良かった分に色々堪えたのじゃろう。メリナの分の休憩を増やすことを打診して気分転換に休暇も数日増やしてみよう。スパーダスも平気そうにしてはいるが少し疲れが見えるから明日にでも、少し悩みと意見を聞くために酒に誘おう。エピクはあのリュピアがきがかりなのじゃろう、窓の遠くを見る顔が憂いに満ちておるから、頼まれた通り書類を増やそう、彼女は休むより多少忙しいほうが気分転換になるからの。
ロイエは……歳が歳じゃからワシから言うことはないが休みくらいは受けて貰わねば、じゃからこのまま数日の休みを増やして、ディザはしらん、死ぬまで働くがよい。なんならそのまま過労で死んでくれ。
「悪魔に過労はありませんよ。国 王 様」
「しっとるわい。さて、みな集まってくれてありがとうよ。これで今日の会議は終了じゃ」
本当に沈黙しかなかった会議の終わりを告げると、幹部の誰もが少しほっとした表情となる。すまんよ、ごめんよ、このような窮屈な思いをさせてしまって。
ニタリと笑う悪魔を御しきれないこの国の国王のせいで……。幾分か皺が増えた額に流れる汗を乱暴に袖で拭き取る。普段ならば幹部の数人からたしなめるような声が掛けられるが、ディザを含め逃げるようにみなこの会議室を出て行ってしまって、わし一人だけじゃから、誰もたしなめてくれる人物は誰一人もいない。
(今に見てろよ悪魔めが)
誰も居ない会議室に、ギリギリと歯を鳴らす音と、机に頭を打ち付ける音と響くうめき声は反響する。目を瞑れば瞼には悪魔の勝ち誇ったような顔がニタリと写る。瞼の裏のそれを消したくて何度も、何度も頭を打ち付ける。
(お前のシナリオを……ワシが狂わしてやる。ワシがこの国の終焉を……この国のリチェルリットという歴史を、この老いぼれた魂と共にお前から取り上げてやる。今に、見てろよ)
数々の傀儡となったリチェルリットの国王と共に……悪魔を地獄に引きずってくれる。わしの代で……狂った悪魔の呪縛を終わらせてみせる!
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