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手を差し伸べるということ
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「やかましい!!! 何遍も言わせんな、このまま行けばこの国は悪魔に支配される。予知や予知! 新しい神? そんなんどこにおんねやボケが、ツラくらい拝ませろや」
グルグル巻きに自身を縛る鎖が喋る度に身体に食い込んでゆく、目の前の謀反を起こした総教皇が蓄えた髭と撫で付けて、邪悪に、いや、コレが最善と信じて止まない宗教に毒されたものの笑みをありありと貼り付け、俺の目の前で高笑いし始めた。なにが面白いんやわれ? 喋る度にギチギチと締め付けがきつくなる鎖に難儀しながらも、法王の意地で、ニタリと笑ってやる。ほれほれ……その顔歪ましたれ。
(予知通りいきゃ、わてこのまま死にますわ……。世界の歯車を乱す黒髪の嬢ちゃんに会えずにの、それは勘弁やから腹くくるで、説教はあったときにたっぷり聞いたるわ、セシル!)
そんなこんなで、反精霊の洞窟に魔法封じの手錠付けられたまま、最下層の腐肉踊る死体の山の中に放り込まれて死んだんやけど、これがごっつーしんどいんや。魔属性の魔力に当てられて魂が歪まないように少しずつ自分の身体を保護しながら魔力を自分の死体に浸透させんの。
俺が法王即位して解体してやろうとした、多種族を悪とする思想を取り払い我が信じる神はその悪すらも許し人々を見守る存在として、変えてヘレ・ケッテ・カルゲンもリチェルリットのような、優しい国にして行きたかったが、その思想を邪魔に思った、総教皇に悪魔付きとして、引きずり下ろされ、ペルマネンテと俺が組んで多種族排除をしただの言われもない罪を着せられ……それでも俺は死んでも生きなければならなかった。
「お前さ、僕と約束しろよ……。僕は外からお前は中から、一緒に全ての人類が楽しく暮らせる差別のない世界を目指そう……」
「せやな、それこそが……わてたちの……わてたち二人の信じる神の望むものや! 今に親父引き釣り下ろして変えたるから待ってろよ! セシル」
大聖堂城の中央中庭の神の御前で、二人で共に信じる神に向けて空を仰ぎ毎日祈りをあげた光景が、脳裏に浮かぶ、死んでも良い、わてが最悪の法王として追い出されてもいい。せめて……。
「主はん、グラスはん、ウィーンはん、ちょっと……まちいな」
本当は待てる猶予なんてない。今にも背に火を背負った子供が力なく地を這いつくばり、顔に傷を負った女が泣き叫んで発狂して足を踏み外し火の海に、空は夕焼けよりも赤く染まり、鼻につく焼け焦げた匂いは人々の苦しみと悪意の籠もった声を運んでくる。
確かめなければ……。自分の予知の通りにカリスティアが破滅の流れを変えるに足る人物か。
予知とカリスティアの証言で明らかになった具現化スキル、それはリチェルリットに巣くう悪魔よりも強大かつ世界を一瞬で破壊しかねないほどのもの、彼女は友の為に立ち上がったが、友を助けたあとに自身の力に溺れて厄災となるくらいならば……。今此処で死んでくれた方がまだ世界の為になる。
見定めるんや
「主はんの目的は、幹部さんの依頼やろ? 大事なお友達の為の……だったらこの場は見捨てなはれ、見た所ペルマネンテの奇襲戦争や主はんだって、短い間で幹部さんにきいたんやろ?ペルマネンテは悪魔の息がかかっとることを……なら、リスクが高すぎや、予知や予知、ほな見捨てていこか」
「うん、じゃあスケイスだけ勝手に見捨てて先行って。じゃ!」
……一秒も悩むそぶりもなく、戦火の中に堂々と走ってゆく主はん、まぁーなんて素敵でしょう……なんってなるわけないやろ!
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!?????
ほんまに話しきいとったんか? そんな考えがわてに浮かぶも、一つの大雑把に思考がまとまっていく
わて、忠告で見捨てていこかー♪
主はん、予知でリスク高い、見捨てて行くの提案してきた。 なら、スケイスは見捨てて行きたいってことね!どうぞどうぞ、私は助けてから向かいまーす。いってらっしゃーい。
こういうことやな。
「……」
「カリスティアを試すのはちょっと……やり方を工夫しないと難しいとご忠告申し上げます。スケイス様」
「ぷはー……。うん、ある意味試したいことはできたんで、うんもう、主はんについて行きますわ」
「最初からそうすればいいのに……人間って難儀ねぇー。あっゴメンなさい、今魔物だったわね」
悩みはすれど、結果的に助けに向かうって選択肢をとってくれりゃええくらいに思っとったんに即答かつ、わての意見を尊重した上で行きよってからに。
グラスはわての肩に哀れむように手を置いてから、カリスティアを追い素早く国境町町に向けて走り去っていった。ウィーンは、「私のカリスティアちゃんを試すなんて生意気!」っと言いたげに、棘のある言葉を吐いてから彼女を追ってこちらも尋常じゃないスピードで走って行った。
「はぁ……。じゃ、ちょっくら変装してからわても向かいますか」
自身の神聖魔力を増幅させて、自分の姿を隠蔽する結界を張る。そうして魔力を全身から外に向けて這い上がるように放出させる。ボキボキと骨が軋んで、肉に覆われ水晶のような目玉が浮かびあがり髪の毛が最後にできあがる。魔力で作ったわての仮の肉体。人間だったわての元の姿……。隠蔽したのは単純に肉体を作る工程が中々えぐいことになってますんで、恥ずかしいから隠したんや。
褐色の肌
藍色の瞳
この世界で一番多い髪色の金髪
「助け……ひぃ! 盗賊」
「誰が盗賊じゃい、神官や神官」
ガイコツの姿よりも神官服が似合わない元法王がそこに居た。
グルグル巻きに自身を縛る鎖が喋る度に身体に食い込んでゆく、目の前の謀反を起こした総教皇が蓄えた髭と撫で付けて、邪悪に、いや、コレが最善と信じて止まない宗教に毒されたものの笑みをありありと貼り付け、俺の目の前で高笑いし始めた。なにが面白いんやわれ? 喋る度にギチギチと締め付けがきつくなる鎖に難儀しながらも、法王の意地で、ニタリと笑ってやる。ほれほれ……その顔歪ましたれ。
(予知通りいきゃ、わてこのまま死にますわ……。世界の歯車を乱す黒髪の嬢ちゃんに会えずにの、それは勘弁やから腹くくるで、説教はあったときにたっぷり聞いたるわ、セシル!)
そんなこんなで、反精霊の洞窟に魔法封じの手錠付けられたまま、最下層の腐肉踊る死体の山の中に放り込まれて死んだんやけど、これがごっつーしんどいんや。魔属性の魔力に当てられて魂が歪まないように少しずつ自分の身体を保護しながら魔力を自分の死体に浸透させんの。
俺が法王即位して解体してやろうとした、多種族を悪とする思想を取り払い我が信じる神はその悪すらも許し人々を見守る存在として、変えてヘレ・ケッテ・カルゲンもリチェルリットのような、優しい国にして行きたかったが、その思想を邪魔に思った、総教皇に悪魔付きとして、引きずり下ろされ、ペルマネンテと俺が組んで多種族排除をしただの言われもない罪を着せられ……それでも俺は死んでも生きなければならなかった。
「お前さ、僕と約束しろよ……。僕は外からお前は中から、一緒に全ての人類が楽しく暮らせる差別のない世界を目指そう……」
「せやな、それこそが……わてたちの……わてたち二人の信じる神の望むものや! 今に親父引き釣り下ろして変えたるから待ってろよ! セシル」
大聖堂城の中央中庭の神の御前で、二人で共に信じる神に向けて空を仰ぎ毎日祈りをあげた光景が、脳裏に浮かぶ、死んでも良い、わてが最悪の法王として追い出されてもいい。せめて……。
「主はん、グラスはん、ウィーンはん、ちょっと……まちいな」
本当は待てる猶予なんてない。今にも背に火を背負った子供が力なく地を這いつくばり、顔に傷を負った女が泣き叫んで発狂して足を踏み外し火の海に、空は夕焼けよりも赤く染まり、鼻につく焼け焦げた匂いは人々の苦しみと悪意の籠もった声を運んでくる。
確かめなければ……。自分の予知の通りにカリスティアが破滅の流れを変えるに足る人物か。
予知とカリスティアの証言で明らかになった具現化スキル、それはリチェルリットに巣くう悪魔よりも強大かつ世界を一瞬で破壊しかねないほどのもの、彼女は友の為に立ち上がったが、友を助けたあとに自身の力に溺れて厄災となるくらいならば……。今此処で死んでくれた方がまだ世界の為になる。
見定めるんや
「主はんの目的は、幹部さんの依頼やろ? 大事なお友達の為の……だったらこの場は見捨てなはれ、見た所ペルマネンテの奇襲戦争や主はんだって、短い間で幹部さんにきいたんやろ?ペルマネンテは悪魔の息がかかっとることを……なら、リスクが高すぎや、予知や予知、ほな見捨てていこか」
「うん、じゃあスケイスだけ勝手に見捨てて先行って。じゃ!」
……一秒も悩むそぶりもなく、戦火の中に堂々と走ってゆく主はん、まぁーなんて素敵でしょう……なんってなるわけないやろ!
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!?????
ほんまに話しきいとったんか? そんな考えがわてに浮かぶも、一つの大雑把に思考がまとまっていく
わて、忠告で見捨てていこかー♪
主はん、予知でリスク高い、見捨てて行くの提案してきた。 なら、スケイスは見捨てて行きたいってことね!どうぞどうぞ、私は助けてから向かいまーす。いってらっしゃーい。
こういうことやな。
「……」
「カリスティアを試すのはちょっと……やり方を工夫しないと難しいとご忠告申し上げます。スケイス様」
「ぷはー……。うん、ある意味試したいことはできたんで、うんもう、主はんについて行きますわ」
「最初からそうすればいいのに……人間って難儀ねぇー。あっゴメンなさい、今魔物だったわね」
悩みはすれど、結果的に助けに向かうって選択肢をとってくれりゃええくらいに思っとったんに即答かつ、わての意見を尊重した上で行きよってからに。
グラスはわての肩に哀れむように手を置いてから、カリスティアを追い素早く国境町町に向けて走り去っていった。ウィーンは、「私のカリスティアちゃんを試すなんて生意気!」っと言いたげに、棘のある言葉を吐いてから彼女を追ってこちらも尋常じゃないスピードで走って行った。
「はぁ……。じゃ、ちょっくら変装してからわても向かいますか」
自身の神聖魔力を増幅させて、自分の姿を隠蔽する結界を張る。そうして魔力を全身から外に向けて這い上がるように放出させる。ボキボキと骨が軋んで、肉に覆われ水晶のような目玉が浮かびあがり髪の毛が最後にできあがる。魔力で作ったわての仮の肉体。人間だったわての元の姿……。隠蔽したのは単純に肉体を作る工程が中々えぐいことになってますんで、恥ずかしいから隠したんや。
褐色の肌
藍色の瞳
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